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手紙を書くことでアップする子供の能力とは?!ページをめくるのがワクワクする可愛いすぎる手紙の絵本

高木美紀絵本の蔵書1000冊

 最近は手紙を書くということは、めっきり少なくなりましたね。今は、オンラインで遠くにいる人たちと、気軽につながることができるようになりました。私が子供の頃はまだ、祖父母や引っ越しして会えなくなってしまった友達と手紙のやり取りをすることもわりとあって、自分宛てに可愛い封筒で手紙が届くと、嬉しいものでした。

 今では年賀状すら出さなくなった人も多い手紙ですが、実はこの手紙を書くことは、子供の『言語力』を鍛えるために効果的であると考えられているのです。言語力とは、言葉を使って考え、その内容を正確に伝える能力です。これは読む、書く、聞く、話すといった基本技能に加えて、思考力や感性、情緒とも関わり、自己および他者との対話を可能にする非常に大切な力です。これは、国語力を超えた能力として、文部科学省の言語力育成協力者会議が提唱した概念で、言語力を育むことで自己表現や他者理解、共同生活の能力も向上させることが期待されています。

 幼児期には、多くの言葉を知ること、読み書き、そして話すといった国語の基礎的な練習に加えて自分の気持ちを表現する力を養います。このような言語力の基礎を育むために有効と考えられているのが、実は手紙を書くことなんです。小学校学習指導要領では「言語力」「思考力」「表現力」「コミュニケーション力」「情報活用力」といった能力が求められていますが、手紙を書くという作業が、このような能力を鍛えるために効果的と考えられているのです。

 手紙を送る相手を決め、その内容を考えるプロセスは、コミュニケーション能力の向上に役立つと考えられます。手紙を送る相手のことを考えて便せんや封筒を選んだり、適切な言葉を選ぶことは、思いやりやTPOに配慮することに繋がりますし、季節に合わせたはがきや切手、そして挨拶の言葉選びも、四季折々の美しさに触れ感性を磨き、日本の文化を学んでいくことにもつながります。そして、手紙を書くことで自分の気持ちや必要な情報を適切に相手に伝えるために、どのような言葉が最適かを考えたり選んだりすることで、読み書きの力、語彙力や表現力の向上も期待できます。

 今ではすっかり廃れてしまった手紙を書くということが、実は様々な能力を鍛えてくれていたのです。子供が自分宛ての手紙が届いたり、相手のことを思いながら手紙を綴るというワクワク感を味わう機会は少なくなってしまいましたが、相手のことを想いながら便せんやはがきを選んだり、四季折々の美しい言葉を交えた挨拶を添えた手紙を書いてみる機会は、子供の成長にとって貴重な体験です。

 そんな手紙のちょっと特別なワクワク感を伝える絵本があるのです。絵本の中の主人公になったつもりで、ぜひ読んでみて下さい。手紙のもつオンラインとは違った魅力がお子様に伝わってくれたら幸いです。

『フェリックスの手紙 小さなウサギの世界旅行』

作: アネッテ・ランゲン 絵: コンスタンツァ・ドロープ 訳: 栗栖 カイ

出版社: ブロンズ新社

『フェリックスの手紙 小さなウサギの世界旅行』作: アネッテ・ランゲン 絵: コンスタンツァ・ドロープ 訳: 栗栖 カイ出版社: ブロンズ新社
『フェリックスの手紙 小さなウサギの世界旅行』作: アネッテ・ランゲン 絵: コンスタンツァ・ドロープ 訳: 栗栖 カイ出版社: ブロンズ新社

世界中から手紙が届く気分を味わえる!最後は可愛いお土産もお楽しみに!

 ウサギのぬいぐるみのフェリックスが世界中の様々な国から手紙を届けてくれるという夢いっぱいの絵本です。フェリックスが6カ国から送ってくれる手紙は、実際に封筒から取り出して読める仕掛けになっていて、まるで自分宛てに届いた手紙のようで、ワクワクしてしまいます。封筒や切手もその国のイメージで選ばれているのが、とても素敵です。我が家の子どもたちは、フェリックスから手紙が届いた国を地図や地球儀で調べたり、「いつか私も世界中を旅して、お手紙を書きたいな。」なんて夢を広げています。子供の好奇心や世界を広げてくれたとても素敵な絵本です。手紙も含めると少し文字数が多くなるので、小さなお子様に読み聞かせる場合は、一か国ずつ数日かけて読んであげると良いですね。1日1通ずつ、数日間かけて世界中から毎日手紙が届いたような気持ちを味わえますよ。最後のページのフェリックスからの可愛いお土産もお楽しみに!

『こんにちは おてがみです』

文:中川李枝子 絵:山脇百合子 文:筒井頼子 絵:林明子 作:加古里子 文:富安陽子 絵:降矢なな 絵:さとうわきこ 作:こいでやすこ 作:佐々木マキ  作:村山桂子 文:堀内誠一 作:スズキコージ 作:カズコ・G・ストーン 絵・書き文字:にしむらあつこ 

出版社: 福音館書店

みんな大好き「ぐりとぐら」など、人気絵本の主人公たちからあなたに10通のお手紙が届きました!

「こどものとも」50周年の記念出版の絵本です。「ぐりとぐら」や「だるまちゃん」など人気シリーズの絵本の主人公たち10人のお手紙の絵本で作られた絵本です。封筒から手紙を取り出して読める作りになっているので、本当に自分宛てに絵本のキャラクターたちから手紙が届いたように嬉しい気持ちになってしまいます。封筒のデザインも全部違っていてかわいいです!借りた絵本でなければ、封筒の宛名のところにお子様の名前を入れてあげると、よりリアルで嬉しいと思いますよ。手紙の文字も手書き風で、それぞれのキャラクターの味があるのが良いですね。最後のページは、人気絵本のキャラクターたちの夢のコラボレーションが楽しめる特大ページが付いています。この特大ページのキャラクター探しがまたとても楽しいのです。お子様だけでなく、パパもママも子供時代に親しんだ絵本のキャラクターの大集合にワクワクしてしまいますよ。なかなか見れないキャラクターの組み合わせに大興奮してしまいました。懐かしい絵本のキャラクターたちからの手紙に、もう一度あの絵本を読み返したいななんて思いながら、パパママにもぜひ楽しんでもらいたい絵本です。

言葉だけではない手紙の持つ魅力が、絵本から伝わりますように!

 誰かを想いながら、自分の言葉で気持ちを綴るってとても素敵なことだし、手書きの文字はその人らしさがあって味わい深いものです。特に子供の文字で書かれた手紙って、「ありがとう」の一言でも、ジーンと感動してまったりします。この封筒がいいかな?このはがきの方が届いたとき嬉しいかな?とか、子供が相手の気持ちを考えながら一生懸命選んで完成した手紙は、ひとつの作品ともいえるかもしれません。そんなお子様の気持ちのこもった手紙が届いたらきっと嬉しいと思いますし、季節のはがきや切手選びの時間は、学びでもありますが楽しい時間でもあります。この絵本を読んで手紙っていいな、書いてみようかなとお子様が興味を持ってくれたら幸いです。

高木美紀

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絵本の蔵書1000冊

元塾講師の2児の母。絵本、児童書の記事を執筆しております。絵本と児童書が大好きで、気が付けば蔵書量1000冊「日本一、本が好きな子供を育てる」を目標に子育てしてきました。そんな我が家の1000冊の絵本の中から、おすすめの絵本をご紹介します。

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