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森保式可変システム3-4-2-1⇔5-4-1への疑問。なぜ3-4-3にならないのか

杉山茂樹スポーツライター
写真:Shigeki SUGIYAMA

 マイボール時と相手ボール時で並びが変わる、いわゆる可変式の布陣は、ここ何年かの間に少なくとも欧州において、監督采配の常套手段となった。サッカーの変化を語る時、外せない出来事になる。

 目に付くのは4バックから3バックへの移行だ。相手ボール時は4バック。マイボールに転じるや3バックに変化する。代表格は、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)を制したグアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティだ。3バックと4バックの調整をセンターバック(CB)あるいは時に右サイドバック(SB)を務めるジョン・ストーンズの上げ下げで図った。

 SBとCB。それに守備的MFも調整役の候補になる。日本での先駆者は2010年南アフリカW杯終了後に代表監督に就任したハビエル・アギーレで、アンカー役を務めた長谷部誠をその任に充てた。マイボールに転じるや2人のCBの間に下がり、CBが間隔を広く保つと同時に、両SBが高い位置を取った。4-3-3はその瞬間、3-4-3に変容した。

 韓国で可変式が採用されたのはその10年前。2002年日韓共催W杯で韓国代表の采配を振ったフース・ヒディンクが取り入れたのは4-2-3-1と3-3-3-1の可変式で、右SBのソ・ジョングの上下動でその可変式は成立した。

 日本代表の日本人監督では森保監督が最初になる。続投後の2戦目にあたる対コロンビア戦で、左SBに起用したバングーナガンデ佳史扶を、マイボールに転じると1列高いやや中央寄りの位置で構えさせた。

 だが3バックと4バックの移行に関しては、それが最初で最後になる。それ以降、トライした形跡はない。一方、森保監督は、カタールW杯で披露したような5バック同然の、守備的な布陣の使い手としても知られる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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