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【英会話】There's a cafe. Remember? って言ったら、首を振られた なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で英語を話して20年ほどになりますが、話していて思うのは、英語は相手が自分と違う人だということを考慮しないといけない言語だなということです。なので、相手の常識や知識量を考慮して話さなきゃならない。また、そういうきちんとした話し方をすることで、自分が相手のことをどの程度知っているか? 大切に思っているか? をアピールできる言語なんですね。

 たとえば、友人のRichに、おれは哲学を勉強したから、と言いたいときに、Because I studied philosophy というと、I know(知ってるよ~) なんて茶化される。水くさい、なに、おれの知ってることをbecause 使ってんだ って意味です。because って原則、相手が知らない理由を伝えるときに使う。相手が知っている理由の時はsince を使います。

 そういうことは知ってたんですが、なかなか使わない言い回しもあって、この間、ふっと口が滑ってやらかしました。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は、読むと ~がある(存在する) という言い回しを使い分けられるお得なエッセイです。

カフェがあるな、憶えてる?

 今ではほとんどなくなってしまいましたが、このあいだ新宿で対面の営業がありました。昔は基本対面で先様のオフィスに伺ったり、カフェを使ったりして、英会話力がつくやり方の説明をさせていただいたものですが、今はほとんどオンライン。久しぶりにRichと相手のオフィスでの営業でした。まぁ、手ごたえはありましたが、どうなるかは先のお愉しみです。

 小一時間ほどの営業を終えまして、ふたりで新宿の街を歩いてたんですが、さっきの営業の内容をまとめようということになりましてね。路上でやるわけにもいかないんで、あたりを見回したんです。

 ちょうど以前ふたりが勤めていた西新宿に居まして、ぱっと、昔よくランチを一緒に食べてたカフェが目についた。ああ、あそこでいいやと思って、こう言う。

There's a cafe. Remember?

 そしたらRich、ああ、憶えてるよと言った後、首を振る。そして、それはチグハグだよと追撃。

 みなさん、わたしの英語のどこがチグハグかお気づきでしょうか?

 問題は、There's a cafe. にあります。英語では原則、モノが存在していることをあらわす際には、それが特定のレベルなら、the などをつけてThe cafe is. とあらわします。また、それがどれでもいいレベルか概念のレベルなら、There's a cafe. とあらわします。there be 主語 のthere というのは、未知のものが突然出現するって驚き(タウマゼイン)を緩和する働きをしてるんです。なので、わたしは、ほら~があるよ と訳します。
 そういうことなので、There's a cafe. は一文としては、ほら、カフェがあるよ で間違いじゃないんですが、Remember? がつくと変なんです。だって、前によく行ったという特定のレベルのカフェだから、憶えてる? と訊(き)いてるわけですから。

 そうか、特定のレベルのカフェだから、The cafe is. と言えばいいのか、と思われるかもしれませんが、今回はもうひと捻(ひね)り。

 特定のレベルではありますが、それは私にとってのことです。相手がそれを憶えているかどうかがあやふや。そのために私はRemember? といったわけです。相手が憶えているか覚えていないか判らない状態で、そのカフェがあるよ と特定のレベルを押し付けると驚かせることになる。ここは、驚かせないようにthere を使って、ほら、あのカフェがあるよ という文を作るんです。で、こうなる。

There's the cafe. Remember?

 特定のレベルの時は、The 主語 be動詞、どれでもいいレベルか概念のレベルの時は、There be動詞 主語と憶えるのも手ですが、
相手が知っている時は、The 主語(s) be
相手が知らない時は、There be (a) 主語(s)、
覚えていない可能性がある時は、There be the 主語(s)

と理解しておくと相手を驚かせない言い回しができます。参考にしてください。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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