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白金にある隠れ家ホテルの鉄板焼がすごい4つの理由

東龍グルメジャーナリスト
シェラトン都ホテル東京「鉄板焼 しろかね」 (C) 東龍

シェラトン都ホテル東京のレストランがリニューアル

コロナ禍の中で、ホテルは大きな苦境に立たされていますが、次へのステップとして、新しくオープンしたり、リノベーションしたりするホテルもたくさんあります。

その中でも注目したいのが、シェラトン都ホテル東京です。

シェラトン都ホテル東京は、1979年に閑静な白金台の旧藤山愛一郎邸宅跡地にオープンした都ホテル東京が前身。広大な日本庭園と長い歴史を誇ります。2002年にリノベーションしましたが、その約20年後にはレストランを改修しました。

2020年12月21日に「鉄板焼 しろかね」と「鮨 白金 さえ㐂」を地下1階にオープン。前者は四季折々の日本庭園の風景とともに広い鉄板カウンターで黒毛和牛を楽しめ、後者は「鮨 さえ㐂」の佐伯裕史氏がホテルで初プロデュースした鮨店です。

さらには、同じエリアに特別個室「シェフズルーム PLATINUM」も創設し、プライベート空間の中で、シェラトン都ホテル東京の美食を心ゆくまで堪能できるようになりました。

今記事では「鉄板焼 しろかね」について紹介しましょう。

※価格は全て税・サ込

鉄板焼 しろかね

鉄板焼 しろかね (C) 東龍
鉄板焼 しろかね (C) 東龍

料理長を務めるのは、フランス料理にも精通した秋山佳永氏。その秋山氏が腕をふるう「しろかね」は、鉄板焼にフレンチと和の要素を取り入れた「鉄板焼×フレンチ×和」がコンセプトです。

「しろかね」の素晴らしさを十分に堪能したいのであれば、ディナーコースの「福」(30,000円)がオススメ。

福(2020年3月コース)

・しろかねからの一品

・魴鮄のベニエとハーブサラダ

・黒毛和牛の焼きしゃぶ

・フォアグラのポワレ トリュフソース

・殻付き帆立貝のグラチネ

・しろかねサラダ

・きたうち山口牧場黒毛和牛ロース 100g 又は フィレ 80g

・焼き野菜

・福井県産コシヒカリ 又は ガーリックライス

・赤出汁 香の物

・デザート(下記より一品)

柑橘香る紫蘇シャーベット シャンパンスープ

苺と柚子のベイクドアラスカ

マスクメロンのスープ アーモンドのブランマンジェ

・コーヒー又は紅茶

冷前菜や温前菜から魚料理、そしてメインに黒毛和牛と品数も豊富。ホウボウやフォアグラといった高級食材も見かけられます。和食とフレンチのどちらとも食べられるのも嬉しいところ。毎月メニューが替わるので、いつも最旬の食材を味わえます。

ワインは全部で150種類用意されており、ワインペアリングも充実。3グラス(7,500円、シャンパーニュ1種類、赤ワイン1種類、白ワイン1種類)、5グラス(12,000円、シャンパーニュ1種類、赤ワイン2種類、白ワイン2種類)が用意されているので、適量を選ぶとよいでしょう。

しろかねからの一品

しろかねからの一品 (C) 東龍
しろかねからの一品 (C) 東龍

体がほっと温まる最初のアミューズは、新ゴボウのヴルーテとフリット。シャンパーニュの酸とよいコントラストです。

魴鮄のベニエとハーブサラダ

魴鮄のベニエとハーブサラダ (C) 東龍
魴鮄のベニエとハーブサラダ (C) 東龍

食味のいいホウボウのベニエはスペイン・カタルーニャのロメスコソースと合わせて、サラダ仕立てに。ロメスコソースはトマトベースで、ナッツの旨味とピンクペッパーのアクセントがあり、食欲がかき立てられます。

黒毛和牛の焼きしゃぶ

黒毛和牛の焼きしゃぶ (C) 東龍
黒毛和牛の焼きしゃぶ (C) 東龍

黒毛和牛のロース肉で野菜を巻いて、一番出汁で蒸し焼きに。肉の旨味と野菜の香味が一体化した一品です。九条ネギ、水菜、ショウガ、ミョウガといった野菜と、白味噌、ニラ、胡麻、醤油、ミリン、新唐辛子でつくられたソースは、肉の旨味を引き立てます。

フォアグラのポワレ トリュフソース

フォアグラのポワレ トリュフソース (C) 東龍
フォアグラのポワレ トリュフソース (C) 東龍

フォアグラは表面をカリッとさせ、中はなめらかに仕上げています。トリュフを用いたペリグーソースは非常によい香り。リンゴのコンポートと合わせてさっぱりと。季節によってソースを変えています。

国産活鮑の鉄板焼き 8,600円~

国産活鮑の鉄板焼き (C) 東龍
国産活鮑の鉄板焼き (C) 東龍

こちらはアラカルトの一品。長崎の黒アワビを蒸し焼きにして、黒アワビらしい弾力は残しながらも、やわらかく仕上げました。ウニと醤油で風味づけした旨味たっぷりのサバイヨンソースをまとわせ、最後にバーナーで豪快に焼き上げています。甘味のあるプチヴェールを添えて。

