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大河ドラマどうする家康が10倍面白くなる!?「どうする家康」特別展の見どころとは?

濱田浩一郎歴史家・作家

2023年1月より、NHKで戦国武将・徳川家康(演・松本潤さん)を主人公にした大河ドラマ「どうする家康」が放送されています。それに関連した特別展が三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町)で開催されています(4月15日〜6月11日まで開催。その後、同展は、岡崎市美術博物館・静岡市美術館でも開催)

特別展では、家康や同時代に生きた豊臣秀吉にまつわる貴重な品々が展示されていました。「展示室1」には、家康が使用したとされる「鉛筆」や「洋時計」、薬を調合する際に使用した「青磁鉢」「乳棒」などが、個々の展示ケースに入れられて展示されていることが目をひきます。

普通、展示物を後ろから見れないことが多いですが、一品一品、小型のケースに入れられていますので、横や後ろからもじっくり展示物を見ることができたのが、とても良かったです。同展では「無銘正宗」や「無銘貞宗」(何も国宝)といった刀剣も出品されていますので、刀剣ファンの人も満足できると思います。

前述のように、家康と小牧・長久手の合戦(1584年)で戦う豊臣秀吉ゆかりの品も展示されているのですが、その中で私の興味をひいたのは「豊臣秀吉自筆辞世和歌詠草」です。秀吉の辞世の句と言えば「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」が有名ですが、それが軸装されて展示されていたのです。貧窮の身からついには天下人まで上り詰めた秀吉。その秀吉が晩年、どのような想いで、辞世の句を記したのか?そうしたことを考えていると、胸に迫るものがありました。

秀吉の死後、関ヶ原合戦(1600年)が勃発しますが、同合戦を描いた「関ヶ原合戦図屏風」(8曲1双)は、巨大な展示ケースに入れられていて、圧巻でした。

「家康の刀剣と甲冑」のコーナーで、家康が若かりし頃に着用していたとされる「金陀美具足」をこの目で見ることができたことも感動しました(ドラマでも松本潤さんが身に付けていました)。表面に金箔と漆が施された煌びやかな甲冑です。

三井記念美術館は展示室の雰囲気も良く、落ち着いて観覧することができます。大河ドラマを見ている人も見ていない人も、歴史好きならば楽しめる展示になっていると思います。興味のある方は訪れてみたら、きっと新しい発見があるはずです。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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