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ハーラント、ウーデゴール。ノルウェー代表の2人に見る今日性。引退した小野伸二との接点は

杉山茂樹スポーツライター
マルティン・ウーデゴール(アーセナル)(写真:ロイター/アフロ)

 右利きなのか左利きなのか、どちらかわからない選手が増えている。一番わかりやすい例は、マンチェスター・シティの1トップ、アーリング・ハーラントだ。豪快さが何より目に止まるので、利き足まで関心が回りにくいことも確かだが、身体を斜めに傾け、格闘技で言うところの半身の体勢になる瞬間は実際に少ない。

 したがってカバーするエリアに偏りはない。苦手なエリアがないのだ。右も左も苦にしない。右から作ったチャンスにも、左から作ったチャンスにも、スムーズに対応できる幅の広さがある。

 言ってみれば両利きだ。扇の要と言えば野球ならキャッチャーを指すが、ゴールを逆算するという視点に立つと、ハーラントはチームの扇の要に見えてくる。左右に開閉するパチンコ台のチューリップにも見える。両利きの冴えと、得点は比例の関係にある。

 プレミアの上位クラブで、もう1人驚かされるのはハーラントと同じノルウェーの代表選手だ。アーセナルに所属するマルティン・ウーデゴール。ピッチの前方で構えるハーラントに対し、ウーデゴールはピッチの真ん中で構える。こちらもパッと見た限りでは、左利きであることが判明しない。右にも左にもスムーズに動く。進行方向が読めない動きをする。左右両足からけれんみのないパス、キックが飛び出す、なんとも言えぬスタイリッシュなプレーをする。

 かつてはピッチ上に左利きの選手がいれば、簡単に目が止まったものだ。中村俊輔はその代表的な選手である。左利きであることを誇示するかのようにプレーした。

 代表クラスでもう1人挙げるならば名波浩になる。いずれもゲームメーカーだ。名波はやや低め。中村はやや高め。セルティック時代がそうであるように中村は、右のサイドハーフでプレーするケースも目立った。

 左利きがキツい選手が真ん中でプレーする姿を見かける機会は実際、その頃から減っていった。中村と入れ替わるように代表チームでエース格を務めた本田圭佑は左利きではあったが、中村ほどキツくなく、ボールをより身体の正面にセットしながらプレーした。南アフリカW杯で1トップならぬ0トップを務めることができた理由である。

 左利きがキツいMFが真ん中でプレーしにくくなっていることを実感したのは、トルシエジャパンが招待された1999年コパアメリカ、パラグアイ大会だった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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