東京・築地にスタジアムができる? 日比谷線や大江戸線では不足、再開発に合わせた鉄道計画はどうするのか
東京都中央区にある築地市場跡地の再開発はどうするか、ということが豊洲移転後に長いこと検討されている。これはいまだに決まっていない。
そんな中、『日本経済新聞電子版』で9月7日夜、三井不動産を中心とする企業連合が東京都に提出した案の概要が記事になった。
読売新聞グループ本社が参加し、多目的スタジアムをメインにする再開発を行うという。2030年代の開業を目指すとのことだ。
読売巨人軍が使用している東京ドームは現在、三井不動産と読売新聞グループ本社が株主になっており、いっぽうで老朽化が進んでいる。東京ドームの構造上、維持費もかかり建て替えも必要な時期が来ることは想定の範囲内だ。
もともと、読売巨人軍と東京ドームは別資本の会社だったものの、読売新聞グループ本社が株式を取得、東京ドームは読売巨人軍との結びつきをより一層強化した。
築地に読売巨人軍のホームグラウンドが来る、ということで築地エリアの交通アクセスの弱さが気になるところである。
東京ドームと築地新スタジアムの交通アクセスの違いは?
東京ドームは、公共交通でのアクセスにすぐれた球場である。まずは中央・総武緩行線と都営三田線の水道橋駅である。また東京メトロ丸ノ内線や南北線の後楽園駅がある。ほかに都営三田線と都営大江戸線の春日駅も使用できる。このほかにも路線バスがある。
各方面に鉄道の路線が向かうようになっており、野球の試合が終了してからどっと人が駅に向かっても問題がないようになっている。
現在の築地エリアはどうか。まず東京メトロ日比谷線の築地駅がある。また都営大江戸線の築地市場駅がある。築地市場駅は朝日新聞東京本社の最寄り駅である。
東京メトロ日比谷線は高頻度運転ではあるものの、7両編成である。だがこれはまだいい。都営大江戸線は8両編成ではあるものの、車両がコンパクトすぎる。もし築地に球場ができたなら、運行本数を増やさなくてはならない。
現在の築地市場跡地エリアへの鉄道アクセスは、この程度である。
朝日新聞東京本社や国立がんセンター中央病院、築地本願寺へのアクセスならばこの程度で間に合うものの、球場だけではなくオフィスやホテルができる状態となると、交通アクセスがひっ迫することが予想される。
さらに鉄道アクセスを充実させる必要はある。もちろん、その計画はある。
「築地再開発」に対応する「臨海地下鉄計画」
東京駅周辺から築地エリアを経て晴海のマンション林立エリア、そして臨海副都心を結ぶ地下鉄計画がある。
築地再開発は2030年代前半の開業を予定しているのに対し、臨海地下鉄計画は2030年ころに着工、2040年ころ開業をめざしている。
この地下鉄計画では、東京駅周辺まで延伸してきたつくばエクスプレスと接続することになっている。また、羽田空港アクセス線臨海部ルートとの接続も予定されている。
球場やオフィスが開業してからしばらくは既存の鉄道アクセスか、バスの増発でしか対応ができないものの、いずれ鉄道アクセスが便利なものになる。
築地や晴海を通る臨海地下鉄の計画は、いまいちアクセスが悪かったこのエリアのためのものでもある。このエリアが都市部として発展していくために、地下鉄が設けられる。
築地市場跡地の再開発計画には、読売新聞グループ本社だけではなく、朝日新聞社も参加している。三井不動産もあわせ、複数の巨大企業グループがこの計画に参加し、大規模な再開発を行おうとしている。
築地市場跡地の再開発計画とあわせて、すでに新線計画も動き出しているのだ。
再開発地にはスタジアムもできるということであり、大規模な輸送手段が欠かせない。
野球の試合や巨大イベントの終了の際には、一気に鉄道に人が押し寄せ、その人をさばかなくてはならない。
臨海地下鉄は8両編成になる可能性は高く、この地下鉄があってもなお東京ドームの交通アクセスよりは不便かもしれないが、東京メトロ日比谷線や都営大江戸線だけでは到底間に合わない。
築地再開発とタイミングを合わせる形で、新線ができるのが望ましい。