懐かしの「硬券乗車券」でJR線に乗車できるライフハック 若桜鉄道からJR線への連絡乗車券を買ってみた
筆者が先日、鳥取県の第三セクター鉄道・若桜鉄道を訪問したことについては、記事(高校生に快適な自習空間を提供 輸送密度の数字だけでは見えない「鳥取県の若桜鉄道」が運行を続ける意義)で触れている。また、終点の若桜駅構内にはC12形蒸気機関車や転車台などが保存され、転車台や駅舎などの鉄道施設については文化庁の登録有形文化財となっていることも記事(C12形蒸気機関車の復活運転構想あった若桜鉄道 2011年に購入した12系客車はどうなっている!?)で詳しく紹介した。
窓口で鳥取までの硬券乗車券を購入
そんな若桜鉄道であるが、若桜駅の駅窓口ではむかし懐かしい硬券乗車券が販売されている。硬券乗車券とは厚紙に乗車区間や金額が印刷された切符のことで、国鉄時代は全国各地の駅で販売されていたが、国鉄分割民営化後は、駅窓口へのマルス端末や自動改札機の普及により切符は磁気券が主流となり徐々に姿を消していった。現在は、地方の第三セクター鉄道や私鉄路線の一部で残るのみとなっている。
また、若桜鉄道では約半数の列車が郡家駅からJR因美線に乗り入れ鳥取駅まで直通運転を行っていることから、若桜駅からJR鳥取駅など、周辺のJR線主要駅までの連絡乗車券の販売を行っている・こうしたことから筆者は若桜から鳥取駅までの帰りについては、鳥取駅までの硬券乗車券を購入し、列車に乗車することにした。
さっそく筆者は若桜駅窓口で、鳥取までの乗車券がほしい旨伝えると、普通に硬券乗車券が出され、難なく購入することができた。若桜駅では改札は行っていない様子で、そのままホームへ出て列車に乗車する。筆者が乗車するのは若桜駅を18時56分に発車する郡家行で、18時42分頃に若桜駅ホームに鳥取方面から到着。帰宅の高校生を降ろしたのち、筆者は列車へと乗り込んだ。
郡家駅までは観光車両「昭和号」
若桜鉄道が保有する4両の車両のうち3両は2018年から2020年にかけて工業デザイナー水戸岡鋭治氏がデザインする観光車両としてリニューアルされ、それぞれ「昭和号」「八頭号」「若桜号」の愛称が付けられている。車内は全てのボックス席に大型テーブルが備え付けられている豪華仕様で、このとき筆者が乗車したのは「昭和号」だった。
この時間帯は帰宅の高校生とは逆方向の列車になるので、乗客は筆者と同行者を含めて3名だった。列車は若桜駅を発車すると夜の暗闇の中を疾走。さすがに車窓から見える風景は真っ暗で何も見えなかったが、終点の郡家駅の一つ手前の八頭高校前駅で大勢の高校生が乗車。車内はにわかに活気づいた。若桜鉄道の八頭高校前―郡家間0.9kmの運賃は100円に設定されており、日本一安い運賃となっている。
JR因美線の鳥取行は智頭急行の車両で運行
そして、郡家駅には19時30分に到着。ワンマン列車であることから、鳥取までの乗車券を運転士さんに見せて、JR因美線に乗り継ぐ旨を伝えるとそのまま降ろしてもらうことができた。郡家駅では19分の待ち時間で鳥取行が接続する。この鳥取行は郡家駅が始発で19時49分に発車し鳥取駅に20時3分に到着する区間列車であるが、車両は智頭急行のHOT3500形気動車だった。JR因美線の郡家―鳥取間ではJR西日本のキハ40系気動車に加え、若桜鉄道や智頭急行の車両も見られ、特に智頭―郡家―鳥取間では智頭急行の車両によるJR線内のみの普通列車の運行も行われている。
鳥取行の区間列車は大勢の高校生を乗せて郡家駅を発車。鳥取駅まではわずか3駅で14分ほどの乗車だった。鳥取駅では有人改札口で若桜駅からの硬券乗車券を提示し、記念に持ち帰りたい旨を伝えると「乗車記念 使用済み」のスタンプを押してもらい無事に持ち帰ることができた。
(了)