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キングカズの息子・三浦孝太の格闘技挑戦は本気なのか?覚悟が問われる5・6有明『RIZIN.42』─。

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
5・6有明『RIZIN.42』のリングに上がる三浦孝太(写真:RIZIN FF)

デビュー3戦目の対戦相手は?

「キングカズ」こと三浦知良(プロサッカー選手/ポルトガル・UDオリヴェイレンセ)の二男・三浦孝太(BRAVE)が格闘家デビューを果たしたのは、一昨年(2021年)大晦日のこと。さいたまスーパーアリーナで開かれた『RIZIN.33』のリングだった。

同じくRIZIN初参戦のYUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)と闘い、サッカーボールキックを繰り出して1ラウンドTKO勝利、直後に父・知良と抱き合ったシーンはフジテレビで全国放映され大きな話題となった。

『RIZIN.33』オープニングマッチで勝利した直後、父である三浦知良と抱き合って喜ぶ当時19歳の三浦孝太(写真:RIZIN FF)
『RIZIN.33』オープニングマッチで勝利した直後、父である三浦知良と抱き合って喜ぶ当時19歳の三浦孝太(写真:RIZIN FF)

翌年8月にはタイのラジャダムナンスタジアムのリングに上がる。元K-1 WORLD MAX王者ブアカーオ・ポー.プラムックと対峙、キックボクシングルールでエキシビションマッチを行った。TikTokを通して三浦が東南アジアで人気者になっていたことで実現したものだが、両者の実力差は歴然。3ラウンドにブアカーオの猛攻を浴びTKO負けを喫した(エキシビションのため公式記録は勝敗なし)。

MMA(総合格闘技)2戦目は、その1か月後(2022年9月)の『超RIZIN』。第1試合に登場しタイのブンチュアイ・ポーンスーンヌーンと闘い、腕ひしぎ十字固めを決めて秒殺勝利を飾った。これでMMA2連勝。

そんな三浦が5月6日、東京・有明アリーナ『RIZIN.42』でデビュー3戦目を迎える。対戦相手は、キックボクサーからMMAファイターに転向したばかりのYA-MAN(TARGET SHIBUYA)だ。

YA-MANは、『RISE』のリングを中心に活躍してきたキックボクサー。

一昨年大晦日『RIZIN.33』で皇冶(TEAM ONE)に判定勝ち、昨年6月、東京ドーム『THE MATCH 2022』では芦澤竜誠(Battle-Box)を1ラウンドKOで葬った。

MMAは今回が初挑戦となるが、キックボクシング12勝(5KO)4敗の戦績を誇り格闘キャリアは豊富。またMMAで用いるオープンフィンガーグローブでの闘いを得意としている。年齢は三浦より6つ上の26歳。

YA-MANは危険な相手

対戦カード発表記者会は、3月6日に東京・銀座で開かれた。

まずYA-MANが口を開く。

「自分と三浦選手って凄く対極にいると思うんです。偉大な父を持つ三浦選手と裕福とは言えない家庭で生まれ育った自分。俺は自分の力だけでここまで来ました。この試合で『自分の人生を変えられるのは、自分自身なんだ』ということを伝えたいと思います。試合は1ラウンドで終わらせます。楽しみにしていて下さい!」

三浦は、こう応えた。

「格闘技のキャリアを比べたら(YA-MANは)自分よりも上だと思っていますし、第一線で活躍されている選手だと認識しています。『1ラウンドで終わらせる』と言われたのでリスペクトを込めて、自分が逆に1ラウンドからいく。絶対勝ちたいと思います!」

記者会見後に撮影に応じた三浦孝太(左)とYA-MAN(写真:RIZIN FF)
記者会見後に撮影に応じた三浦孝太(左)とYA-MAN(写真:RIZIN FF)

興味深いマッチメイクだと思う。

三浦が闘ってきたこれまでの2試合は「勝てる可能性が高い相手が用意された」との観が強かった。

だが今回は違う。YA-MANは三浦にとって危険な相手である。MMAデビュー戦とはいえ、すでにかなりの練習を積んでおり、またリングキャリアがある分、試合のペースの握り方を知っている。そして何より破壊力のあるパンチを宿す。

おそらくYA-MANは、一気に勝負を決めようとする。スタンドでの勝負が得策と考えよう。ならば開始早々から得意のパンチを振るって倒しにかかる。

(親の七光りの引き立て役なんかになるものか!)

そんな思いを強く抱いて。

ここで三浦が対応できるか否かが勝負のポイント。そして同時に、彼の格闘技に対する覚悟が問われる局面になるように思う。

打撃を喰らわぬ技術を有しているのか、打撃を喰らったとしても、そこで怯まぬ闘いができるのか。MMAファイターとしての資質が露になる。

私は、YA-MANのKO勝ちを予想している。

だが、YA-MANの打撃を凌ぎ切り勝利したなら、もしくは怯まずにクロスファイトに持ち込んだなら、それは「三浦孝太の格闘技挑戦が本気である」ことの証となろう。

<『RIZIN.42』他の主要対戦カード>

上記のカードを含め全10~11試合が予定されている(提供:RIZIN FF)
上記のカードを含め全10~11試合が予定されている(提供:RIZIN FF)

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストに。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターも務める。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。仕事のご依頼、お問い合わせは、takao2869@gmail.comまで。

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