公明党が自民党から「ナチス」に例えられていた頃
フーテン老人世直し録(66)
弥生某日
自民党と連立を組んで15年になる公明党を自民党が公に批判をすることはなくなったが、30年ほど前までの自民党は公明党を「ナチス」に例えていた。それは支持者が共産党と重なる底辺の階層で、共産党との間に激しい非難合戦を繰り広げていたからである。
ナチスは前回書いたように、ドイツ帝国が第一世界大戦に敗れた直後に結成された「ドイツ労働者党」を前身としている。それは反ブルジョアと民族主義の政党で、都市の労働者層を支持基盤に、敗戦と不景気に苦しむ大衆の心をつかもうとする政党であった。
経済が安定した時代には党勢が伸びなかったが、1929年の大恐慌によって不況が訪れると、ナチスは共産党と共に目覚ましく躍進し、共産党と激しく敵対した。ナチスの反共姿勢は、共産主義を恐れる他の階層からも支持を得ることになった。
そのあたりが、30年ほど前の自民党には公明党とナチスが似て見えたのである。公明党は共産党の支持基盤を侵食してくれるありがたい存在だが、同時に国家に不満を持つ都市の根無し草を吸収して勢力を伸ばす可能性がある。それが自民党に警戒心を抱かせた。
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