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冷戦の決着はまだついていなかったのか

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(67)

弥生某日

ロシアのプーチン大統領がクリミヤ自治共和国をロシアに編入すると宣言した。編入すれば経済制裁を強化すると警告していた欧米は制裁強化に向かう事になる。しかし各国の対応には温度差があり、そこをプーチン大統領に見透かされている。

フランスはロシアと武器取引の関係があり、それが制裁の対象になればフランスの武器輸出は打撃を受ける。またイギリスの金融市場はロシア財閥の資金に依存しており、それが制裁の対象になればイギリス経済も影響を受ける。そしてドイツはエネルギー源をロシアの天然ガスに大きく依存している。従って経済制裁と言ってもやれることには限界がある。

フーテンは以前のブログで、欧米はロシアの軍事侵攻と騒いでいるが、そもそもソチ・オリンピックでロシアが軍事行動を取れない時期に、ウクライナの反政府デモを後ろから支援したのは欧米で、だから欧米の首脳は誰もオリンピックの開会式に出席しなかったと書いた。

またプーチン大統領の狙いは黒海艦隊の本拠地があるクリミヤ半島を欧米に脅かされないようにすることで、落としどころはウクライナの分割か、クリミヤ自治共和国の独立か、ウクライナの中立化ではないかとも書いた。

最終的にどう決着するかはまだ分からないが、いずれにしても事態は冷戦後の国際秩序を変える契機になりそうだ。冷戦が終わってアメリカの一極支配が確立し、「歴史の終わり」と思っていたら、「まだ終わっていなかった」というストーリーが始まるのである。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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