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九州でおなじみのアイス「ブラックモンブラン」にライバル出現か!?ボリュームと価格で打って出る

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー
新商品「くろしろ君」のベールがついに剥がされた

九州のご当地アイスとして人気の高い竹下製菓の「ブラックモンブラン」。今年はブラックモンブラン発売55周年という節目にライバルが9月に出現する。

新商品「くろしろ君」試食会イベントを東京・福岡の2箇所(※試食会イベントは8月17日、18日に終了)で開催。トークイベントでは、新商品のキャッチコピー「ブラックモンブランが一肌脱いだ!?」を考えられたクリエイターのパントビスコ氏をお招きし、商品の魅力やパッケージデザインにあしらったアイスを食べ過ぎたパンダのキャラクターに込められた「くろしろ君」への思いなどが語られた。

クリエイター・パントビスコ氏(左)と竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下真由氏(右)
クリエイター・パントビスコ氏(左)と竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下真由氏(右)

今回、試食会イベントでお披露目された新商品「くろしろ君」は、「ブラックモンブラン」の最大の特色であるクッキーとピーナツを砕いて混ぜ合わせたクランチの工程を省いただけの商品では?と思われるが違った。

●「くろしろ君」の商品開発を担当した吉田氏が語る

「実は、一から企画を考えています。チョコの選定からバニラアイスの配合まで全く別のもの。

竹下製菓 商品開発室 吉田満梨氏 ※「吉」の字は口の上が「土」です
竹下製菓 商品開発室 吉田満梨氏 ※「吉」の字は口の上が「土」です

チョコとバニラのシンプルな組み合わせのバータイプのアイスは多くのアイスメーカーさんが出されている定番商品でもあるため、竹下製菓としてチョコとバニラの黄金比にまでこだわり、何と言ってもアイスにコーティングされたチョコのパリッとさせる食感にこだわり抜きました」

●「くろしろ君」の名付け親は、同社の当時副社長であった竹下雅崇氏

筆者は、年齢が近かった雅崇氏とは様々な企画を通じて交流を深めていた矢先、私信ではあるが、テレビ番組(全国放送)のアイス企画で挨拶含め久しぶりにメールを送ったが彼からの返信がなかった。社長であり、妻の竹下真由氏から代理で送られたメールを受けその真実を知った。突然のくも膜下出血で帰らぬ人となったという連絡を受け、しばらく放心状態だった。

「くろしろ君」をかじった時の「パリッ」が心地よい歯触り
「くろしろ君」をかじった時の「パリッ」が心地よい歯触り

「くろしろ君」の発表会で彼の最後の仕事と知り、アイスをパリッと口にした瞬間涙が止まらず会場を後にした。

■日本におけるアイスクリームの歴史は、明治2年から現在に至るまで進化を続けている

ロッテから発売された飲むアイス「クーリッシュ」(2003年発売)、森永乳業から発売された上質なアイスクリームバー「パルム」(2005年発売/マルチパック)以降、アイス業界全体の悩みとしては、ヒット商品が生まれていない。新商品であっても消費者に根付いた既存商品のフレーバー展開ばかりだ。アイス研究家としては、シンプルな作りでありながらもパリッと楽しめるアイスバー「くろしろ君」は懐かしさと食べやすさで新たな可能性を感じた。

猛暑が続く中で、アイス業界の売上は堅調に推移していると聞く。しかしながら、売れるアイスの種類に変化が現れているのだ。

[出典:日本アイスクリーム協会]
[出典:日本アイスクリーム協会]

今までアイスの売れ筋(上半期)は氷菓やかき氷系のアイスだったが、昨年度のデータを見ると横ばいに。逆に、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの方が好調だ。

●「くろしろ君」のココに注目!

「くろしろ君」はミルクのような味わいを楽しめボリューミーながらもさっぱりとして食べられる。

さらに、価格が税別100円は驚きだ。ネーミングや味だけではなく、ここのコスト調整にこそ「くろしろ君」の名付け親である竹下雅崇氏の熱い思いが込められていると私は考察する。

コーティングチョコのサプライズな食感が特徴的な「くろしろ君」。ボリューミーであり、誰もが手の届く価格設定。ぜひ、皆さんもお一つどうぞ。

取材協力:竹下製菓

スチール撮影:シズリーナ荒井

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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