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地域活性化、アイデア活かし就職の道も〜鎌倉で学生主導、社会人を巻き込んだ「まちづくり」企画始動

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

神奈川県鎌倉市で学生による「まちづくり」企画が立ち上がりました。このような企画は各地で立ち上がっていますが、主催者の全員が市民ではないというケースはとても変わっています。また、大学生・専門学校生を対象にしていますが、鎌倉には大学が1つしかありません。一体どのような流れで始まり、何を目指すのか。このチャレンジングな試みを取材しました。

◆地域との繋がり、就職への道も

学生時代イベントに関わることが多かった、という今回社会人として参画する小田知典さんは、「地域でイベントを興すと協賛してくれたり、繋がりを持ってくれたり、商店街の皆さんとのお互いの関係が出来ます。その良さを学生に伝えたい」と気合いが入ります。小田さん自身、その経験から、現在は地域情報紙の編集に携わっています。「就職に繋がる道だってあるんです。関係が出来てから誘って戴いたり、働きたいなと思ったり、そういう活動がもっとあればいい」。

鎌倉市長の松尾崇氏は、学生と共に作り上げたいという意志があるものの、そもそも大学が1つしか無く、学生も少ないので難しい。そこで多様な出身地のメンバーがこのプロジェクトに集まることになったといいます。地元民でなければ難しいことも沢山あると考えられますが、委員長の林友紀さん(東京工芸大学)は「地元でないから関わらなくてよいというわけではないですし、自分の街ではない街に関わることのおもしろさがあります」といいます。

◆喜んでもらえて、勉強にもなる

「学生が地域と関わるだけで、喜んでくれる人がいるんです」。林さんは、かつて関わったまち作りイベントが今回の企画に繋がったと言います。「学内だけでやってきたことは、今思えばつまらなかったんです。地域と関わるイベントに参加したことで、今まで気づいていなかったことに気づくようになり、ものごとを考えるようになりました」。

参画して自分事になることで、関係することが気になるようになる。林さんは、実行委員長に就任したことで、チームを引っ張ったり、外部にプレゼンをする必要があり、勉強になることが多いといいます。

実行委員の佐藤杏南さん(多摩美術大学)は、自らが福祉関係のコンテストに参加した経験から「自分の得意分野を活かすためには今まで触れていなかった分野に首を突っ込んでいった方が良い」といいます。

◆まちづくりは1回でどうにかなるものではない

左から小田さん、林さん、佐藤さん
左から小田さん、林さん、佐藤さん

実行委員三人は口をそろえて、続けなければ意味が無いと訴えます。しかし、林さんは「続ける方法を考えるにしても、まず1回目をやってみないと分からない」といいます。佐藤さんは「続けつつ、時代や状況に合うように、フレキシブルに変えていきたい」。

第1回のテーマは「鎌倉みやげ・鎌倉観光・鎌倉アート」。街を元気にするプランを募集しています。応募資格は大学生・専門学校生のチーム(2〜3名)であること。鎌倉市民でなくても応募することが出来ます。締め切りは2015年3月7日(土)。プランコンテストは、コンテストが終わってからが本番スタートです。プランを実際に形にしていくことは簡単なことではありません。他の地域からやってきた学生達が、鎌倉のまちに混ざって、素敵な化学反応が起きることを期待します。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

関連サイト

鎌倉市まちづくりプランコンテストホームページ

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アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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