きたうち山口牧場黒毛和牛ロース 100g 又は フィレ 80g

きたうち山口牧場黒毛和牛ロースとフィレ
きたうち山口牧場黒毛和牛ロースとフィレ

「しろかね」で主に用いられているのは、山口県にある、きたうち山口牧場の和牛です。取材時には、肉質等級がA5、B.M.S.(脂肪交雑)は8程度のロースとフィレでした。但馬牛を素牛とする黒毛和牛で、旨味がありながらも、口溶けがよいです。

コンディメント (C) 東龍
コンディメント (C) 東龍

コンディメントは宮城の伊達の旨塩、橙酢と昆布と鰹節の自家製ポン酢、自家製醤油の3種類。自家製醤油はフレッシュな生姜とタマネギ、ポン酢、赤ワイン、日本酒から構成されており、黒毛和牛に負けないコクがあります。

焼き野菜

旬の野菜が5~6種類用意されており、そのうちの3種類を提供。取材時は、北海道のインカのめざめ、タケノコ、ターサイと、味わいも食感も異なるものでした。

福井県産コシヒカリ 又は ガーリックライス 赤出汁 香の物

ガーリックライス 赤出汁 香の物 (C) 東龍
ガーリックライス 赤出汁 香の物 (C) 東龍

卵を加えたガーリックライス。生のニンニクを酢で2週間、その後引き上げ醤油でさらに2週間漬けたニンニクが用いられているので、香りのバランスが良く、風味も豊かになっています。

苺と柚子のベイクドアラスカ

苺と柚子のベイクドアラスカ (C) 東龍
苺と柚子のベイクドアラスカ (C) 東龍

目の前でフランベして仕上げてくれます。中にはイチゴとユズでさっぱりと。「しろかね」という店名にかけて、上には銀箔。

少量多皿

目の前でつくられる焼きしゃぶ (C) 東龍
目の前でつくられる焼きしゃぶ (C) 東龍

「しろかね」の特長について改めて挙げていきましょう。

まず、様々な料理を少量多皿で味わえること。鉄板焼では、黒毛和牛が存在感のあるメインディッシュとなるので、皿数が多くならないのが一般的です。

しかし、「しろかね」では、フレンチ出身の秋山氏ならではの発想で、10皿前後というデギュスタシオンのようなコース構成になっており、色々なメニューを味わえます。

焼き手が、目の前でたくさんの料理を少しずつつくってくれるのは、これ以上ない贅沢です。

グラスワインが豊富

ルイナール ブラン・ド・ブラン (C) 東龍
ルイナール ブラン・ド・ブラン (C) 東龍

素晴らしいワインも魅力的。グラスだけで、シャンパーニュ1種類、白ワインと赤ワインがそれぞれ4種類、食後酒が2種類、日本酒が15種類から18種類もあります。

フランスのシャンパーニュからボルドーやブルゴーニュ、アメリカや日本などのワインが幅広く用意。

アワビや黒毛和牛などに負けないワインで素晴らしいマリアージュが楽しめることでしょう。

広々とした大きな鉄板カウンター

鉄板カウンター (C) 東龍
鉄板カウンター (C) 東龍

大きな鉄板カウンターも圧巻です。

メインの鉄板カウンターはコの字型になっており、広い空間ながらも20席だけという贅沢感。この優雅な空間からは、約1,800坪の日本庭園が眺められます。

個室のプライベートカウンターは5席あり、家族や少人数での集まりにぴったり。こちらからも日本庭園が眺められるのが嬉しいです。

テーブルウェア

テーブルウェアにも注目したいです。

プレートは森山硝子店、やま平窯などの有田焼が中心。「しろかね」のオープンに合わせて新たに揃えられました。洋食器のニュアンスがある日本のメーカーなので、フレンチと和が融合した「しろかね」の料理を引き立たせることができます。

フレンチと和が融合した鉄板焼

秋山氏は、フランス料理店に最も長く勤めていましたが、実は和をベースとした鉄板焼も経験したことがありました。

次のように振り返ります。

「再び鉄板焼に戻ることができました。フランス料理では厨房にばかりいたので、お客様とお話できるのが非常に楽しいですね」

鉄板焼では、コースの流れは和風と洋風にわかれますが、「しろかね」ではフレンチと和の両方を提供しています。

「日本料理もフランス料理も経験があるので、お客様に喜んでいただくためにも、料理の幅を広げて鉄板焼とフレンチと和の融合を目指しました。ワインが非常に充実しているので、フレンチとの相性も抜群にいいと思います」

焼き手は4人いますが、今後は6人に増えるなど、コロナ後に向けて体制を整えています。

「ひとりでも多くの方に『しろかね』を知っていただきたいです。これまで通常営業ができなかったので、コロナ後には忙しくなっていたいですね。いずれは海外のお客様にも、『しろかね』の和牛を食べていただけたら嬉しく思います」

2022年3月21日にまん延防止等重点措置が全国的に解除された今、鉄板焼とフレンチと和が融合し、新しい食体験ができる「しろかね」に是非とも訪れてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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