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年末年始にクルマで旅行や帰省をする方へ 久しぶりの長距離運転で気をつけるべき10のポイント

安藤眞自動車ジャーナリスト(元開発者)
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

新型コロナウイルスの蔓延で旅行を自粛し続け、この年末年始が久々の遠出になるかたも多いのではないかと思います。そこで、クルマでの遠出を予定しているみなさんに、注意しておきたいポイントをアドバイスします。

1.事前にチェックすべき三つのポイント

◆燃料 当たり前のことですが、燃料がどれくらい入っているかは、かならずチェックしておきましょう。満タンでスタートできるのが理想です(後述しますが、ディーゼル車の場合は例外があります)。出発日当日ではなく、その前にクルマを使った帰りに満タンにしておくと、慌てずに済みます。また、途中で給油が必要になる距離を走る場合、それが何時ごろになるのかも予想しておきましょう。遅い時間になりそうなら、その地域のガソリンスタンドの営業時間を調べておき、必要ならば、少し早めのポイントで給油しておくと安心です。

タイヤの空気圧 国産車なら、適正空気圧はドアを開けるとボディ側の柱にステッカーで表示してありますから、それに合わせて調整しておきましょう。空気圧が少ない状態で高速道路を長く走ると、タイヤがバースト(破裂)する恐れがあり危険です。空気圧のチェックと調整は、たいていのガソリンスタンドでやってくれますし、道具を借りれば自分でも簡単にできます。

◆バッテリー JAF(日本自動車連盟)の出動理由No.1はバッテリー上がりで、毎年40%前後に達しています。点検は、ディーラーやガソリンスタンドでやってもらえます。特に、交換から3年以上、経過しているバッテリーは要注意。寒い朝、「セルモーターの回りかたに元気がないな」と思うようなことがあったら、交換してしまうことをお勧めします。

国産車なら、運転席のドアを開けると、こういうステッカーがボディ側に貼ってあるはずです。空気圧計と自転車用の空気入れがあれば、自分で調整することも可能です。(筆者撮影)
国産車なら、運転席のドアを開けると、こういうステッカーがボディ側に貼ってあるはずです。空気圧計と自転車用の空気入れがあれば、自分で調整することも可能です。(筆者撮影)

2.ルートは車載カーナビだけに頼らない

 知らない場所に出かける場合、車載カーナビに頼る人は多いと思いますが、できれば出発する前に、スマホやパソコンのナビアプリで、ルートの全体像を把握しておきましょう。特に複雑な分岐を通る場合は、どの車線を走るべきかを事前に把握しておくと安心です(Google ストリートビューが便利です)。しばらく地図更新していない車載ナビの場合、新規開通道路が反映されておらず、遠回りさせられることもあるのでご用心。Googleナビの道路情報は新鮮ですが、ルート案内には要注意。1分を短縮するために、とんでもなく細い路地を案内することがあります。あらかじめ全体像を把握しておけば、「いや、そのルートはないわ」と判断できます。

3.運転支援システムの使い方をマスターしておく

 最近のクルマには、先行車追従型のクルーズコントロールが付いているものが少なくありません。これを使用すれば、アクセルペダルに足を乗せ続ける必要がないので、姿勢が固定されず、疲労の蓄積は大幅に防げます。普段が一般道走行ばかりだと、こうした機能が付いていても使う機会がなく、いざ使おうと思ったときに、操作に戸惑うことがあります。そうならないためにも、取扱説明書で事前に操作を確認しておきましょう。ドライバーチェンジをする可能性がある場合、交代するドライバーとも使い方を共有しておきましょう。

日産ノートの取扱説明書から。使いかただけでなく、アシスト装置が「できること・できないこと」もきちんと把握しておきましょう。
日産ノートの取扱説明書から。使いかただけでなく、アシスト装置が「できること・できないこと」もきちんと把握しておきましょう。

4.ETCカードの入れ忘れに注意!

 日常的に高速道路を使う機会がない場合、ETCカードは抜いたままにしている人が多いはずですが、ルート上に有料道路がある場合、忘れずにETCカードを入れておきましょう。入れ忘れて料金所で急ブレーキをかけると、追突される恐れがあります。

 また、県の公社や民間企業が運営している有料道路の場合、ETCは使えませんので、小銭の用意もお忘れなく(アネスト岩田ターンパイク箱根や伊豆スカイライン、伊勢志摩スカイラインや比叡山ドライブウェイなど、観光道路系は注意が必要です)。

伊勢志摩スカイラインは、ETCは使用できません。営業時間も季節によって変わるので、公式サイトをチェックしておきましょう。(筆者撮影)
伊勢志摩スカイラインは、ETCは使用できません。営業時間も季節によって変わるので、公式サイトをチェックしておきましょう。(筆者撮影)

5.サングラスとつば付き帽子を用意

 太陽の位置が低くなる冬場は、直射日光がクルマに差し込む時間も長くなりがちです。特に西に向かう場合など、夕日に向かって長時間、走り続けなければならないケースも出てきます。そうした場合に備えて、サングラスを用意しておきましょう。偏光機能が付いたものなら、ガラスの反射も抑えられますから、対向車ドライバーの表情なども見え、こちらに注意が向いているかどうかが確認できて便利です。

 つば付きの帽子は、太陽が低い位置にあるときに有効です。クルマのサンバイザーでは、あまり低い位置や真横まではカバーできませんが、つば付きの帽子なら、自在に調整することができます。信号が見たい場合には、顔を上げるだけでOKです。

6.眠くなったら、仮眠がいちばん!

