新生日本代表はどのように戦うべきか?システムの原点回帰と「戦術三笘」のアップデート。
森保ジャパンが、再稼働する。
日本代表は3月のキリンチャレンジカップでウルグアイ代表、コロンビア代表と対戦する。昨年のカタール・ワールドカップでベスト16に進出して、正式に続投が決定した森保一監督の第二次政権が幕を開ける。
森保監督は、ウルグアイ戦の前日会見で三笘薫のスタメンを明言している。
三笘はカタールW杯で「ジョーカー」として起用された。後半、試合の流れを変えるために、三笘を投入するというのが大舞台における森保ジャパンの基本戦略だった。
だが三笘はW杯後に所属するブライトンで獅子奮迅の活躍を見せている。2026年のW杯に向け、日本代表のエースになるべき存在で、これからの起用法というのはカタール大会前の4年間とは全く別のものになるだろう。
■三笘の使い方
三笘をどのように使うかは、森保ジャパンの大きな課題になる。
カタールW杯では、【3−4−2−1】と【5−4−1】の可変システムで、三笘は左ウィングバックに配置された。三笘に与えられたタスクというのは、途中出場で、とにかくドリブルで突破を試みるという作業である。
とはいえ、対戦相手もバカではない。敗退が決まったクロアチア戦においては、しっかりと「三笘対策」がなされていた。それは端的に、ダブルチームで三笘に対応するというものだ。
三笘の使い方を考える上で、もうひとつ、ポイントがある。日本代表のシステムだ。
森保監督は先日、【4−2−3−1】をベースにしていくと明かしていた。カタールの地で、5バックに切り替える前に使っていた布陣である。
三笘はブライトンで【4−2−3−1】でプレーしてきている。それが理由ではないだろうが、三笘にとっては、やり易い状況にはなるだろう。
ただ、森保監督は戦術の柔軟性を備えている指揮官ではない。所属クラブで良かったから、そのまま代表に持ち込む、で機能すれば、楽な話だ。しかしながら、カタールW杯前、久保建英が左サイドで起用され(久保はレアル・ソシエダでシーズン序盤戦において左FWで起用されていた)最終的には本大会で苦しんでいた。
■左サイド攻略のレシピ
久保、またW杯での日本の二の舞になるわけにはいかない。そこで、「三笘の上手な起用法」を考えてみる。
第一に、鍵を握るのは三笘の左サイド、とりわけ左サイドバックとの連携である。
この点で言えば、今回の招集メンバーに、旗手怜央が欲しかった。セルティックでは、中盤で使われている旗手だが、彼はポリバレントな選手だ。左SBでも起用できて、川崎フロンターレ時代には三笘と一緒にプレーしている。
なぜ、この話をしているか。それが、左の連携、「三笘対策」対策につながるからだ。
現代フットボールにおいては、サイドバックには多様な仕事が求められる。左MF(あるいは左WG)をサポートする際、オーバーラップとインナーラップの使い分けが必要になる。
SBがインナーラップを行った場合、守備側はマークを一枚そこに割かざるを得ない。その時、1対1のシチュエーションが生まれる。かくして、三笘の個の能力が活かされる。
オーバーラップでも、アイデアは同じだ。SBが外側のレーンを回り、状況としては「2対2」あるいは瞬間的に「1対1」ができる。回りくどい言い方をすれば、「1対2」を避けることができるのだ。
だが、今回の招集リストに、旗手の名前はない。
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