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パチンコ市場に忍び寄る違法ネット賭博

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(提供:アフロ)

さて、私のtwitter側のフォロアーの皆様は既にご承知の通りですが、パチンコ攻略誌で人気のパチンコライター2名がオンラインカジノの広報動画に出演したという事案で大炎上が起こり、動画削除&経緯釈明まで至りました。両パチンコライター氏は、両名ともキッチリとした釈明をなされ、また出演動画も既に削除されましたのでこれ以上の個人追求は致しませんが、どうもオンラインカジノ勢は最近積極的にパチンコ系のメディアに出演するライターやタレントの取り込みを始めている様です。

まず最初に明確に申し上げておきますが、日本から海外で運営されるインターネット賭博サイトにアクセスしギャンブルを行うことは違法です。この点に関しては伝統的には長らく様々な論争があったのは事実ですが、2013年に私と私の友人である渡邊雅之弁護士が起案をした事で、インターネット賭博の違法性に関する質問主意書が国会から政府に対して送致され、同年11月に日本国政府が「国境を越えて行うインターネット賭博にも刑法賭博罪が適用され得る」としたことで、長きに亘るインターネット賭博の違法性にまつわる論議に終止符が打たれました。

当時の経緯とその主意書の内容に関して、改めて私のyoutubeチャンネル側で解説動画を上げましたので、ご興味のある方はご覧頂ければ幸いです。

【詳細解説】インターネットカジノは違法です。

https://www.youtube.com/watch?v=MvHhDkDu-dQ

上記の様な形で法律的な論争は一応の終止符が打たれた事で、実はしばらくオンラインカジノを推奨するグループが鳴りを潜めた時期もあったのですが、こういう方々というのは徐々にまた活動を活発化させてゆくもの。今回より以前、彼らがその活動を活発化させたのが2016年ころの事。この時は、日本で人気のAV女優を広告塔として起用して集客を行うオンラインカジノ事業者が同時多発的に複数表れ、私もそれらに対して様々な警告を発信しました。以下は当時のエントリですが、このエントリを発信した後、該当するAV女優さんが当該オンラインカジノの告知を行っていたツイートを取り下げるなど様々なことが起こりました。

今度はAV女優が広告搭、日本を狙うネットカジノの攻勢

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9187950.html

そして論議は今回の炎上騒動です。今回、オンラインカジノ事業者の広告塔として狙われているのがパチンコ攻略誌などで活躍するパチンコライターやタレント群。また、そこにyoutubeでのプレイ動画やSNSなどを絡めて、ソーシャルマーケティング的に展開しているのが特徴の様です。今回の炎上にあたってちょっと調べてみると、冒頭でご紹介した2名のパチンコライターは元より、様々なパチンコ系の有名人が使われている模様。この種の方々は、自身で沢山のギャンブル好きのファンを抱えていますから、当然ながら違法なオンラインカジノへの取り込みが楽なのでしょう。

色々拝見していて特にひどいなと思ったのが、以下のパチンコタレントの「くうか」さんという方。SNS上でオンラインカジノの成績を拡散している他、自身のwebサイトではオンラインカジノは「それを取り締まる法律が現時点でない、つまりグレー」などと全くの間違った情報を拡散し続けている模様。

オンラインカジノが違法がどうかを一言でいうと違法性はあれど、それを取り締まる法律が現時点でない。つまりグレーということ。パチンコの換金行為(いわゆる三店方式)が違法かどうかを一言でいうと違法性はあれど、それを調べようとしない。つまりグレーということ。

https://ameblo.jp/unomi-nisize/entry-12571781489.html

業界の関係の方々に聞くところによると、彼女は某パチンコ攻略誌でパチンコアイドル的に扱われて有名になったタレントであり、その後、独立して芸能事務所を立ち上げた人物であるとのこと。色々と情報を集めてみると、なんとSANKYO、フィールズ、京楽、大一商会、ニューギン、藤商事と業界の錚々たるパチンコ大手メーカー各社が出資して立ち上げたパチンコ業界人向けの専門学校において「カジノ&パチスロ関連事務所『パチスロガール8192』代表」なる肩書で学生に対する特別カウンセリングなどを提供しているなどという情報まで出てきて、私としてはもはや卒倒しそうな状況であります。

「くうか さんの特別カウンセリング」を開催しました

https://www.g-e.jp/structure/column/column20180120.html

2018年1月20日(土)G&Eビジネススクール大阪校において、コスプレイヤーの「くうか」さんが来校し、特別カウンセラーとしてスクール説明会に参加していただきました。くうかさんはコスプレイヤーとしてだけではなく、カジノ&パチスロ関連事務所「パチスロガール8192」代表としても、日夜パチンコ業界、パチスロ業界の発展に尽くしています。

ということで、何やらパチンコ業界に向かって活発な活動を始めたインターネットカジノ業界でありますが、私の立場としては改めて「オンライン賭博は違法である」ということを明確に申し上げた上で、善良な皆様なこの様なものに近づかない様に宜しくお願いを申し上げたいと思います。以下リンク先の私のyoutubeチャンネルで改めて詳細解説動画を更新しておりますので、併せてご覧いただけましたら幸いです。

【詳細解説】インターネットカジノは違法です。

https://www.youtube.com/watch?v=MvHhDkDu-dQ

【追記 2020/02/05】

上記記載内容に関しまして、G&Eビジネススクールに対して見解を問い、公式のご回答を頂きました。以下の通りです。

くうか氏がいつからこのようなPRを行っていたのかは知りませんが、弊社が起用した当時はパチンコ業界の仕事を中心に活動し、一部、コスプレイヤーとして幅広い仕事を受けられているといった認識でした。当校では「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」および関連法令をパチンコ業界に従事する者(就職を目指す生徒)として、正しい知識を習得できるよう教育しています。(※G&Eの本講義でくうかさんが講師を行うことはございません。)

G&Eとしては正しく関連法令を教育されているという事で安心しました。以上よろしくお願い申し上げます。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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