1日37万人が利用するJR渋谷駅 「動線の不便さ」は中央東改札で改善されるのか?
東京メトロ銀座線渋谷駅が1月3日に移設して以降、渋谷駅の動線の使いにくさは多くの人が問題視するようになった。動きが交差する、通路が狭い、人が溜まる……。
渋谷駅の複雑さは、長年利用者を悩ませ続けている。京王井の頭線とJRや東急各線との距離、東急田園都市線とJRの乗り換えの難しさ、東急東横線とJRの乗り換えの移動距離。どこを歩いたらたどりつくのかわからず、ぐるぐると回っているような気にもさせられる。
たしかに渋谷駅の中を歩いていると、いまどの方向に向かっているのかわからず、特に地下を歩いているときは、東西南北の感覚がわからなくなる。
渋谷駅は、東西の交通の軸と南北の交通の軸が上下に重なっており、その上下の位置関係を理解していると、なんとか方向を理解できる。しかしその周囲を動くとなると、方向感覚がしっかりしていないと、迷ってしまう。
JR東日本中央東改札で混乱は解消されるか?
そんな中、1月29日にJR東日本の渋谷駅では中央東改札が供用開始されることになった。この改札は、山手線からアクセスしやすい従来の中央改札とは異なり、埼京線・湘南新宿ラインのホームからアクセスしやすくなっている。渋谷スクランブルスクエア東棟にも直結し、銀座線だけではなく、エスカレーターを介して東横線・副都心線や田園都市線へも移動できるようになっている。
新しい改札ができたことにより、中央改札の負担が大幅に減少する。
これまでの場合、とくに埼京線・湘南新宿ラインからの乗り継ぎだと、いったん中央改札まで移動し、そこから東京メトロや東急線までまた戻るような動きをしなくてはならず、無駄が多かった。一方で中央改札付近はただでさえ混雑が激しく、その上銀座線に乗り降りする人がそこに加わるようになったため、いっそう混雑するようになったのだ。
銀座線の乗降は別のルートを使用していたものの、その動きが中央改札付近に加わることで、さらに動線の混乱が見られるようになった。
そのために、案内の人を立たせたり、案内表示を大きくしたりという対策を取るようになった。
渋谷駅では現在、埼京線ホームの北側への移設工事が行われており、この工事が終わると埼京線の渋谷での利用者はよりいっそう増えることが予想される。そんな中で混雑解消のために中央東改札を設けるのは、理にかなっている。
改良工事と再開発が進む渋谷駅
渋谷駅は、JR・東急・東京メトロともども、改良工事と再開発が続けられてきた。そのたびに動線は変わり、利用者は対応を迫られてきた。今後も改良工事は続き、さらに動きの変更が求められることが予想される。
東急東横店の解体や、スクランブルスクエアの第2期工事など鉄道施設と直結する施設の解体や工事が今後行われる。その中で鉄道周辺の人の流れは変わらざるを得なくなり、そのたびに不満は起こる。
今回の中央東改札の供用開始で、JRと東京メトロ銀座線へのアクセスが楽になった。一方、まだ工事中のところもあり、柱などが歩く人のじゃまになっているという状況はある。
工事が遠い将来に終わった際には、かなり楽になるということも予想される。中央改札付近もスクランブルスクエア第2期工事が終わるころには、かなりスッキリとした形になることが予想され、そのころにはスムーズに人も動くようになっているだろう。
工事が続く中での人の動線の確保は工夫が必要であり、とくにその切り替えの際には案内をていねいに行うことが必要とされる。
今回のJR東日本渋谷駅中央東改札供用開始により、人の流れはスムーズになった。不便さが多少は緩和されたと言ってよいだろう。