心と身体を健康にする「頑張らない山道歩き」を最高にする5つのポイントを紹介します。
北海道から沖縄までの長大に連なる日本列島と島々には海抜ゼロメートルから3000メートル級の山々まで実に多様な自然環境があります。皆さんのお住まいはまだ真冬でしょうか。それともロウバイが香り、梅がほころぶ春を感じているでしょうか。
現在は旅行や観光での人の移動は活発にできませんが、令和三年(2021年)はお住まい地域にある素晴らしい自然環境の恩恵を探してみる良い機会と思っています。
ご紹介するのは今日からできる「頑張らない山道歩き」です。四季を五感で感じながらゆっくり歩いて心と身体のバランスを取り戻していきましょう。
時には暖かい恰好をして夜空を見上げてみるのも良いものです。
新緑の季節はまだまだ先ですが、自宅やご近所のお庭や公園の植え込みの木々を見てみましょう。堅かった冬芽はほのかに色づき、膨らみが増したように見えます。
1:歩くことは生きること、急がず歩いていきましょう。
健康つくりの指針として一日に一万歩歩くことを提唱されているようです。ひと月に2~3回はアップダウンがある山道を有酸素領域の負荷で歩ければ理想的ですが、難しいことも多いかと思います。平坦な地域にお住まいでも、ささやかでも神社にある階段や坂道も取り入れて活用したいものです。
実は歩数計に刻まれた一万歩よりも大事なことがあります。それは軽く息が弾むくらいの心拍数状態で2000歩程度歩くなど、メリハリを取り入れることといわれています。
運動によって血流などの循環が活発になると脳血流も多くなることをご存知でしょうか。そういった状態のときに五感が刺激されることで本当に気持ちよくなり、リラックスしてきます。
息が上がるほど頑張るのは逆効果で怪我や不調を引き起こしてしまうので、頑張り屋さんは要注意です。
2:余裕を持って五感で感じてみましょう。
感覚は人それぞれ異なります。
きれい!など、感動の言葉を口にしてみることをお勧めしています。ちょっと照れくさいかもしれませんが、幸せ気分アップの効果は抜群です。
感動の強制はできませんが、普段見過ごしているものに気づきを与えてくれる感動の言葉を聞いたり、口にしたりすると脳活動が活発になっていると私は感じています。
皆さんも試しにやってみてはいかがでしょうか。
さて、森の中に入ってきました。ちょっと立ち止まってみましょう。
見上げてみて、見回してみて、会話を止めて、耳を澄ませて、風が流れを感じ、微かな香りを探ってみましょう。
- 視覚:新緑や紅葉、景色
- 聴覚:鳥のさえずり、風や水の音
- 触覚:肌に感じる気温、樹肌の感触
- 臭覚:花や樹液の香り
- 味覚:食べ物や果実
山を歩くことだけ、頂上に行ってくるだけ、身体を思いっきり使うことだけ、そのような登山とは一味違う「頑張らない山道歩き」は体力が無い方にもお勧めです。
3:ただその場に立ち尽くす、瞑想してみましょう
目標をもって何かを成し遂げることを強いられることが多い日常です。ぼーっとしながら深い呼吸をしてリラックスしてみましょう。
行動計画は休憩や様々な観察をする時間を見込んで余裕を持たせるようにしましょう。
さて、少し休憩が長すぎたようです。身体が冷える前に山道歩きを続けていきましょう。歩くスピードは軽く息が弾むくらいで会話できるくらいです。
活発な会話は控えなくてはいけない環境ですが、友人知人、家族との会話は心の平和にとってとても大切なことです。
時には広々とした開放空間である自然の中で過ごしてほしいものです。
4:森の様々な香り、森林浴でリラックスしましょう
初めて感じる香りもあるでしょう。樹木がつくりだすフィトンチッドといわれる化学物質、落ち葉から出てくる香りなど森には様々な香りに満ちています。
森林の力を全身に浴びる森林浴という言葉は日本がつくりだした良い言葉ですね。緑豊かな森林に行けないときは、庭やベランダの観葉植物を見ながらのティータイムでも素晴らしい効果があるといわれています。
森には命が溢れています。一方、そこでは厳しい生存競争が展開され、植物も激しい太陽光線の争奪戦を繰り広げています。
5:歴史や地学や生物学を山道を歩きながら学んでみましょう
何歳になっても好奇心は大切です。知ったかぶりは損です。友人知人の話を面白がって聞いてみると意外な発見と喜びがあるものです。
机上でなくパソコンやテレビの映像ではなく、今まさにそのフィールドにいることが大切なのです。
歴史好きにとっては山道は修験者や商人や武士が歩いた古の道であり、要衝には山城跡を見つけることができます。何気ない裏山がかつての歴史の舞台であったかもしれません。
日本列島はユーラシア大陸から分かれ、海洋プレートが運んだ様々な種類の岩石から出来上がっています。火山も多く、全国にユニークなジオサイトがあります。
山の頂も何故?が一杯詰まったジオサイトなのです。
草木の名前や植生、そこに生きる昆虫や動物に目を向けると自然が人間のためにあるわけでないことを実感させられます。
健康維持目的の山歩きに出かけるときには、小まめな行動食と水分の補給を忘れず、小さな歩幅・段差を意識してゆっくり歩くようにしていただくようお願いします。
登山・ハイキングは老若男女全ての方が楽しむことができる生涯スポーツです。
今回は頂上を目指す頑張る山歩きではなく、健康寿命を延ばすために最適な運動習慣である「頑張らない山道歩き」をご紹介しました。