100万円のペットを飼育放棄――問われる飼う人のモラル、免許制を導入すべきか
コロナ禍で増えた犬や猫のペット需要。その一方で、安易な飼育放棄も増加している。100万円で購入した犬を手放したケースもあるという。ペットショップなどへの規制は改正動物愛護法の施行で強まりつつあるが、見過ごされているのは飼い主だ。安易にペットを手放してしまうのはなぜなのか、どんな対策が必要なのか。飼育や保護団体の現場を訪ねて探った。(文、写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
コロナ禍で過熱するペットブーム
「昨年8月、街のペットショップでこの子を見て一目惚れし、即決しました」 東京都西部の集合住宅。夫婦で犬を飼い始めたという会社員の男性(20代)はそう話した。昨夏に購入したのは生後2カ月の人気犬種・チワックス。もともと夫婦ともに「いつかは」と話していたが、新型コロナウイルスの影響で男性の在宅勤務が増えたため飼うことになった。ペットショップでチワックスが他の犬にも優しく接していた様子が気に入り、「家族にしたい」と思ったという。
じつは当初、もう1匹気になる犬がいて、2匹一緒に飼うことも夫婦は検討していた。 「ところがその日の夜、気になって店に問い合わせてみたら『もう決まった』と言われました。そんな奪い合いのような状況になっているとは想像していませんでした」 コロナ禍によるステイホームで、ペット需要が急増している。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2020年に新たに飼育された犬は約46万2千匹で前年よりも14%増加。猫は約48万3千匹で16%増加した(いずれも推計)。特にこの1年以内の犬の入手先では「ペットショップで購入した」割合が66.2%で、「ブリーダーから直接購入」(12.3%)や「友人/知人からもらった」(4.6%)よりも非常に高い。 保護団体による譲渡も活況を呈している。団体が保護した犬猫と里親(飼育希望者)をネット上でマッチングさせるサービス「OMUSUBI」では、コロナ前に比べて2倍近く登録が増えたという。