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輪島塗と九谷焼の斬新なコラボに注目!6月6日から丸の内で開催の「NOTO NEXT」でARTに触れる

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター
6月6日から東京・丸の内で開催中の「NOTO NEXT」の展示

お茶の文化とも縁の深い輪島塗九谷焼

石川県を代表する伝統工芸の2つがコラボした作品が今、東京の丸の内で展示されています。

今年3月に取材した能登と輪島塗の復興支援プロジェクト(過去記事はこちら)。

震災で割れてしまった九谷焼を輪島塗の漆の技術で再生と復興の象徴となる新たな作品に、と制作がスタートし、これまでにイタリアのミラノサローネでの展示などを経て、東京でも展示とイベントが開催されています。

NOTO NEXT」と題された今回の企画展示を訪問したところ、会場で輪島からいらしていた塗師屋(ぬしや)の方と、実際に作品を制作した輪島塗の職人の方にお会いすることができました。

輪島塗についてや、今回の展示をじっくり見て楽しむポイントをうかがいました!

6月6日から丸の内で開催の「NOTO NEXT」

今回の展示の発起人は以前の取材でお話を伺ったプロダクトデザイナーの鈴木啓太さん。

ディレクションも行っているという「NOTO NEXT」の展示についてお聞きし、初日の6月6日に行ってきました。

場所は丸の内、有楽町駅の国際フォーラム側にある新国際ビル1階にある「GOOD DESIGN Marunouchi」(外部サイト)です。

外からも目を引く外観。ポップな装飾もよく見たら輪島塗や九谷焼のフォルム!
外からも目を引く外観。ポップな装飾もよく見たら輪島塗や九谷焼のフォルム!

会期は2024年6月6日から6月26日まで

入場無料11時から19時まで展示を見ることができます。

石川県の市や町の名前が書かれたボード。仮設工房のある能美市は九谷焼の産地であり、その能美市のところに今回の輪島塗と九谷焼のコラボ作品が展示されている
石川県の市や町の名前が書かれたボード。仮設工房のある能美市は九谷焼の産地であり、その能美市のところに今回の輪島塗と九谷焼のコラボ作品が展示されている

中に入るとこのようにポップな装飾が出迎えてくれます。

よくよく見ると、輪島塗や九谷焼のフォルム!カラフルで素敵です。

石川県の形のボードには今回の代表的な作品でもあるこちらの壺が展示されています。

丸い部分に穴があいており、壺の中にその破片が残っていたためパズルのピースのように合わせてから漆をすき間に施し、表面に金を蒔いたのだそう。ひびに入れる漆は希釈した粘度の低いものを使っているとのこと。
丸い部分に穴があいており、壺の中にその破片が残っていたためパズルのピースのように合わせてから漆をすき間に施し、表面に金を蒔いたのだそう。ひびに入れる漆は希釈した粘度の低いものを使っているとのこと。

震災で九谷焼の壺にひびが入り丸い穴が開いてしまったものに、漆を入れ蒔絵で使う金粉を蒔いて仕上げているそうです。

このような割れ方は人為的にできるものではなく、偶然の産物

そこに輪島塗の職人の手で新たな息吹が加えられたART作品

こちらの壺は2024年4月に開催されたイタリアのミラノサローネでも展示されたのだそう。

実際に見るとその傷跡は生々しいのですが、そこに漆と金の装飾が入ることで新たな未来、新たな可能性を感じるものとなっています

これはぜひ、会場で直接見ていただきたいです。

※ミラノサローネとは毎年4月にミラノで開催される世界最大規模の家具見本市のこと。

今回の企画のコンセプト

「NOTO NEXT」には「みんなのアイデア展」という副題があります。

そして公式HP(外部サイト)には、「他人事」を「自分事」へ。復興のはじめの一歩となる、インタラクティブな展覧会、とあります。

2024年元旦に発生した能登半島地方を震源とするマグニチュード 7.6の大地震は、人々の「当たり前の暮らし」を揺るがし、日々の糧である仕事を奪い、伝統工芸へも危機をもたらしました。時間がたつにつれ被災地への関心が薄れていく中、現在も街には地震の深い爪痕がいたる所に残されたままです。この現状で誰もが満足する「正解」を目指すのではなく、様々な意見をもとに復興の第一歩を進めたいという一人の被災者の方の話から、本展の開催が決定しました
本展は、学生や職人、また行政やデザインなどそれぞれの立場から能登を見つめる関係者を組み合わせた、他では実現困難な特別座談会を複数回にわたって開催します。会場内に設けたブースから発信される内容はYouTubeにアーカイブ保存し公開、会場ではグラフィックレコーディングとして紹介。会場とオンラインで双方で交流するインタラクティブな展覧会です。
持続可能な未来を創るには、当事者の目線にたったさまざまな視点をベースにする新しい集合知が不可欠です。能登半島地震を悲劇で終わらせないため、職業のジャンルや地域性などあらゆる境界線を飛び越える展覧会に、ぜひご参加ください。

