ホテビア2016、注目するべきホテルのビアガーデン
人気が高まっているビアガーデン
夏の風物詩のひとつに、ビアガーデンがあります。
昨年キリンビールが行った調査では、ここ数年にかけてビアガーデンに興味のある人の割合が増えており、しかも「必ず行くつもり」という人の割合が年を追う毎に増えてきています。このビアガーデン人気を背景にホテルのビアガーデンも支持を得ており、昨年「ホテビアが人気の理由、ホテルビアガーデンの今」という記事の中で、私は進化しているホテルのビアガーデンを「ホテビア」と命名しました。
今年のホテビアはどうなっているのでしょうか。
- 定番のホテビア
- 勢いのあるホテビア
- 進化するホテビア
定番化しているホテビアの行方、勢いのあるホテビアの拡大、進化しているホテビアの英知、以上の観点から今年のホテビアを紹介しましょう。
定番のホテビア
東京プリンスホテル
東京プリンスホテル「ビアレストラン ガーデンアイランド」は毎年「森の中のビアガーデン」を行っています。昨年は女性ホテリエによる女性のためのプロジェクト「TOKYO HONEY PROJECT」が考案したレディースバーベキューセットを提供したり、飲み放題にノンアルコールカクテルを含めたりと、女性を意識していました。
今年は、和牛サーロインと伊勢海老を食べられるビアガーデンとは思えないようなラグジュアリーなセットや、乾杯用スパークリングワイン付きで野菜もバランスよく取り入れた女性限定メニューなど6種類もプランを用意して、納涼会、ファミリー、女子会などさまざまな用途に合わせられるようにしています。
さらには、朝早くから活動する「朝活」ならぬ、早めに仕事を終えて活動する「ゆう活」やサマータイムの利用を見込んで、7月と8月は営業開始時間を30分早めて17時から開始しているところも注目です。
1967年7月のビアガーデン開始から50年を迎える今年は、ホテビア先駆者の誇りにかけて、幅広い層を取り込むという戦略なのでしょう。
京王プラザホテル
京王プラザホテルでは、昨年2015年10月30日にリニューアルオープンした「樹林」で、これまでと同様に、6月1日から9月30日まで「Jurin ビアナイト」を開催します。1コイン500円からフードが用意されていたり、2時間フリードリンク2500円が用意されていたりと、ホテルにしてはとても利用し易くなっています。
これと同時に、都内ホテル初のコリアンダイニングとして2004年にオープンした「五穀亭」のビアコーナーでは「韓国料理 de ビアホール」が行われています。ビールだけではなくマッコリも飲めたり、チヂミ、サムギョプサルの鉄板焼、韓国かき氷のパッピンスを食べられたりと、他のホテビアにはないフードやドリンクを楽しむことができます。
1995年7月からビアガーデンを開始し、1杯数百円でビールを提供して親しまれてきた京王プラザホテルは、リニューアルした樹林と他のホテルにはないコリアンダイニングで、使い勝手のよい都心のビアガーデンを引き続き行っていきます。
勢いのあるホテビア
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイは昨年から始めた「森のビアガーデンby InterContinental Tokyo Bay」を今年も7月から行います。
ラグジュアリーなホテルの宴会場を幻想的な森の雰囲気に仕立てたことは新機軸で、これに加えて、レインボーブリッジやお台場、隅田川などの東京湾岸夜景を望めることもポイントです。できたてにもこだわり、宴会場内にライブキッチンを設けています。サザエのつぼ焼きのアヒージョやマグロスペアリブの香草焼きなど、ビールに合う料理を用意し、カラフルな彩りが楽しいレインボービアカクテルやクラッシュ・クール・カクテルなど、新たなドリンクも考案しています。
「ヘルシー・ビューティ・フレッシュ」というコンセプトを体現した料理やドリンクが人気を博しているため、昨年は宴会場「カールトン」だけで行っていましたが、今年はこれに加えて「メイフェア」でも行うようにして、開催日を増やしています。
白金アートグレイスクラブ
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイのビアガーデンの好調を受けて、同じくツカダ・グローバルホールディング傘下であるベストブライダルのゲストハウス、白金アートグレイスクラブでも、7月1日から9月18日まで「緑あふれるプレミアムビアガーデン」を開催します。
