激戦地で絶海の孤島、硫黄島で携帯が使えるように
どうやら硫黄島で携帯電話が使えるようになったらしいです。激戦地で絶海の孤島の、あの硫黄島で。
第二次大戦の激戦地である硫黄島は、戦後しばらくはアメリカ統治下にあり、1968年に日本に返還されたものの、現在まで一般人の立ち入りは制限されていて、居住しているのは駐留する自衛隊員や工事を請け負う建設関係者くらいしかいません。
Wikipediaで「硫黄島」を読むと、通信事情についてはこう書かれています。
2013年現在の情報ですが、住民もたいしていない硫黄島にキャリアが携帯基地局を設置するメリットがあるとは思わなかったので、今もそのままだろうと思っていました。
ところが、防衛省の入札情報を調べていたら、平成25年8月1日付けでこんな案件がありました。
なんと、硫黄島への携帯電話基地局の設置調査と工事についての入札が。海上自衛隊は硫黄島で携帯を使えるようにしたいらしいです。
国関連の仕事だと、やはりNTTドコモかと思い、ドコモのカバーエリアを調べたが硫黄島には何もない。ならばKDDIかと思って調べましたが、これも未カバー。じゃあ、応札した会社はいなかったのか……と思ってたら、まさかのソフトバンクがカバーでした。
2015年5月5日現在、ソフトバンクのサイトでは「2015年4月以降に拡大予定のサービスエリア」となっており、サービスインしているかは不透明ですが、仮にしてなかったとしてもごく近い将来サービスインすると思われます。今まで絶海の孤島だった硫黄島でも、島内のほとんどの地域でスマートフォンが使えるように。
この事は、従来から行われている遺骨収容にも良い影響を与えるかもしれません。既に拙稿「戦艦武蔵発見で考える海没遺骨とその尊厳」、「今なお百万柱が眠る海外戦没者と遺骨収容」で戦没者の遺骨収容問題について取り上げてきましたが、硫黄島でも1万2千柱の戦死者の遺骨が収容されずに眠ったままです。
島内のほぼ全域で携帯電話が使えるようになれば、駐留隊員の福利厚生の向上の他にも、今後の遺骨収容事業を進める上で有益である事は想像に難くないでしょう。硫黄島という利用者が限られる僻地に、通信事業者として基地局設置を行ったソフトバンクの英断を称えたいと思います。