韓国孤児から大富豪に上り詰めた壮絶な半生。53歳米スポーツ界の重鎮が病?
14日全米の主要メディアが、大富豪のキム・ペグラ(Kim Pegula)氏が「予期せぬ病に伏している」と報じた。
キム氏は日本では無名だが、アメリカのスポーツビジネス界では重鎮として知られる人物だ。プロのフットボールリーグ(NFL)のバッファロー・ビルズや、ナショナルホッケーリーグ(NHL)のバッファロー・セイバース(共に本拠地はニューヨーク州)の共同オーナーであり、ESPNによるとNFLとNHLの両リーグで最高経営層を務める初の女性という。
また、スポーツ&エンタメ企業、Pegula Sports&Entertainment(PSE)のCEOも務める。同社は持株会社として、バッファロー・ビルズやバッファロー・セイバースをはじめ、ナショナルラクロスリーグ(NLL)のロチェスター・ナイトホークス、バッファロー・バンディッツなど、さまざまなプロスポーツリーグの運営に携わる。フォーブス誌によると、同社の総資産は57億ドル(現在の為替で7720億円)とも言われている。
キム氏はNFLスーパーボウルの諮問委員会やNFL財団委員会にも所属し、プロのスポーツリーグ界において多様性を推し進めてきた人物としても知られる。
そんな同氏のある「異変」が、14日午前、PSE社や球団コーチの記者会見で明かされた。家族によって記された声明によると、キム氏は「予期せぬ健康上の問題に直面し、先週から治療中」という。
具体的な病状など詳細が明かされていないものの、「予期せぬ」という表現に深刻な健康上の問題が突然彼女に襲いかかったことを窺わせる。USAトゥデイの情報では、フロリダ州の自宅近くの病院で治療が行われているということだ。「優秀な医療体制によるここ数日の治療効果に感謝している。キムのために私たち家族のためにお祈りください。そして我々のプライバシーを尊重するようお願いします」として、声明は結ばれた。
激動の生い立ちに再スポット
ここで改めて、キム氏の半生に注目が集まっている。これまで複数のメディアで語り継がれてきた彼女の生い立ちが、なかなか激動なのだ。
キム氏は1969年6月7日、韓国ソウル市生まれの53歳。複数の米メディアによると、5歳の時にソウル市の路上に置き去りにされていたところを保護されており、出生名や血縁上の両親の情報など、生年月日以外の記録が残されていないという。またDNA検査により、両親のどちらかが日本人の可能性が高いという情報も流れている。
孤児となったキム氏は1974年、カナダ人夫婦の養子として渡米し、ニューヨーク州北部の小さな村、フェアポートで育った。ホートン(Houghton)大学に通い、91年にアルバイトの面談で訪れたレストランで、食事中だった大富豪のテリー・ペグラ(Terry Pegula)氏と出会い、2年後に結婚した。3人の子を生み(うち1人は、プロテニス選手のジェシカ・ペグラ)、ペリー氏の前妻との2人の子も含む5人の母親となった。テリー氏とはおしどり夫婦として知られ、共同で2011年にセイバースを、14年にビルズを買収し、経営陣としてスポーツビジネス界で名を馳せていった。
そんな激動の半生を歩み、アメリカンドリームを体現してきたキム氏。今回、病状は明かされておらずさまざまな憶測が飛び交っているが、家族の意向を尊重し見守るしかなさそうだ。早期の回復が願われる。
(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止