4つのキーワードで語るホテルのビアガーデン「ホテビア」2017年のトレンド
ホテルのビアガーデン
ここ最近30度を超える暑い日が続いており、本格的に夏がやってきたと感じるところではないでしょうか。夏と言えばビール、ビールと言えばビアガーデンです。
ビアガーデンはホテルも力を入れており、人気が高まっています。昨年までに以下のような「ホテルのビアガーデン」=「ホテビア」の記事を書きました。
今年のホテビアはどのような傾向があるのでしょうか。詳しく説明していきます。
ホテビア一覧
まず注目のホテビアをざっと挙げていってみましょう。
- ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド
2017年4月1日(土)~8月31日(木)
ラ・スイート ガーデン フェスト「DEAR WOMAN」
- ザ・リッツ・カールトン大阪
2017年4月7日(金)~10月31日(火)
5階テラス「開業20周年記念 紳士淑女のためのラグジュアリー・ビアガーデン」
- 吉祥寺第一ホテル
2017年4月14(金)~8月31日(木)
8階ガーデンテラス「ジンギスカンビアガーデン 2017」
- ヒルトン東京お台場
2017年4月22日(土)~ 10月22日(日)
バーベキューテラス アブレイズ「TERRACE B.B.Q」
2017年5月3日(水)~ 10月22日(日)
シースケープ テラス・ダイニング「夏季限定テラス オイスター× クラウディー ベイ ~牡蠣小屋スタイル~」
2017年5月27日(土)~10月22日(日)「お台場クラフトビアガーデン」
- セント レジス ホテル 大阪
2017年4月22日(土)~2017年9月30日(土)
セントレジスガーデン「シャンパン&ビアガーデンテラス」
- ホテルニューオータニ大阪
2017年4月24日(月)~2017年8月31日(木)
フォーシーズンズ「PENTHOUSE SPARKLING BAR- THE BURST 2017-」
- 大阪新阪急ホテル
2017年4月28日(金)~10月1日(日)
阪急ターミナルビル屋上「阪急トップビアガーデン」
- 京都新阪急ホテル
2017年5月9日(火)~9月30日(土)
ホテル屋上「阪急トップビアガーデン京都」
- ラ・スイート神戸オーシャンズガーデン
2017年5月11日(木)~9月29日(金)
ラウンジ&テラス ル・オーシャン「オーシャンズビアガーデン」
- ホテル・アゴーラ大阪守口
2017年5月12日(金)~10月7日
「ボタニカルビアガーデン 2017」
- ヒルトン東京
2017年5月20日(土)~10月15日(日)
ホテル7階のルーフトップテラス「天空のビアガーデン2017ルーフトップBBQテラス」
- 帝国ホテル 東京
2017年5月22日(月)~8月31日(木)
インペリアルラウンジ アクア「プレミアムシャンパンフリーフロー」
- グランド ハイアット 東京
2017年6月1日(木)~ 9月30日(土)
フレンチ キッチン「ガーデニックテラス バーベキュー」「Soiree Blanche ~ソワレ ブランシュ~白がテーマの南仏発祥サマーイベント」、オーク ドア「サマービアガーデン & スモークバーベキュー」
2017年7月3日(月)~8月31日(木)
「昭和 ビアガーデン ~六本木6丁目の夕焼け~」
- 京王プラザホテル
2017年6月1日(木)~ 9月30日(土)
樹林「プレミアムビアプラン」、五穀亭「プレミアムビアプラン」、オーロラ「スカイビアプラン」、南園「ビアプラン」、かがり「ビアプラン」
- 東京プリンスホテル
2017年6月10日(土)~2016年9月18日(月)
ガーデンアイランド「夏のバーベキュー」
- ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル
2017年6月16日(金)~同年9月18日(月・祝)
オーシャンテラス外テラス「ベイサイドビアガーデン はまビア!」
- 八事サーウィンストンホテル
2017年6月17日(土)~9月3日(日)
宴会場ヴィラスカラ「八事の森ビアガーデン」
- ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
2017年6月19日(月)~9月18日(月)
宴会場パークレーン「緑と海のビアガーデン」
- ストリングス ホテル 名古屋
2017年6月21日(水)~9月22日(金)
ルーフトップガーデン「ハワイアンビアガーデン」
- ハイアット リージェンシー 大阪
2017年6月24日(土)~9月24日(日)
9F屋上ガーデン「ベイサイドBBQ ~ハワイアンブリーズ~」
- パレスホテル東京
2017年7月3日(月)〜9月29日(金) 平日限定
グランド キッチン「Summer Terrace Gathering」
- パーク ハイアット 東京
2017年7月13日(木)~9月18日(月・祝)
デリカテッセン「パーク ブリュワリー」
東京、大阪、名古屋を中心にして挙げましたが、ここに挙げたホテル以外でも行われていることを考えれば、ホテビアが広く開催されていることが分かるでしょう。
一昔前であれば、ホテルでビアガーデンなど行われていなかっただけに、本当に時代が変わったものだと感じさせられます。
特徴
これだけ多くのホテビアがありますが、今年2017年では以下の要素に注目したいです。
- 開始時期の早期化
- フリーフローの充実
- 世界観の創出
- ブロシェットでシェア
開始時期の早期化
町場では3月下旬からビアガーデンが始まっていますが、ホテビアもさらに開始が早まっており、ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド「DEAR WOMAN」は女性にターゲットを絞って4月1日から、ザ・リッツ・カールトン大阪「開業20周年記念 紳士淑女のためのラグジュアリー・ビアガーデン」は4月7日からというように、4月初旬から開始しています。
4月から開始するホテビアはかなり早い方であるとしても、5月から多くのホテビアが始まり、ビールがおいしくなる6月になってくると、ほぼ全てのホテビアが開始されているという状況です。
早い時期からホテビアを始めて広く認知してもらい、初秋まで開催して多くの人に利用してもらうことができれば、同じ企画立案コストに対して効果が高くなります。開始時期の早期化は、高い人気を誇るイチゴが、本来の旬である春ではなく、寒さが深まってくる12月から出始め、クリスマスケーキやデザートブッフェの主役になった現象と似ているでしょう。
集客力があってメディアの露出も多くなっているホテビアは、もはやホテルにとって重要なフェアの一つとなっているのです。
フリーフローの充実
ホテビアにはフリーフローが付き物となっています。フリーフローにすることで単価を上げられることに加えて、お得感も演出できます。ホテルは敷居が高いというイメージを持っている人も、安心して訪れることができるでしょう。
ただし、ビアガーデンのフリーフローとは言えども、国内大手ビールメーカーのブランドだけでは他と差別化できません。珍しいクラフトビールに加えて、有名シャンパーニュやオリジナルのカクテルもランナップに加えられ、フリーフローの魅力がより増しています。
帝国ホテル 東京「プレミアムシャンパンフリーフロー」ではモエ・エ・シャンドン ブリュット アンペリアルやバロン・ド・ロスチャイルドを、グランド ハイアット 東京「ソワレ ブランシュ」ではポメリーサマータイムとポメリー ロワイヤル・ブルースカイを、パレスホテル東京「Summer Terrace Gathering」ではローラン・ペリエ ブリュットを、セント レジス ホテル 大阪「セントレジスガーデン」ではパイパー・エドシックを提供し、有名なシャンパーニュを好きなだけ楽しむことができるのです。
ザ・リッツ・カールトン大阪「開業20周年記念 紳士淑女のためのラグジュアリー・ビアガーデン」ではオリジナルビールを、ヒルトン東京お台場「お台場クラフトビアガーデン」では6種類ものクラフトビールを、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「緑と海のビアガーデン」ではカクテルを中心とした70種類をも超えるドリンクを堪能できます。