森を意識したテーマは引き継がれており、会場内に約2メートルのドウダンツツジが飾られ、夜の森をイメージしています。キャンドルの光に包まれた癒しの空間で「パワー・エナジー・カラフル」をテーマにし、専属シェフが目の前で仕上げるなど、ライブ感にもこだわっています。
ホテビアではありませんが、本来はビアガーデンとは程遠いイメージのあるゲストハウスで、ビアガーデンが行われるのは時代の新しい流れであると言えるでしょう。
グランド ハイアット 東京
ラグジュアリーホテル「グランド ハイアット 東京」は何故フリーフローに力を入れるのか?でもご紹介したように、いくつものテラスを持っているグランド ハイアット 東京は今年、「ガーデン」をテーマとしたビアガーデンを6月1日から開催します。
江戸前寿司「六緑」には、2012年にオープンした、都内のホテルでは初めてとなる寿司屋のテラス席「和テラス」があります。ここで大皿に盛ったお寿司をターンテーブルでシェアしながら食べるという、新しい寿司のスタイルを楽しめるテラス限定プランを提供しています。
オールデイ ダイニング「フレンチ キッチン」では、ガーデンをテーマにしたソムリエ厳選ワイン付きのコースメニュー 「ガーデンビストロノミー」を食べることができます。ベジタブルガーデンに見立てたサプライズ感あふれるアミューズ ブーシュ、前菜、メインディッシュ、デザートというコースで、ビアガーデンの料理というイメージは全く感じられません。近年注目されている「ビストロノミー」をコンセプトにした本格的な料理によって、他よりも一歩先んじようとしています。
ステーキハウス「オーク ドア」では、キューバン&カリビアンフードやカクテルを提供するテラス限定ビアガーデン「オークドア ビアガーデン 2016」を行います。カリビアン風のハムとチーズを挟んだサンドイッチなどキューバやカリビアンの人気フードを楽しめるのは面白いところで、肉料理のイメージが強い普段のオークドアとは違う雰囲気となっています。
都内ホテルで有数の美テラスを擁するグランド ハイアット 東京だけに、ビアガーデンとの相性もよいと言えるでしょう。
進化するホテビア
ホテルニューオータニ
ホテルニューオータニは、400年の歴史を誇り、1万坪という都内屈指の広大な日本庭園を有しています。緑が溢れるその日本庭園の中に、ガーデンレストラン「もみじ亭」があります。このもみじ亭では、今年2016年から、日本庭園と鉄板焼とビアガーデンがコラボレーションした「プレミアムビアガーデン」を8月15日から19日の5日間にだけ行います。
高級料理の代名詞である鉄板焼とプレミアムビールを合わせたフェアで、フリードリンク付きのプランが昼10000円、夜12000円となっています。夜だけではなく昼も行っており、日本庭園に囲まれた健康的なビアガーデンを楽しめるのがポイントです。
今年から始められるこの新しいビアガーデンは、昼のホテビアを加速させることになるかも知れません。
ヒルトン東京
ホテル7階のルーフトップテラスというエクスクルーシブな空間と「天空のビアガーデン」という麗しい名称で注目されているヒルトン東京は、肉ブームのトレンドを取り入れた「天空のビアガーデン 肉テラス」を6月9日から9月30日に開催します。
肉料理の有名店や人気店が登場して、牛、豚、羊、鶏肉の本格料理を目の前で焼き上げます。期間中のべ20を超える店が登場し、肉料理は随時入れ替わるので、肉好きは特に目が離せません。コラボレーションする店は、テレビでもよく紹介される「肉の匠将泰庵」、幻の高級種大田原牛を提供する「大田原牛超」などで、他にも、ラテン風ラムチョップ チュミチュリソース、四川風たっぷり香辛料のよだれ鶏、プルコギバーガーなど、ビールやワインに合うメニューが取り揃えられています。
さらには、「FIDO INC×MHD モエ ヘネシー ディアジオ」プロデュースによるVIPラウンジを設置し、バトラーサービスが付いて、ワンランク上のビアガーデンを楽しめるようにしています。
開始時間が他よりもずっと早い15時から開催しているのも特徴の一つです。
2016年のホテビア
去る5月23日、東京で31度の気温を記録して、夏の兆しが感じられるようになってきており、それと同時にホテビアも始まってきていますが、老舗らしく固定客をしっかりと掴んだり、コンセプトや施設の強みを際立たせたり、他とコラボレーションして新たな魅力を獲得したりと、ホテビアは多様性があって大変興味深いです。
数ヶ月しか開催していないので、みなさんも自身の五感でひと夏のホテビアを体験してみてください。
元記事
レストラン図鑑に元記事があるのでご参考にしてください。