日米共同開発の大気圏外迎撃ミサイルSM-3ブロック2Aが初の迎撃試験に成功
2017年2月3日(ハワイ時間)、日米共同開発中の弾道ミサイル防衛用大気圏外迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」が初の迎撃試験SFTM-01「ステラーフウジン(星の風神)」を実施し成功しました。ハワイのカウアイ島から弾道ミサイル模擬標的が発射され、イージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」がSM-3ブロック2Aを発射し命中させています。
- 弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルの発射試験について:防衛省
SM-3ブロック2Aは弾体の直径が53cmとなっており、従来型SM-3ブロック1A(直径34cm)よりも大型化しています。単なる改良型というよりは大部分が作り直しに近い新型ミサイルで、射程や射高は2倍以上に性能が向上していると推定されています。従来型SM-3ブロック1Aは最大射程1200km・最大射高500kmを目標に開発されており、SM-3ブロック2Aは最大射程2000km・最大射高1000kmを超える性能がある事になります。
SM-3ブロック2Aはこの射程により、1隻のイージス艦を配置するだけで日本列島の殆どをカバーできるようになります。また射高も高いので、中距離弾道ミサイルをわざと近距離の日本に向けて発射してロフテッド軌道(山なりの弾道)で飛ばして来る場合にも対応できます。
そして北朝鮮からグアムに向かう中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本近海からでも迎撃することが可能になる性能を持っており、集団的自衛権と深い関わりがある迎撃兵器です。集団的自衛権の行使容認は、SM-3ブロック2Aの日米共同開発が始まった2006年時点で、既定路線だったと言えるのかもしれません。