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【英会話】夏の特別編3 無冠詞 played piano って言われたけど英語として正しいの?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で英語を20年ほど話していますが、話し始めたころに困ったのは、a やthe と言った冠詞です。かなりの確率で間違えました。
 自分が話すだけならまだしも、人様に英文法を伝えたり、英文法をネタにした小説を出版したりするとなると、まずい。

 そこで、Native English Speakerたちを質問攻めして、大学で習得した現象学を使って自分なりの理窟を作りました。Native English Speakerのおかげか、この理窟なかなか優秀で、今ではほとんど間違えずにすんでいます。そんな徳田流冠詞の奥義を夏の特別企画として公開します。今回は全4回中の第3回です(第1回はこちら)。

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当時、スタジオミュージシャンとしてピアノを弾いていた。

 第1回で、名詞に冠詞(the, a(an))をつけるのではなく、見えているモノの抽象のレベルを決めてそのあとに名詞を置く というNative English Speaker の現実の切り取り方のお話はしました。

特定のレベルか?⇒the
どれでもいいレベルか?⇒a(an もしくは複数のs)
ふわっとした概念のレベルか?⇒無冠詞

という抽象のレベルを決めたいんですねぇ、Native English Speakerって人々は。
 ちょっとびっくりですが、それを踏まえると、a piano(s), とthe piano が指し示す現実が違うのはよくわかる(どう違うのかは第1回と第2回をどうぞ)。

 じゃあ、のこったふわっとした概念のレベルとは何ぞや? そして冠詞のないpiano は何を指し示してんの? ということになりますが、当然ながら最も抽象度の高いレベルということになります。頭の中にあるレベルと言っていい。

 頭の中にあるピアノ ってどういう状況? とさらに疑問を持たれると思いますが、つまり、こんな文です。

当時、スタジオミュージシャンとしてピアノを弾いていた。

 この文は、

I played piano as a studio musician in those days.

I played pianos as a studio musician in those days.

となるのですが、なぜ、無冠詞のpiano もしくはpianos となるか、みなさんお判りになるでしょうか?

 a piano(s), とthe piano の時と同じく、この日本語をイメージすると、自分が昔いろんなスタジオに行ってピアノを弾いていたという状況が浮かぶと思います。
 それを英語にしていくわけですが、その頭に浮かんだ状況はそこにある風景は特定のレベルでしょうか? どれでもいいレベルでしょうか? それともふわっとした概念のレベルでしょうか?

 特定のレベルではありませんね、何十台とある行く先々のピアノたちにスポットライトは当たってない。
 でも、実はそれぞれのピアノたちは何となく思い出せる。それならば、どれでもいいレベルと言えます。つまり、pianos です。
 一方で、なんとなくも思い出せない、具体性が低くて頭の中のふわっとしたイメージのレベルということもある。それが、ふわっとした概念のレベルです。そういうときに、冠詞をつけずにpiano とだけ置きます。
 ぱっとモノの名前が思い出せずに、あ~、あの、あれだよ、あれ なんていう人がいますが、まさしくそれです。概念はイメージしてんだけどなぁ ってことですね。

 さて、次回、夏の特別企画最終回の第4回では、この抽象度を決めてから名詞を置くというNative English Speaker独特の思考の流れを理解すると、彼らの言わんとする微妙なニュアンスが判るという話と、その思考の流れを使いこなすためのイメージをお伝えしたいと思います。出血大サーヴィス、練習問題付けましょう! こちらです。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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