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政府の不作為の結果か?部活動後に子どもが熱中症疑いで死亡

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
(提供:イメージマート)

今年の7月は、史上最も暑い月になり、国連のグテレス事務総長が「地球沸騰化」と警告するほど、異常な猛暑が続いている。

そうした中、日中の部活動や野球・サッカーなどの大会は続いており、当然、熱中症のリスクは高くなっている。

そうした状況から、教育新聞やYahoo!ニュースのコメントで、部活動や大会の開催時期の見直しを訴えてきたが、恐れていたことが起きてしまった。

サッカーの元日本代表・内田篤人氏がMCを務めるスポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」のサッカー番組「内田篤人のFOOTBALL TIME」に元日本代表キャプテンの吉田麻也選手が出演した回において、吉田選手は「この夏の暑さで試合をするのは、もはや生命の危機を感じる。J3とかは夏でも昼間に行い、アマチュアは1日2連戦とかでやっている。とんでもない」と、この時期の昼間にサッカーの試合をする危険性を訴えていたが、野球も同じく危険である。

 以前から何度も真夏の炎天下で試合をするのはやめるべきではないかという声が外部から上がっており、朝と夕方に分けて行う2部制への移行について検討が進められていたが、今夏の導入は見送られている。

しかし、大きな事故が起こってからでは遅い。こちらも子どもファーストに、試合環境を改善すべきである。

引用元:高校野球の開催時期や応援の「強制」は良いのか?(室橋祐貴)(教育新聞)

7月28日、山形県米沢市で、部活動後に自転車で帰宅途中に路上で倒れ、熱中症の疑いで意識不明の状態で搬送された市内の女子中学生(13)が死亡してしまったという。

熱中症疑いで搬送された山形の女子中学生が死亡…部活動後の帰宅途中に路上で倒れる(読売新聞)

当然想定できた事故であり、今後も続く可能性は否定できない。

それに対し、名古屋市や石川県の馳浩知事など一部の自治体を除いて、“大人”の動きは鈍い。

名古屋市では、市の教育委員会が、市内の小中学校、高校などに「クーラーの効かない場所での保健体育の授業」や「運動を伴う部活動」、また「環境省の暑さ指数が31以上の場合の水泳の授業」について中止するよう通知を出している。

石川県の馳知事は、記者会見にて、7月27日に行われた全国高校野球選手権記念石川大会の決勝について、「この暑い中、午後0時半開始はおかしい」と疑問を呈した。

しかし、文部科学省は熱中症事故の防止について、注意を呼びかける依頼は出しているものの、例年と同じで、あくまで注意喚起であり、中止を求めるものではない。

文部科学省 学校教育活動等における熱中症事故の防止について(依頼)令和5年4月28日

また「こどもまんなか社会」を謳うこども家庭庁は、一般的な熱中症対策の呼びかけだけで、特別大きな動きを見せていない。

子どもの権利条約で最も重要な4原則の一つに、「生きる権利」がある。

子どもには「健康に生まれ、防げる病気などから命が守られる」権利があると定めたものだ。

大人は、子どもの「生きる権利」を保障するために、その環境を整備する義務がある。

こんな異常な猛暑の中、日中に運動をさせることは、明確な子どもの権利の侵害ではないか。

子どもを守り、環境を整備していくのが大人の役割であり、「こどもまんなか社会」ではないのか?

こうした状況に対し、明確な手を打たない政府や自治体、学校長・大会主催者などの意思決定に関わる“大人”に対し、もはや怒りさえ感じる。

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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