子供の自己肯定感を育む絵本(6選)子供の脳と心を育てる読み聞かせ育児 絵本が育てる非認知能力
近年、非認知能力という言葉が注目されるようになりました。非認知能力とは、読み書き計算やIQといった数値化できる能力ではなく、自己肯定感をはじめとして積極性や忍耐力、対応力、リーダーシップなど生きていくために必要な能力のことを言います。特に自己肯定感は、非認知能力の中でも最も重要な力であると言われています。自己肯定感とは、ありのままの自分を前向きに捉えることができる感覚のことを言い、子供の行動に大きな影響を与えると言われています。様々なことに自信をもって挑戦したり、失敗しても挫けないでもう一度頑張れる力を持った子供は、自己肯定感が高いと言われています。子供が困難を乗り越えて、前向きに生きていくために、自己肯定感はしっかりと育ててあげたい力です。
内閣府によると、日本を含めた7か国の満13歳~29歳の若者を対象とした調査で「私は自分自身に満足している」という質問に「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した日本の若者は、45.1%という7か国の中では最下位という結果が出ているそうです。
参考:内閣府による日本の若者が自分自身をどう捉えているかに関する調査
子を持つ親として、このアンケートの結果は非常にショックを受けました。SNSの普及など子供を取り巻く環境は、他人と比較しやすい状況が生まれています。親としては、子供たちには他人との比較ではなく、自分の軸をしっかり持って自分自身が心から好きなことや夢中になれるものに打ち込んで欲しい、困難なことでも挑戦する前向きな姿勢や失敗しても挫けない強い心を育ててあげたいと思いました。そして成長していく中で、たくさんの本を読んで様々な価値観に触れて、自分の糧にして生き抜いて欲しいと願っています。私は妊娠中に、絵本を通して子供の生きる力を育ててあげたいと思いたくさんの絵本を集めました。私の絵本好きが高じて我が家の絵本や児童書の蔵書量は1000冊に渡り、日々の子育ての中で絵本は大切な相棒のような存在になっていました。そんな我が家の1000冊の絵本の中から、自己肯定感を高めるために役立つ絵本をご紹介いたします。
「ペツェッティーノ じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし」好学社 作:レオ=レオニ 訳:谷川俊太郎
小さなペツェッティーノは、周りのみんなは大きくて素晴らしいけれど、自分は取るに足らない誰かの部分品だと思っていました。ペツェッティーノは誰の部分品なのか尋ね歩き、とうとう船出することに・・・。ペツェッティーノの自分探しの物語です。「自分は一体何者なのか」若い頃は、誰しもそんなことを考え悩み、自分探しを経験してきているものだと思います。母としては、どんな自分であっても自分は自分でしかないということを前向きに捉えられる心が育ってくれたらと願っています。幅広い世代が楽しめる絵本だと思います。
「すうがくでせかいをみるの」ほるぷ出版 作:ミゲル・タンコ 訳:福本友美子 日本語版監修:西成活裕(東京大学教授)
音楽が好き、昆虫が好き。みんな好きなことは違うけれど、好きなことを通してみる世界は自分だけに見える素敵な世界、数学が大好きな女の子が数学を通してみる美しい世界を教えてくれる絵本です。大好きなことがあるって素敵なことだと思います。子供達には、自分が心から夢中になれることに全力で向き合って、本当の達成感を味わってほしいと願っています。著者のミゲル・タンコさんの最後のページのメッセージが大好きです。
「スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし」好学社 作:レオ=レオニ 訳:谷川俊太郎
「スイミー」は小学生の国語の教科書に40年にわたり掲載されている、世界的な名作ですね。家族を失い一人ぼっちになったスイミーが広い海の中で、再生していく物語です。他の人と違う部分は特性として、そこを生かしてスイミーは生き延びていきます。家族を失い、孤独と絶望の中にいたスイミーでしたが、広い海で美しいものや様々な生き物たちと出会い、生きることの喜びや感動を知っていくのです。世界を広げたくましく生き延びていったスイミーのように、我が家の子供たちも広い世界で見聞を広め、生きる喜びと強い心を育ててあげたいと思い、繰り返し読んだ絵本です。
「しょうぼうじどうしゃじぷた 福音館書店 作:渡辺茂男 絵:山本忠敬
町の消防署では大きな高圧車のぱんぷくん、背の高いはしご車ののっぽくん、怪我人を運ぶ救急車のいちもくさんは、かっこよくて子供たちの人気者。そんな消防署の中で、小さな消防自動車のじぷたは「ちびっこ」といつもみんなにバカにされていました。そんなある日山火事が起こり・・・ちびっこじぷたが大活躍するお話です。小さなじぷただからこそ出来ることある、子供にそんなメッセージが伝わってくれたら良いなと思って読んでいました。どんな自分でも自分にできることを精一杯やり抜いて、自分の生きる道を見つけてくれたらいいなと願っています。
「とべ!ちいさいプロペラき」福音館書店 作:小風さち 絵:山本忠敬
小さなプロペラ機が初飛行を迎えるまでの物語です。大きなジェット機との交流がとても素敵なお話で「ひろいそらでは、ぼくらのおおきさのことなどわすれてしまうよ」というジェット機のセリフが大好きです。このジェット機が本当にかっこいいのです。こんな人生の先輩との出会いが子供たちにも訪れてくれたらいいなと思います。乗り物の絵本の世界で第一人者と言われる山本忠敬さんの絵が、爽快感があって美しくて絵本の世界に引き込まれます。いつの日か子供たちを見送る日、胸を張って力強く巣立っていってくれたらいいなと願いを込めて読んでいる絵本です。
「きみのことがだいすき」パイ インターナショナル 作・絵:いぬいさえこ
子供たちだけでなく日々、一生懸命生きている大人にも優しい言葉に溢れた絵本です。子供たちが社会に出たとき、この絵本のようには優しくはない現実や厳しさに打ちのめされてしまうこともあるかもしれませんが、世界中でこんなふうにあなたたちのことを思っている存在がいることを忘れないでいてくれたらと思い読んでいます。大切な人に伝えたい言葉に溢れた素敵な絵本です。
今回は、自己肯定感を育むためにおすすめしたい絵本をご紹介いたしました。子供たちが成長していく過程で、失敗したり上手くいかないこともあるかもしれません。そんなときに落ち込んでも、もう一度立ち上がる底力を絵本を通して育ててあげたいですね。自己肯定感を高めてあげることで、挑戦する意欲や向上心も育っていくものだと思います。お子様の一生の宝物になるような素敵な絵本とたくさん出会えますように。
高木美紀
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