座談会の様子は編集後アーカイブ保存されるそうなので、会場に足を運べない方もどこからでも見ることができるとのこと。

震災からの復興に関心を持ち「自分事」としてとらえる、様々な背景の人のアイディアが活かされるのではと期待します。

多彩なトークテーマ

ポップな装飾の一つ一つには今回のトークイベントのテーマが書かれています。

「文化と観光 発信と継承は両立できるか?文化遺産と観光の相関関係」と書かれている
「文化と観光 発信と継承は両立できるか?文化遺産と観光の相関関係」と書かれている

こちらは輪島塗のお椀の形で「文化と観光」というテーマが。

「社会問題とデザイン ローカルパワーの活かし方。奥能登を前進させるムーブメント」
「社会問題とデザイン ローカルパワーの活かし方。奥能登を前進させるムーブメント」

こちらは九谷焼の壺の形で「社会問題とデザイン」とあります。

「俗と雅の文化継承 「伝統」はいかに革新されるべき?公共とラグジュアリーのバランス論」
「俗と雅の文化継承 「伝統」はいかに革新されるべき?公共とラグジュアリーのバランス論」

おや?これはもしや茶道で抹茶を入れる漆の器「棗(なつめ)」ではないでしょうか?

輪島塗の美しい蒔絵の棗はお茶会などで拝見したことがあります。

こちらに書かれているテーマは「俗と雅の文化継承」。個人的に一番気になるテーマです。

他にもトークテーマは盛りだくさん(変更の可能性もあるそうです)。

トークイベントのスケジュールは今のところ下記の通りとのこと。

どれも興味深いテーマで楽しみです!

【トークイベントスケジュール】
・6月7日(金)18:00~19:00
 【カナビの役割】
 震災と教育を見つめる世代間トーク。新旧・金沢美術工芸大学の会

・6月8日(土)17:00~18:00
 【復興をデザインする】
 経済とソーシャルグッドの繋げ方

・6月8日(土)18:30~19:30
 【ギャラリートーク】
 江戸から令和まで美学は続く。塗師屋が語る輪島塗クロニクル

・6月14日(金)17:00~18:00
 【国内外の学生の視点】
国際的な視野を取り入れて。次の世代がデザインする、復興と地方創生の未来

・6月15日(土)14:00 - 15:00
 【20代デザイナーが表現する能登】
 会場デザインに関わった金沢美術工芸大学出身の若き才能たち。「創造的復興プラン」への返答

・6月15日(土)15:30~16:30
 【輪島塗のはじめ方】
 漆器は扱いが大変? 美しく丈夫でサステナブルな魅力を語りつつ、巷に溢れる誤解を解消!

・6月15日(土)17:00~18:00
 【文化と観光】
 発信と継承は両立できるか? 文化遺産と観光の相関関係

・6月16日(日)11:30~12:30
 【輪島塗の可能性】
 職人の仮設工房建設の背景とは?未来を見据えた、工芸産地のありかた

・6月16日(日)16:30~17:30
 【工芸の継承と発展】
 日本でも有数の伝統工芸の幅広さを誇る石川県。輪島塗、九谷焼を通して見る、工芸の未来

・6月22日(土)11:30~
 【復興の環境整備】
 震災から5ヶ月。災害関連死を防ぐ医療と住環境の最前線

・6月22日(土)14:30~
 【震災後の能登を’伝える’】
 今なにをなぜ、発信するのか。能登と工芸を見つめる2人の編集者対談

スケジュールは決まり次第更新されるそうです。

最新情報と詳細はNOTO NEXTトークイベント(外部サイト)をご覧ください。

江戸期から現代までの輪島塗の展示

会場には窓側に江戸時代から現代までの輪島塗の作品が展示されています。

全てをご紹介すると会場での楽しみがなくなってしまうので、塗師屋「高州堂」の大向さんと輪島塗の職人の江端さんからお話を伺った中で私が特に注目したものをピックアップしてご紹介します。

左:塗師屋「高州堂」の大向正浩さん、右:輪島塗の職人の江端博行さん。現在江端さんは石川県能美市の仮設工房でお父様と二人で作品を制作しており、この日だけ会場にいらしていました。
左:塗師屋「高州堂」の大向正浩さん、右:輪島塗の職人の江端博行さん。現在江端さんは石川県能美市の仮設工房でお父様と二人で作品を制作しており、この日だけ会場にいらしていました。

