選手と監督、レベルが高いのは選手。監督版の「欧州組」が誕生しない日本サッカー界の悲劇
森保監督が続投して約1年が経過。この間、より顕著になったのが欧州組の占める割合だ。カタールW杯に出場した26人中7人だったその数は、最近では9月(ドイツ、トルコ戦)=3人、10月(カナダ、チュニジア戦)=4人、11月(ミャンマー戦、シリア戦)=4人に減少。GKを除いたフィールドプレーヤー23人に限るならば、2人がスタンダードになっている。
年々増加する欧州組の総数は有名ではない選手を含めると100人を超えるとされる。すべての欧州組が、その名の通りのブランド価値を備えているわけではないが、続々と誕生するその背景を考えると、国内は言い換えれば、欧州組予備軍で溢れている状態となる。
ブランド認定された欧州組ばかりを選べば監督の先を見通す目が問われる、との見方もできる。国内組、とりわけフィールドプレーヤーが1割という現行の比率を、もう少し高めるべきではないかと考えるが、別の見方をすれば、欧州組のブランド力に森保監督が依存している証とも言える。経験値を含め欧州組とJリーガーとの間には大きな差があると分析しているのかもしれない。
欧州組絶対。この価値観は選手以外にも適用されなければ、筋は通らない。筆者は2010年南アフリカW杯前に「日本サッカー偏差値52」なる新書を刊行している。日本サッカーを構成する各要素(選手、監督、ファン、メディア、協会、Jリーグ、審判、スタジアム)は、すべて相殺し合う関係にある。日本代表のレベルはそれと深い関係にあると述べたわけだが、10数年が経過したいま、その偏差値は55程度まで上昇したと見ている。
構成する要素の中で最もレベルが高いのは選手。欧州組の数にそれは現れている。選手単体では56、57は望めそうだが、他の要素が足を引っ張り、日本全体としては55程度に落ち着くと見ている。
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