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クルマのヘッドランプバルブをLEDに換える際の注意点

安藤眞自動車ジャーナリスト(元開発者)
ハロゲンバルブと置き換えられるLEDヘッドランプバルブの例(撮影筆者)

前回、自分のクルマのヘッドランプバルブをハロゲンからLEDに換えたお話を書いたところ、「もっと一般的な話も知りたい」との声をいただきました。そこで今回は、ハロゲンバルブをLEDに換える際の一般的な注意点をご紹介します。

事前準備1 自分のクルマに適合するバルブのタイプを確認する

ヘッドランプバルブには、1つでLo/Hi両方のビームを切り替えるタイプや、LoとHiが別々になっているタイプなど、種類が複数あります。自分のクルマのバルブがどういうタイプなのかは、国産車なら取扱説明書に書いてあります。タイプが合わないと装着できませんから、まずこれを確認してください。

スズキの取扱説明書から。バルブ(電球)の形式は「サービスデータ」の項目に書いてあります。この表の場合、カッコ内がバルブの形式です。
スズキの取扱説明書から。バルブ(電球)の形式は「サービスデータ」の項目に書いてあります。この表の場合、カッコ内がバルブの形式です。

事前準備2 必ず車検対応品を選び、適合表も確認する

バルブのタイプが確認できたら、実際の商品選びをすることになります。あまり色温度の高いものやルーメン数の高いものはお勧めできないことは、前回の記事に書いたとおりですが、それ以上に大切なのが「車検対応品」であることです。国産品や国内ブランド品、純正装着実績のある輸入品でそう書いてあれば安心ですが、それ以外のものは「車検対応」と書いてあっても、通販サイトの商品レビューで「車検に通らなかった」と報告されていることもあるので、注意が必要。そういう製品は避けたほうが良いでしょう。

また、タイプは合っていても、ヘッドランプユニット側の穴径が小さかったり、後方のスペースが狭かったりして取り付けられない場合もあります。製品によっては、ハイビーム時にメーターパネル内のインジケータが点灯しなくなったり、ラジオにノイズが乗ったりするものもあります。ランプメーカーの用意している適合表に記載されていれば、そのようなことはありませんから、適合表にあるものが安心です。

輸入車の場合、適合表に載っていないケースもあります。そういう場合は製品名とモデル名をキーワードに検索してみましょう。たいてい先駆者がいるものです。ちなみに僕の場合、適合表に記載はありませんでしたが、正規ディーラーがオプションとして用意している事例があったので「これなら大丈夫」と判断しました。

車検対応品かどうかは必ずチェックしましょう。(撮影筆者)
車検対応品かどうかは必ずチェックしましょう。(撮影筆者)

自分で交換作業する場合

純正装着品がハロゲンバルブの場合、交換作業はそれほど難しくありません。出先で球切れした場合、ドライバー(運転手)でも交換できるよう、作業方法が取扱説明書に記載されているクルマも多いですから、それを見れば交換作業はできるでしょう。ただし間違った方法で作業すると、配線やゴム部品を傷めてしまったり、手が滑って怪我をしたりする場合もありますから、自信のない人はディーラーや整備工場に頼むのが無難です。

スズキの取扱説明書から。右側がハロゲンバルブの外しかたです。カプラー(配線)を外してゴムカバーを外し、バルブを止めているクリップを外せばバルブが取り出せます。
スズキの取扱説明書から。右側がハロゲンバルブの外しかたです。カプラー(配線)を外してゴムカバーを外し、バルブを止めているクリップを外せばバルブが取り出せます。

光軸は必ずチェック!

バルブを交換したら、必ず光軸をチェックして下さい。

交換作業をする際に、まず3m以上、離れた壁にロービームを当て、カットラインのエルボー点(前々回の記事を参照ください)にテープなどでマークを付け、そのままクルマは動かさずに交換作業を行います。交換後はそれと同じ位置にエルボー点が来るように調整すれば、光軸は合っていることになります(作業前の段階で車検に通っていることが前提です)。調整は2本のネジ(上下と左右)でできるようになっているクルマが多いですが、やりかたがわからない場合は、ディーラーや整備工場、車検場の近くにある予備検査場(テスター屋)などに依頼してください。費用は左右で1000円〜3000円程度のところが多いようです。

JAFが簡単な確認方法を紹介していますので、こちらを参考にするのもお勧めです。

自動車ジャーナリスト(元開発者)

国内自動車メーカー設計部門に約5年勤務。SUVや小型トラックのサスペンション設計、英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェクト、電子制御式油空圧サスペンションなどを担当する。退職後に地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。

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