「アフター・ワクチン」の試練に向き合う。ヤンキースでワクチン接種済の計8人が陽性反応。
ヤンキース球団は13日(日本時間14日)、グレイバー・トーレス内野手が、コロナ検査の結果、陽性反応を示し、コロナ関連の負傷者リスト入りしたことを発表した。11日(同12日)に、遠征先のフロリダ州タンパでネービン三塁コーチが陽性反応を示して以来、前日には、ブレイク投手コーチ、ウィリッツ一塁ベースコーチに加え、4人の球団職員が陽性者となり、検査結果待ちだったトーレス内野手も陽性に。ワクチン接種を済ませた計8人が陽性結果によって、当地のホテルで隔離される事態となった。
同日オンライン会見に応じたキャッシュマンGMは「(一、三塁)両ベースコーチがいないなど、現場の困難はあるが、スタッフと選手の健康を第一に、大リーグ機構や医師とコミュニケーションを図って最善を尽くしている」と語った。8人の陽性反応者は、ヤ軍関係者同様、キャンプ地のフロリダ州、本拠地のニューヨーク州でジョンソン&ジョンソン製のワクチンを接種。トーレスに至っては、昨年12月にコロナ感染、その後、ワクチンを接種したが、それでも陽性反応を示した格好だが、同GMは、悲観的には見ていない。むしろ、「ワクチンが完璧でないことは、認識している。ただ、ほぼ皆(8人中7人)無症状というのは、ワクチンのおかげだし、予防策として機能しているから、深刻な状況は避けられた」と前向きに捉える一方、「こういう情報を公開して、社会とシェアすることに意味がある。引き続き、大リーグ機構、ニューヨーク州と連絡を密に協議を続けていく」と語った。ワクチンは絶対的な解決策ではないが、明らかに深刻な状況を避ける助けになったという考え方だ。
ヤ軍は3カード10日間の遠征中で、この日のレイズ戦後、次の遠征地のボルチモアに移動するが、隔離措置の8人は10日間は、タンパのホテルにとどまる。大リーグは選手、スタッフの85%以上がワクチン接種を済ませた場合、ダグアウトでのマスク着用義務を免除するなど規制しており、ヤ軍は85%以上に達していたが、今回の事態を踏まえ、再びダグアウトでマスクを着用するなど、臨機応変に対応している。
大リーグは基本的には個人の意志を尊重する方針を取る一方で、ワクチン接種を奨励。レッドソックスなどはラテン系の選手のために、スペイン語を話す医師を招いて、ワクチンの説明や質疑応答を受けるなど、啓発にも力を入れている。ワクチン接種を済ませても、なお手探りの状態が続く中、多くの情報を公開、共有し、徹底的にプロトコルに沿って対処することで、「アフター・ワクチン」のコロナをコントロールしながら、観客を入れた162試合のシーズンを何とか全うしようとしている。