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【Yahoo!ニュース 個人】1月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

■Yahoo!ニュース 個人、1月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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1月のMVA

中東は戦争に向かうのか? 米国によるイラン・スレイマニ司令官殺害が意味するもの (川上泰徳)

筆者による受賞コメント:2016年にイラクでのIS掃討作戦に参加しているシーア派民兵についてイラクの関係者に取材した時、「民兵はイラク軍や警察ではなく、イラン革命防衛隊のスレイマニ司令官の指揮下にある」と聞いて驚きました。シリア内戦でもレバノン、イラク、アフガンから来ているシーア派民兵を統率する司令官は重要な役割を担っていました。今回、米軍による暗殺作戦の後、日本のメディアでは司令官を「イランの英雄」というだけで、どのような人物かという報道は不十分でした。緊迫する米・イラン関係と中東への影響を理解するために、司令官が担っていた役割を詳述し、暗殺の意味を探りました。記事が多くの人に読まれ、賞に選ばれたことをうれしく思います。(川上泰徳

選出理由:米国とイランの戦争突入危機に世界の注目が集まる中、その発端となった「スレイマニ司令官暗殺作戦」の意図するところを解説した記事です。イラン国外のメディアに姿をあらわす機会がほとんどなかったという重要人物暗殺の背景を、その人物像とあわせタイムリーに伝えられたのは、一年の半分を中東に滞在し取材活動を続ける筆者だからこそです。

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新型コロナウイルス感染症の「感染力」はどれくらい強いのか?(忽那賢志)

筆者による受賞コメント:2019年12月から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は1月になって世界中に広がり、毎日のように新しい情報が流れ状況が目まぐるしく変わっていきました。こうした新興感染症が広がっていく状況では、世間の不安を反映して誤った情報やデマが拡散しやすくなります。少しでも多くの方に正しい情報と正しい予防策をお知らせできればという思いで投稿をしていました。評価をしていただけて大変光栄です。(忽那賢志

選出理由:新型コロナウイルス感染症の感染のしやすさを評価した記事。中国を中心に感染が拡大する中、恐怖を煽るデマや根拠のない医療情報も蔓延しています。そんな中、現場で臨床にもあたる専門医として、その時点で分かっていることを着実に発信し、質の高い情報を継続的にユーザーへ届けてくれました。

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総理大臣と記者との会食が引き起こしている問題の深刻さに気付かないメディア(立岩陽一郎)

筆者による受賞コメント:首相とマスコミとの会食についてのツイートを目にした時、その問題点を明確にする必要が有ると感じました。拡散している人の多くは政権の問題ととらえていましたが、マスコミの側の問題がより大きいからです。日米の比較を書くだけでは不十分と思い、以前から議論を重ねてきた元日経編集委員にも取材しました。記事の反響は大きく、その後、新聞労連委員長にも取材して続報を出しています。この記事は日本の民主主義を問うものと考えており、その記事がMVAを得たことを励みに、更に取材を進めたいと思います。(立岩陽一郎

選出理由:首相とマスコミ幹部が会食していたことを報じるツイートを手がかりに「権力」と「マスメディア」の関係を問い直す記事です。本記事では「取材倫理」について警鐘を鳴らすだけでなく、「いつか公表される情報を先取りするニュース」が日本では評価されるためマスコミと権力の距離がどうしても近くなってしまうという構造上の問題も指摘しています。政権だけでなくメディアのあり方を同時に批判する切り口は、ニュース個人ならではの発信の形です。

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紅白歌合戦で最も長く歌ったのは誰か 歌唱時間で比べる歌手の差(堀井憲一郎)

筆者による受賞コメント:紅白歌合戦を見ているときに、一人ずつの歌が短いなと感じたんで、そのまま素直に計ってみて、書いた原稿です。時間を計るのは録画機器を使えばべつだん「調べる」というほどの手間でもなく、ただ記録していくだけの手間でしかないのですが、お正月にそういうことをしている人は少ないんでしょう。翌元日中に書き上げたかったのですが間に合わず、2日夜公開とちょっと遅くなってしまいましたが、予想外の多くの人に見てもらうことができました。「お正月」三が日というのは、ふだんとは違うテンポの時間が流れてるんだろうなとおもいました。(堀井憲一郎

選出理由:2019年末のNHK紅白歌合戦を3回見直し、歌手がどれだけの時間歌っていたのかを分析した記事です。曲名や歌う順番などは話題になりますが「歌っている時間」に着目し、2019年紅白の「目玉」はなんだったのかを解説。時間と手間をかけて、新しい視点を掘り起こして出てきた意外な結果に、読者も驚いたのではないでしょうか。

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高校サッカー決勝の明暗を分けたハーフタイム 静岡学園に引き継がれた井田イズム(元川悦子)

筆者による受賞コメント:このたびは、月間MVAに選出いただき、ありがとうございます。大変驚いています。静岡学園の高校サッカー選手権単独優勝は、井田勝通総監督の長年の悲願でした。私は24年前の鹿児島実業との両校優勝直後から井田さんにお世話になってきましたが、名将が努力と苦労を重ねて独自のスタイルを確立し、哲学を川口修現監督ら教え子たちに継承させた事実は重いとつねづね感じていました。それを多くの人に伝える義務があると思って、この記事を書きました。すでに現場指導の第一線から退いていることもあり、「あのサングラスのおじいさんは誰?」と言う高校生もいると聞きましたが、静学はやはり井田さんあってのチーム。今回の記事が歴史と伝統の重みを理解してもらう一助になったのならば、有難いです。やはり情熱ある指導者がいてこそ、日本サッカーのレベルは上がる。井田さんという偉大な人物を通して再認識してもらえたらうれしいですし、そういう指導者がもっともっと出てきてくれることを強く願います。(元川悦子

選出理由:1月13日に行われた高校サッカー選手権決勝のレポート記事です。試合は2点差をひっくり返した静岡学園高が24年ぶりの優勝を飾りました。筆者はゲームの流れを変えたハーフタイムでの「ある出来事」に注目。逆転劇の背景に迫りながら、同時にサッカー部に脈々と流れる井田総監督の哲学も描いた記事です。

1月のMVC

『ゴーン弁護団がPC差し押さえ拒否か 事務所立ち入り』の記事へのオーサーコメント(楊井人文)

筆者による受賞コメント:最近になってオーサーコメントを少し頑張り始めたところ、思いがけず月間MVCをいただき、嬉しく思います。特に一方的にバッシングに傾きがちなニュースは、ときに事実関係の欠落やミスリーディングなものが散見されるため、当事者を考えて慎重に取材報道してもらいたいという思いからコメントするようにしております。ただ、タイムリーにコメントするのもなかなか難しいものだと感じており、間違ったことや危ういコメントもしてしまわないよう(時々ミスをして訂正しております…)注意したいと思っています。今後も試行錯誤が続くと思いますが、よろしくお願いします。(楊井人文

選出理由: ゴーン被告の国外逃亡事件に関連して、弁護士の事務所が家宅捜索され、弁護士が差し押さえを拒否したという記事内容の中で抜け落ちた視点を冷静に解説し、誤りを正してくれました。差し押さえ拒否は法に則った行為であること、海外メディアはどう報じたのか、記事の問題点を限られた文字数の中でわかりやすく説明してあります。一報を伝えるだけの記事への解説という意味で、模範的なコメントです。

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