自民党の立党精神から遠ざかる一方の安倍自民党
フーテン老人世直し録(184)
霜月某日
11月15日に自民党は結党60年を迎えた。日本では生まれて60年を「還暦」と呼び「生まれた時に還る」ことを意味する。
谷垣幹事長は立党60年に際し「『政治は国民のもの』との原点を踏まえ、地域の声に耳を傾けながら未来を見据えた大胆な改革を進めていく」との談話を発表した。
談話は立党の原点に触れてはいるが、しかし現状の自民党と立党の原点との間には大きな乖離が出来てしまったとフーテンは思う。まず60年前の11月15日に発表された自民党の「立党宣言」をひもといてみる。
宣言は「政治は国民のもの」から始まる。そして「その使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある」と続く。つまり内政では民生の安定と公共の福祉増進、外交では自主独立の回復と平和の確立を成し遂げる。そのために自民党は結党されたのである。
その政治理念は「ひたすら議会制民主政治の大道を歩み、個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の基本とし、権力による専制と階級主義に反対する」事で、さらに「秩序の中に前進をもとめ、知性を磨き、進歩的諸政策を敢行し、文化的民生国家の諸制度を確立して、祖国再建の大義に邁進せんとする」と宣言している。
またこの時に基本文書として発表された「党の性格」には、「一、わが党は、国民政党である。二、わが党は、平和主義政党である。三、わが党は、真の民主主義政党である。四、わが党は、議会主義政党である。五、わが党は、進歩的政党である。六、わが党は、福祉国家の実現をはかる政党である」との6項目が記されている。
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