都知事候補者で面白いのはやはり小池百合子と山口敏夫である
フーテン老人世直し録(235)
文月某日
東京都知事選挙が告示された。過去最多の21人が立候補することになったが、焦点は自民、公明が推す元総務大臣の増田寛也氏と民進、共産、社民、生活の野党4党が推すジャーナリストの鳥越俊太郎氏との戦いで、それに自民党衆議院議員を辞職し不退転の決意で挑むただ一人の女性候補小池百合子氏がどこまで食い込めるかが注目である。
舛添要一前都知事が急に辞めたため突然の選挙であるから候補者たちはみな一様に準備不足である。ただ一人出馬を断念した宇都宮健児氏だけはこれまで2度も立候補した経験から、最も東京都の問題を勉強し政策を練り上げていたと言える。
ところが宇都宮氏は野党共闘のために不出馬を迫られ、自らの政策を鳥越氏に託すことを条件に立候補を断念した。しかし宇都宮氏の政策を鳥越氏がどこまで自分のものにするかはまだ分からない。
一方の増田氏は官僚出身で岩手県知事をやった経験があり地方自治の専門家だと言うが、それと東京都知事の仕事とはレベルが違う。国政との絡みは東京オリンピックがあることからも特別に密接なものとなる。
自公の支援で当選した猪瀬、舛添の両知事が短期間で失脚した例を考えればそこには密接以上のドロドロが待ち受けているかもしれないのだ。そのことを小池氏は告示前日に日本記者クラブ主催の共同記者会見で増田氏とやりあった。
増田氏から「知事に就任したら都議会の冒頭解散となぜ乱暴なことを言うのか」と問われ、小池氏は「猪瀬、舛添両氏がなぜ短期間で辞めざるを得なかったのか、わかりにくいかもしれないがそういう問題がある」と答えた。
これをフーテンが解説すれば、自公から支援を受けて当選した都知事には実は何の権力もない。自民党東京都連や公明党都議団、あるいは安倍政権や森喜朗東京五輪組織委会長によって簡単に首を挿げ替えられる可能性がある。
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