エンジェルスがオプションを破棄した投手と契約を交わした投手は、どちらもサイドからシンカーを投げる左腕
今月初旬、ロサンゼルス・エンジェルスは、エアロン・ループの球団オプションを破棄した。来シーズン、年俸750万ドルでループを保有するのではなく、解約金の250万ドルを支払うことを選んだ。
今月下旬、エンジェルスは、アダム・コレアリックと1年90万ドルの契約を交わしたことを発表した。
ループとコレアリックは、どちらも左のリリーバーだ。コレアリックのほうが角度は低いが、どちらもサイドアーム(横手投げ)。シンカーを主体にゴロを打たせる投球も共通していて、年齢も近い。ループは、12月に36歳の誕生日を迎える。コレアリックは、来年1月に35歳となる。
ループは、ここ3シーズンとも55試合以上に登板したが――2021年はニューヨーク・メッツ、2022~23年はエンジェルス――そのシーズン防御率は、0.95→3.84→6.10と推移している。エンジェルスでなくても、来シーズンのオプションを破棄するだろう。
ただ、左のリリーバーが不足しているとはいえ、コレアリックの加入がブルペンの補強となるのかについては、疑問符がつく。ここ3シーズンは、計32登板の32.2イニングで防御率4.68。今シーズンは防御率0.00ながら、5登板の6.0イニングなので、サンプル数としては少なすぎる。今シーズン、AAAでは、46登板の42.2イニングで防御率3.80だった。
しかも、コレアリックは、マイナーリーグ・オプションが切れているので、降格させるには、ウェーバーを経る必要がある。
ちなみに、ループは、通算12シーズンの591登板で515.0イニングを投げ、防御率3.43を記録している。コレアリックは、7シーズンの175登板で149.1イニング、防御率3.62だ。
これは、支出の削減が目的なのだろうか。ループの解約金250万ドルとコレアリックの年俸90万ドルを合算しても、ループのオプションを行使した場合の半額に満たない。
とはいえ、もし、エンジェルスが大谷翔平と再契約を交わしたいと本気で思っているのなら、これくらいの金額を浮かせたところで、大谷に申し出る契約の総額が大して増えるわけではない。また、大谷が望んでいるはずの勝てるチームを作り上げるのに、コレアリックには失礼だが、これまでの実績からすると、ふさわしい選手だとは思えない。
もしかすると、ループやコレアリックのようなタイプのリリーフ投手を、ペリー・ミナシアンGMが好んでいる、ということなのだろうか。今オフ、エンジェルスが向かおうとしている方向は、まだ見えてこない。