『降水量の基礎知識』1ミリはコップ1杯⇒50ミリ超で傘が役立たない
大雨に襲われた能登半島では、輪島市輪島で498・5ミリと約500ミリもの雨が降りました。この降水量は20日18時から22日10時までの、アメダスの速報値です。
しかし、約500ミリの雨とは豪雨であることは分かりますが、一体どのようにイメージすればよいのでしょう。
そこで今回は、降水量についてお伝えしたいと思います。
1平方メートルの地面に1ミリの雨が降ると1リットル溜まる
上記のように、1m×1mの容器に1リットルの水を入れると、1ミリの深さに水が溜まります。
これを逆に考えると、1m×1m(1平方メートル)の地面に1ミリの雨が降ると、1リットル溜まることになります。
つまり、冒頭での輪島市の降水量約500ミリとは、1m×1m(1平方メートル)の地面に、500リットル溜まる雨の量です。
1時間に1ミリの雨は10分間に約0.17リットル|コップ約1杯の量
では、1時間に1ミリの雨とはどうなるのかと言うと、10分間に約0.17リットル:コップ約1杯の量になります。
前述のとおり1時間に1ミリの雨は、1平方メートルに1リットルの量でした。10分間は1時間の6分の1なため「1/6=0.16666=約0.17リットル」と計算できます。
コップ1杯の水を頭から被れば、びしょ濡れですが実際にはそうはなりません。
コップ一杯の雨が分散されることで少量となり、傘を差さなくても気にならない人が多いです。ただし、これは10分間での話なので、1時間外に出ていれば確実に濡れてしまいます。
1時間に降る雨の量による「人・屋内・屋外・車内」の様子を解説
ここからは、気象庁が発表する防災情報の中で「激しい雨」や「非常に激しい雨」などの表現では、実際に「人・屋内・屋外・車内」でどのような状況になっているかを解説します。
1時間雨量にて10ミリ以上に雨になると、体感でも大雨と感じるはずです。
10~20ミリ未満「やや強い雨」|ザーザーと降る
- 人への影響:地面からの跳ね返りで足元がぬれる
- 屋内(木造住宅):雨の音で話し声がよく聞き取れない
- 外の様子:地面一面に水たまりができる
20以上~30ミリ未満「強い雨」|どしゃ降り
- 人への影響:傘をさしていてもぬれる
- 屋内(木造住宅):寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
- 外の様子:地面一面に水たまりができる
- 車に乗っていて:ワイパーを速くしても見づらい
30以上~50ミリ未満「激しい雨」|バケツをひっくり返したように降る
- 人への影響:傘をさしていてもぬれる
- 屋内(木造住宅):寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
- 外の様子:道路が川のようになる
- 車に乗っていて:高速走行時には、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)
50以上~80ミリ未満「非上に激しい雨」|滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)
- 人への影響:傘は全く役に立たなくなる
- 屋内(木造住宅):寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
- 外の様子:水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる
- 車に乗っていて:車の運転は危険
80ミリ以上「猛烈な雨」|息苦しくなるような圧迫感があり恐怖を感じる
外へ出るのは命の危険があり、車の運転もできないほど。屋内にいても雨音で恐怖を感じる。
1時間雨量が20ミリ以上になれば、傘でなくレインコートや雨合羽+長靴でないと外出すれば、ずぶ濡れになってしまうでしょう。
また、30ミリ以以上になると外出は控えて、車の運転も危険なため注意が必要です。
先日の能登半島豪雨では線状降水帯によって、輪島市では1時間雨量が121ミリに達しています。
80ミリで恐怖を感じる雨ですから、住民の方はどんなに怖い時間を過ごしたか・・これは、体験した方でないと想像すらできませんね。
20ミリ以上の雨が降る天気予報が発表されたら、どしゃ降りで傘を使っても足元は確実に濡れることを知っておきましょう。