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鎌倉幕府に群集した白鷺はどのような災いを人々にもたらすのか?

濱田浩一郎歴史家・作家

寛喜2年(1230)6月5日。晴れた日の朝、鎌倉幕府の「小御所」の上に、白鷺が群集しました。これを目撃した幕府の人々は、翌日、陰陽師を召し寄せたのです。その日は、昼から雨が降ってきました。呼ばれた陰陽師は、安倍親職・泰貞・晴賢・晴幸・重宗・晴職・国継の7人。彼らが、西廊に参じると、北条時房・泰時、二階堂行村・中条家長らが「評定所」に現れます。今回、幕府の小御所に白鷺が群集した「事件」については、助教の中原師員・弾正忠(清原季氏)が担当を命じられていました。よって、助教の中原師員は、陰陽師に白鷺群集について占いをさせます。

すると、安倍親職・晴賢は「口喧嘩や争いが起こるので、慎ましくしてください」と回答。更に、安倍泰貞は「将軍やその親しい人の病について、御家人の中で文書において悪口を言い、喧嘩になるのを聞かれるでしょう」と言上します。陰陽師らは、紙に占いの結果を書いて提出しました。白鷺群集は不吉な兆候ありということで、一旦、御所を出た方が良いか否かについては「他所に出る必要はない」との結論に達します。

6月7日夜、陰陽師・安倍晴賢が「鷺祭」を執り行いました。不吉なことが起こらないように「鷺祭」を行ったのでしょう。鷺が群集することは、口喧嘩や争いが起こる兆候と見做されていたことが『吾妻鏡』(鎌倉時代後期に編纂された歴史書)に記載された陰陽師の答申から分かります。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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