 長い距離を運転していると、誰でも眠くなるものです。一時しのぎであれば、ガムを噛むなどで切り抜けることができますが、無理して運転を続けるより、SAやPAに立ち寄って仮眠を取るのがいちばんです。眠る時間は15分から20分程度で構いません。一瞬、意識がなくなる程度の仮眠でも、眠気は意外とスッキリ取れるものです。また、SAやPAにぶら下がれる器具があれば利用しましょう。全身がリラックスでき、疲労の回復につながります。

7.高速道路の休憩時、子どもは必ずトイレに行かせる

 これは自身の経験でもあるのですが、SA/PAで休憩した際、子どもに「トイレは大丈夫?」と聞いたら「大丈夫!」と言うので出発したら、走り始めて5分も経たないうちに「おしっこ!」と言い出したことがあります。子どもの「大丈夫」は当てにせず、念のため済ませておくことを強くお勧めいたします。渋滞の始まる手前では、大人のトイレも済ませておきましょう。

帰省シーズンはトイレも混雑しますから、余裕のあるうちに済ませておきましょう。大きなサービスエリアの前後にある小さなパーキングエリアは、比較的空いていることが多いです。
帰省シーズンはトイレも混雑しますから、余裕のあるうちに済ませておきましょう。大きなサービスエリアの前後にある小さなパーキングエリアは、比較的空いていることが多いです。写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

8.高速道路のミスコースは「特別転回」ルールで対応

 高速道路の出口を通り過ぎてしまったり、行くべき分岐を間違えてしまった場合、路肩に止まったり、バックしたりしてはいけません。そういうときには「特別転回」ルールを使って復帰しましょう。間違いに気付いたら、つぎの出口に向かって下さい。そしてETC専用ではない料金所ブースに行き、行き先を間違えたことを料金所の人に申告して下さい(ETCを利用している場合、料金所に入る前にカードを抜いて下さい)。料金所ブースを出た先で、入り口方向にUターンさせてくれます(課金はされません)。

 なお、無人運用されているスマートインターチェンジでは対応してもらえませんのでご注意を。

9.ラジオはスマホのアプリが便利

 長距離ドライブする際に、ラジオ放送を楽しむかたも少なくないと思いますが、走っているうちに電波が届かなくなるのが玉に瑕。そんなときに活用したいのが、radikoなどのインターネットラジオ放送アプリです。インターネット接続できる環境なら、エリアにかかわらず放送が受信できますから、安定した音質で放送を聞き続けることができます。クルマのディスプレイがスマホ接続に対応していれば、クルマのオーディオでラジオが聞けます。

スマホにインターネットラジオのアプリを入れておけば、感度が悪くなるたびに受信できる局を探すという手間がなくなります。(筆者撮影)
スマホにインターネットラジオのアプリを入れておけば、感度が悪くなるたびに受信できる局を探すという手間がなくなります。(筆者撮影)

10.寒い地方に出かける場合

 寒い地方に出かける場合、スタッドレスタイヤの装着やチェーンの携行など、雪に対する備えをしておくのは当たり前ですが、「寒さ」に対する備えも忘れずに。

 ひとつめは、ウィンドウォッシャー液を寒冷地仕様にしておくこと。走り始めてしまえば、ウォッシャー液はエンジンの熱で温められるので凍結しませんが、噴射して冷たい窓ガラスに当たり、ワイパーで伸ばした瞬間に凍ることがあります。そうなると視界はほぼゼロになりますから、寒い地域に出かけるときには、ウォッシャー液を寒冷地仕様のものに入れ替えておきましょう。

 ふたつめは、ディーゼルエンジン車特有の注意点。軽油は低温になるとワックス分が析出し、フィルターを詰まらせて流れなくなり、エンジンが止まってしまうことがあります。それを避けるため、軽油には気温に合わせて“特1号”から“特3号”まで5つのグレードが設定されており、地域特性に合わせて販売されています。暖かい地域で給油したまま寒い地域に出かけると、フィルターが詰まってエンジンが止まってしまうことがありますから、温暖な地域から寒冷地や標高の高い地域に出かける場合、燃料は半分ぐらいで出発し、現地で給油するのが安心です。

寒冷地用のウォッシャー液でも、タンクに前の液が残っていると、濃度が薄まってしまいます。抜き取るのは大変なので、10月ごろから寒冷地用を補充するか、より低温に強いものを選びましょう。(筆者撮影)
寒冷地用のウォッシャー液でも、タンクに前の液が残っていると、濃度が薄まってしまいます。抜き取るのは大変なので、10月ごろから寒冷地用を補充するか、より低温に強いものを選びましょう。(筆者撮影)

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

自動車ジャーナリスト(元開発者)

国内自動車メーカー設計部門に約5年間勤務した後、地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。

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