政府の不作為の結果か?部活動後に子どもが熱中症疑いで死亡
今年の7月は、史上最も暑い月になり、国連のグテレス事務総長が「地球沸騰化」と警告するほど、異常な猛暑が続いている。
そうした中、日中の部活動や野球・サッカーなどの大会は続いており、当然、熱中症のリスクは高くなっている。
そうした状況から、教育新聞やYahoo!ニュースのコメントで、部活動や大会の開催時期の見直しを訴えてきたが、恐れていたことが起きてしまった。
7月28日、山形県米沢市で、部活動後に自転車で帰宅途中に路上で倒れ、熱中症の疑いで意識不明の状態で搬送された市内の女子中学生(13)が死亡してしまったという。
熱中症疑いで搬送された山形の女子中学生が死亡…部活動後の帰宅途中に路上で倒れる(読売新聞)
当然想定できた事故であり、今後も続く可能性は否定できない。
それに対し、名古屋市や石川県の馳浩知事など一部の自治体を除いて、“大人”の動きは鈍い。
名古屋市では、市の教育委員会が、市内の小中学校、高校などに「クーラーの効かない場所での保健体育の授業」や「運動を伴う部活動」、また「環境省の暑さ指数が31以上の場合の水泳の授業」について中止するよう通知を出している。
石川県の馳知事は、記者会見にて、7月27日に行われた全国高校野球選手権記念石川大会の決勝について、「この暑い中、午後0時半開始はおかしい」と疑問を呈した。
しかし、文部科学省は熱中症事故の防止について、注意を呼びかける依頼は出しているものの、例年と同じで、あくまで注意喚起であり、中止を求めるものではない。
文部科学省 学校教育活動等における熱中症事故の防止について(依頼)令和5年4月28日
また「こどもまんなか社会」を謳うこども家庭庁は、一般的な熱中症対策の呼びかけだけで、特別大きな動きを見せていない。
子どもの権利条約で最も重要な4原則の一つに、「生きる権利」がある。
子どもには「健康に生まれ、防げる病気などから命が守られる」権利があると定めたものだ。
大人は、子どもの「生きる権利」を保障するために、その環境を整備する義務がある。
こんな異常な猛暑の中、日中に運動をさせることは、明確な子どもの権利の侵害ではないか。
子どもを守り、環境を整備していくのが大人の役割であり、「こどもまんなか社会」ではないのか?
こうした状況に対し、明確な手を打たない政府や自治体、学校長・大会主催者などの意思決定に関わる“大人”に対し、もはや怒りさえ感じる。