フリーフローを行ってお得感を出すことは有効ですが、多くのホテビアでフリーフローが行われているだけに、より魅力的なドリンクを取り揃えたり、よりバリエーションを豊かにしたりと、付加価値を高めていかなければなりません。
世界観の創出
おいしくて他では食べられない料理を作ったり、有名シャンパーニュやユニークなカクテルを提供したりするだけでも、他のホテビアと差別化できます。しかし、さならる差別化を図るには、全体にテーマ性を持たせ、テーマと店の雰囲気、料理、ドリンクをつなげ、より濃厚なひと夏の体験に昇華させることが重要となるのです。
ヒルトン東京お台場ではビールに合う牡蠣小屋をイメージした「夏季限定テラス オイスター× クラウディー ベイ ~牡蠣小屋スタイル~」をオープンし、「飲むスタイル」と謳って牡蠣入りカクテルを考案しました。
大阪新阪急ホテル「阪急トップビアガーデン」では「リゾート×キャンプ」をコンセプトにして「グランピングコーナー」を新設し、ホテル・アゴーラ大阪守口「ボタニカルビアガーデン 2017」はサファリ・リゾートをテーマにしてワイルドな肉料理を提供しています。
ヒルトン東京「天空のビアガーデン2017ルーフトップBBQテラス」では、西新宿のオフィス高層ビル群の中にありながら都会のオアシスで楽しむDIYバーベキュー体験をモチーフとし、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「緑と海のビアガーデン」は快適な宴会場にからレインボーブリッジを臨みながら優雅にホテビアを楽しめるようになっています。
ストリングス ホテル 名古屋「ハワイアンビアガーデン」やハイアット リージェンシー 大阪「ベイサイドBBQ ~ハワイアンブリーズ~」はハワイをテーマにし、ハワイの料理やデザートを提供しています。ハワイというリゾート地がテーマとされている一方で、グランド ハイアット 東京「昭和 ビアガーデン ~六本木6丁目の夕焼け~」では昭和の赤ちょうちんをイメージした世界感になっており、高級ホテルにいることとのギャップとタイムスリップした感覚が興味深いです。
東京プリンスホテル「ビアレストラン ガーデンアイランド」は夏の間だけオープンし、特別な場所という存在感を確立しています。それに加え、3万円を超える「神戸ビーフ&伊勢海老(国産)プレミアムセット」などが提供されており、ビアガーデンらしからぬプレミアム感を演出しています。
ブロシェットでシェア
日本で串を使った料理と言えば焼き鳥や串揚げが一般的ですが、数年前までは串を使った欧風料理は珍しいものでした。それが最近になって変わってきており、欧風料理の串焼きであるブロシェットがホテビアでも人気となってきています。
グランド ハイアット 東京「ガーデニックテラス バーベキュー」ではビーフやチキンを、パレスホテル東京「Summer Terrace Gathering」ではシュリンプのプランチャ、仔羊肩肉のロースト、粗挽きソーセージ、タンドリーチキン、ローストパイナップルを、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「緑と海のビアガーデン」ではビーフとチキン、夏野菜をブロシェットにしているのです。
ホテビアには3~4人以上で訪れることが多いので、ブロシェットのようにみんなでシェアして分かち合いながら食す料理が適していると言ってよいでしょう。ホテビアの解放感と相まって、「同じ釜の飯」ならぬ「同じ串の肉」を食べることが楽しさにつながっているのです。
2017年のホテビア
キリンビール大学が2016年7月に作成したレポートによると、2004年から2014年の10年間の間で、ビールの消費量は27%も落ちていますが、ワインは55%も増え、スピリッツ類は438%も増えています。
こういったマーケットの移り変わりに呼応して、ビールだけではなくシャンパーニュやカクテルもフリーフローで提供し、非日常的な世界観も創り出しながらも、一緒に分かち合って食べる楽しさを提供するホテビアは、この2017年も多くの人々にひと夏の思い出を残すのではないでしょうか。