「トランプ旋風」は「ネオコン」を吹き飛ばせるか
フーテン老人世直し録(207)
弥生某日
アメリカ大統領選挙の候補者選びは、最大の山場であるスーパーチューズデーで、共和党指導部から嫌われ泡沫候補と見られてきた不動産王ドナルド・トランプ氏が圧勝した。これはアメリカ政治の今後に大きな影響を与えるとフーテンは分析する。
「トランプ旋風」が今後も続く事になれば、レーガン政権以来アメリカ政治を動かしてきた「ネオコン」路線が後退を迫られ、共和党が「ぶっ壊される」事にもなりかねないからだ。
トランプは数々の暴言を吐く事で日本では保守強硬派と見られがちだが、共和党候補の中で最右翼はキリスト教原理主義者でティーパーティーの代表政治家テッド・クルーズ上院議員である。トランプは粗野で品性を欠くが保守強硬派ではない。
「トランプ旋風」を強く警戒しているのはブッシュ大統領の「アフガン・イラク戦争」を支えた「ネオコン」の面々である。トランプがこのまま大衆の支持を集めるなら、共和党を分裂させてでも阻止すると「ネオコン」は考えている。トランプの最大の敵は「ネオコン」なのだ。
トランプの党員歴を見ると、若いころは民主党員だったが、レーガン共和党政権末期に共和党員となり、クリントン政権末期には実業家のロス・ペローが作ったアメリカ改革党に入党、その後2001年にブッシュ共和党政権が誕生すると再び民主党に入党し、オバマ民主党政権が誕生すると再度共和党に戻っている。民主党時代にはクリントン元大統領に巨額の献金をしたことで知られる。
トランプは不法移民やイスラム教徒に対する差別発言で問題視されているが、基本的には対外政策より国内政策に力を注ぐべきだと主張しており、しかも共和党の「ネオコン」が唱える「小さな政府」路線に反対である。
この記事は有料です。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバーをお申し込みください。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバー 2016年3月
税込550円(記事7本)
※すでに購入済みの方はログインしてください。