【暑熱馴化でどう体は変化するの?】暑さの中でのランニングのために、知ってほしい暑熱馴化のこと
「夏のランニングのためには暑熱馴化が必要」というのをよく耳にする思います。暑さに馴れると、夏でもバテずに走れる!とうイメージではないでしょうか。ですが暑熱馴化しても圧倒的なパフォーマンスが生まれる訳ではありません。では暑い中練習して暑熱馴化をすると、どういう効果があるのでしょうか。
1.体温が上がりにくくなる
暑熱馴化することで、急激な体温上昇を抑えることができます。実際に深部体温の指標になる直腸温を測定してみると、暑熱馴化することで上のグラフのように体温が上昇するのがゆっくりになることが分かります。
暑熱馴化することで体が暑さに対して迅速に反応し、皮膚血流量が増加して熱の放散量が増えるとともに、発汗量が増え気化熱による身体冷却が効率的に行われる結果なのです。
2.水分は失われやすく、塩分は失われにくくなる
先ほど書いたように、暑熱馴化により発汗量は増加します。ですが汗の浸透圧は低下し、ナトリウムを始めとした電解質の濃度は低下します。結果塩分は失われにくくなります。身体冷却に必要な気化熱には、水分は必要ですが塩分や電解質は必要ではありません。暑熱馴化によって、身体冷却に適した汗を効率的にかけるようになるのです。
3.暑さに対するメンタルが強くなるかも
また、暑熱馴化によって高温の不快感も軽減します。前述のように暑熱馴化すると、熱放散が効率的に行われ、深部体温が上昇しにくくなります。そのこともあり、高熱に対する感じ方も和らいできます。とくにメンタルが影響しやすい競技においては、暑熱馴化は有効といえます。
4.さいごに
これからの季節、しっかりと走るためには暑熱馴化は必須です。暑熱馴化を行うことで、深部体温が上がるまでの時間を延ばすことができ、また塩分の喪失量も減少し、持久力パフォーマンスの低下を抑えることができます。とはいえ、疲労困憊になるまでの時間が延長し、塩分不足になりにくくなる程度です。過信はせず、暑さ指数が著しく高い時間帯は、運動は控えるようにしてください。
また暑熱馴化が不足しているときは、走行距離を短めにして、水分のみならず塩分の摂取も心掛けるようにしてください。