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【英会話】too relaxed to have driveって言ったら、首を振られた なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で20年ほど英語を話していますが、英語を話し始めた時に感じたのは論理を大切にする言語だなということでした。
 たとえば「アーサー・C・クラークが好きなんだよね~」というと「なんで?」とか「どのあたりが?」ってすかさず理由を訊(き)かれる。それに対して「クラークは、人類がなにを目指しているかというヴィジョンをはっきり示してくれるからね」って答えると、「クラークは人類がなにを目指してるって思っているの?」ということをまた訊かれて、話が転がっていくんです。話しているうちに自分がふんわり思っていたことを、はっきり言葉に出来るし、自分の中の矛盾にも気がつけてなかなか面白い。
 ただ、いつもいつもそんな風に論理的に筋道だてて話せればいいんですが、ちょっとぼんやりしてたり、根気がなくなっていたりすると、ふわっとで済ませたいこともある。そういうときに、論理的な言い回しを使うと、ちょっとNative English Speakerは当惑、内容ふわっとしてるのに、論理的な言い方なんで困るんですねぇ。

 そんな私の失敗談や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むとふわっとした英語の言い方を得られるお得なエッセイです。

リラックスしすぎてやる気がなくなってたよ

 もう2ヶ月ほど前のことになりますが、大きな仕事が終わりました。2年間ほど、ある企業様にご提供させていただいていた英語・英会話研修が終了したんです。
 十数名の社員様の英会話力をビジネスレベルにするというタスクを期限内に達成し、恙(つつが)なく終了。さすがにほっとする。うちの会社では、VERSANT というコンピュータによる口頭英語力測定テストを使って伸長度を測るやり方をしているんで、はっきりと英会話力が数字にあらわれるんですよねぇ。まぁまぁのプレッシャーですが、きちんとトレーニングすれば、英会話力は向上するんで見てて嬉しいというのもある。スキルアップしているひとが喜んでいるのを見るのは嬉しいものですから。

 そういうわけで、そのあとちょっとのんびりしちゃいました。次の営業をしないといけないんだけど、まぁいいかってモード。最近になってようやくと復活してきて、のんびりしてたことをEnglish man で友人のRichに、言い訳がてらこう言った。

I was too relaxed to have drive. (あんまりリラックスしすぎて、やる気が出せなかったよ)

 too ~ to do (あまりに~なので、〇〇できないほどだ)を使って、すっきりあらわせたんで、わたし、ちょっとドヤ顔。へへ~んとRichを見たら、Richが首を傾げ、次いで、首を振る。
 みなさん、なぜRichがちょっと考えて、首を振ったかお判りになるでしょうか?

 枕を振ってあるので、内容と言い方のミスマッチと推測されると思いますが、これ、どうミスマッチか、気づかれるでしょうか?

 そう、問題はあまりにリラックスした ということが、やる気が出ない ということに直接つながってないことにあります。論が一、二段跳んでるんです。補うなら、リラックスしすぎて、やるべきことを忘れてしまって、もうこのままでいいやと思って、やる気が出ない みたいな感じ。書いてみて思いますが、なんという怠け者でしょう、わたし。
 そこに、too ~ to do という因果関係がはっきりした言い方を使っているもんだから、まるでチグハグになっている。too ~ to do は、can't do because ~ という確(たしか)め算が成立しないといけないんですねぇ。I couldn't have drive because I was relaxed. (私はやる気を出せなかった、なぜなら私はリラックスしていたからだ)って、おかしいでしょ?
 なんで、too ~ to do の文としては、It's too hard to explain.(あまりに難しくて説明できない from Cambridge Dictionary) みたいなのがいいんです。

 もちろん、ここでtoo ~ to do を活かして、細かく論理を補ってもいいんですが、まだ、そこまでの気力がなかったんで、ちょっとうまい言い方ない? とRichに尋ねると、そういう時は、並べればいいんだよ という返事。
 ああ、なるほどと、

I was too relaxed and had no drive.

というと、うん、ふんわりした言い方だけど、そういうときもあるよね とThumbs up。及第点をもらえました。

 英語は出来るだけ具体的に論理的に伝えるのが原則の言語ですが、ちょっと根気がない時はそうもいきません。そういう時に使ってみてください。あ、多用はダメですよ、Native English Speakerは、しっかり情報を得られなくてイライラしちゃいます。とくにビジネスでは厳禁です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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