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「猫のこともっと知ってニャー」飼うにはこんなところにお金かかるで!

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

コロナ禍で犬や猫を飼い始める人は増えています。

Yahoo!ニュースオリジナル特集では、100万円で購入した犬を手放したケースもあると書かれています。

公園などにいる野良猫を拾うと無料で手に入る場合もあります。拾った猫ならお金がかからないと思っていませんか。そんなことはないのです。それでは猫を飼うといくらかかるのかを見ていきましょう。

猫を飼うとお金かかるで

r出典:滋賀県. ”啓発リーフレット”https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5186262.pdf
r出典:滋賀県. ”啓発リーフレット”https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5186262.pdf

滋賀県:啓発リーフレット より

上記の写真は滋賀県の啓発リーフレットです。

こんな風に数字ではっきり書いていただくと猫を飼うといくらかかるか、わかりやすいです。

猫を飼うとかかるお金は、1年で9万円、一生200万円ぐらいかかるといわれています。どこにそのお金がかかるのかを見ていきましょう。

猫を飼い始めるときの生活必需品の費用

ペットショップで購入しても野良猫を拾ってきても猫を家の中に迎え入れるときに生活必需品があります。もちろん値段はピンきりですが、具体的な品目を下にあげておきます。

猫の生活必需品

□猫用トイレ 2000円~5000円

□爪きり 500円~2000円

□爪研ぎ 600円~4000円

□首輪 1000円~2000円

□キャリーバッグ 2000円~6000円

□ハウス・ケージ 8000円~30000円

□キャットツリー 5000円~20000円

品目と大まかな相場価格帯です。安いものをそろえれば2万円程度ですが、高いものになれば10万円を超えることもあります。

猫を飼い始めたときの医療費

写真:アフロ

猫を飼い始めたときは、最低でもワクチン接種や不妊去勢手術をしておかないと病気になったり、多頭飼育崩壊に陥ったりする可能性があります。以下のことは最低限度してあげてください。

混合ワクチン1回で 4000円~8000円程度(種類や地域によって違います)

子猫の場合は2回~3回のワクチンを接種します。

雄の去勢手術代 10000円~20000円程度(地域によって違います)  

雌の避妊手術代 15000円~30000円程度(地域によって違います)

猫のフード代は1カ月いくらかかるの?

一般社団法人 ペットフード協会 令和2年https://petfood.or.jp/data/chart2020/index.html より
一般社団法人 ペットフード協会 令和2年https://petfood.or.jp/data/chart2020/index.html より

猫 飼育・給餌実態と支出 より

上記の写真は、社団法人 ペットフード協会の令和2年のものです。

表からわかるように、以下の1頭飼育で1カ月の費用です。

□1カ月の主食のキャットフード平均 2673円

□1カ月のおやつのキャットフード平均 1241円

なので、合計で2673円+1241円=3914円かかります。1年では46,968円で猫の平均寿命が約15年で704520円つまり約70万円以上がかかります。

猫の砂代は

猫はいまや完全室内飼いになっているので猫砂がいります。

最も安い紙素材のものであれば、1カ月1000円程度で済みます。それ以外だと、もっとかかりますね。年間に換算すると15000~24000円程度です。15年とすると約22万円から約36万円かかるのです。

猫を飼ったときの追加の光熱費

暑い日にエアコンをつけずに室内で猫を留守番させていると熱中症になります。

その反対に寒いときになにも暖房などをつけないと猫が下部尿路疾患や猫風邪にかかりやすくなります。もちろん、セントバーナードのように寒いところの大型犬は、冷房代がかかえいますが、猫はそこまではいきませんが、アニコムによりますと、2019年度は月に1200円程度で年間では15183円です。15年間では、約20万円かかります。

上記のものに医療費などを含めると1年間に9万円はいるという計算になるのです。この中には、高額医療などを含まれていません。

いまや猫は高齢化してリンパ腫や扁平上皮がんなどになる子も割合にいます。そのようなケースは、CTやMRIなどの画像診断だけでも7万円以上かかるのです。治療をすると100万円以上かかることもあります。

猫は、高齢になると慢性腎不全になりやすいので、その治療費も内服薬や注射代や血液検査などもかかりますね。

写真:アフロ

この計算は、猫1匹のものです。1匹だとかわいそうと思って2匹を飼うとこの料金の2倍つまり2匹合わせて400万円以上いることを心得てくださいね。

軽い気持ちで野良猫を保護しても、猫は生きているのでご飯も食べるし排泄もします。そして病気にもなります。

いざ飼ってみて「こんなはずではなかった」と飼育放棄しないようにしてくださいね。猫を飼う上での経済的な知識を持っていることは大切です。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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