高州堂の輪島塗コレクション

今回はとても貴重なコレクションとのことで楽しみにしていました。

まずは、茶道で抹茶を入れる容器のうちの一つ「中次(なかつぎ)」。

繊細な渦模様と蒔絵の装飾が施されており、上品で素敵なデザインです。

手前はかんざし

こちらも金蒔絵で細かく模様が描かれています。

奥「金糸目 面中次」、手前「かんざし 水に菊と紅葉蒔絵」。どちらも江戸時代のもの。
奥「金糸目 面中次」、手前「かんざし 水に菊と紅葉蒔絵」。どちらも江戸時代のもの。

次は明治時代の「職人杯」とよばれるさかずき。

輪島では酒の席が輪島塗の職人達が自らの技を見せる場だったそうで、自分で作った酒杯を持参して使い、他の職人の技も見て切磋琢磨する風習があったのだそう。

明治時代の「職人杯」。同じ柄でサイズの違う重ねられるものもある。手の込んだものが多く自分の技を見せるためのものだったそう。
明治時代の「職人杯」。同じ柄でサイズの違う重ねられるものもある。手の込んだものが多く自分の技を見せるためのものだったそう。

朱色のお膳セット

縁の金色はくすんで見えますが、当時の金の純度が少し低かったことによる影響なのだとか。

これはこれで落ち着いた金色で趣があります。

「朱御前 金縁」(明治時代)
「朱御前 金縁」(明治時代)

こちらは昭和58年の作品「菊描詰蒔絵」で、天皇家に献上したものの写し。

菊の模様に様々な色がのせられ、複雑で緻密な技が凝らされています。

「菊描詰蒔絵」の卓上膳と煮物椀
「菊描詰蒔絵」の卓上膳と煮物椀

昭和から平成にかけて自由で独特の作風が人気を博した角偉三郎氏作の合鹿(ごうろく)椀

生活の中で使う器で、囲炉裏の縁や床に置いても持ちやすいような形状なのだそう。

大きくどっしりとしたダイナミックな印象のお椀です。

角偉三郎氏作の合鹿椀。指で漆を塗るなど独特の作風で知られ、一番右の「合鹿椀 黒 練金紋」には指で付けられた模様が浮き出ているのわかる
角偉三郎氏作の合鹿椀。指で漆を塗るなど独特の作風で知られ、一番右の「合鹿椀 黒 練金紋」には指で付けられた模様が浮き出ているのわかる

同じく角偉三郎氏作のヘギ板酒器

ヘギ板はそのままの素材のカーブが活かされた唯一無二の形状。

上に載せられた酒器は同じ作家さんのものとは思えない優美さがあります。

とても興味深いです。

ヘギ板は「アテ」という木の根の部分を使い自然なカーブを活かしたデザイン。片口の本体はケヤキで、口の部分はホウ(朴)の木を使った複雑な作りなのだそう。
ヘギ板は「アテ」という木の根の部分を使い自然なカーブを活かしたデザイン。片口の本体はケヤキで、口の部分はホウ(朴)の木を使った複雑な作りなのだそう。

こちらは人間国宝の小森邦衛氏作の丸盆

黒い漆地に菊の模様が彫られており、一見地味なように見えますが光の当たる角度により浮き出てくる菊模様の表情が変わるところにデザイン性を感じます。

菊紋沈黒丸盆(2020年ごろ)小森邦衛作。写真では光の角度でこのように見えますが実物を見ると黒一色。実際に見て美しさを感じていただきたい逸品
菊紋沈黒丸盆(2020年ごろ)小森邦衛作。写真では光の角度でこのように見えますが実物を見ると黒一色。実際に見て美しさを感じていただきたい逸品

まだまだ他にも輪島塗の作品の展示があります。

全て選りすぐりの作品とのこと。どれも必見です!

輪島塗の職人が割れた九谷焼を新たなART作品に!

震災で割れてしまった九谷焼の破片。

その形は大小さまざま。

それに輪島塗の職人が漆や金や銀を施して新たなART作品に仕上げたのがこちら。

よくよく見ると、職人さんの遊び心が垣間見えます!

金色と銀色を使った蒔絵は「日月(じつげつ)」といい太陽と月を表すそう。

こちらの器の淵には右側に金色、左側に銀色が施されていて、光の加減や角度でも色合いが違って見えてきます。

大きな壺が割れてしまった破片も漆と金や銀で遊び心のある作品になっている。これをどう使うのか?を想像してみるのも楽しい
大きな壺が割れてしまった破片も漆と金や銀で遊び心のある作品になっている。これをどう使うのか?を想像してみるのも楽しい

こちらの壺はよく見ると・・・

割れた手前の黒い部分に注目!
割れた手前の黒い部分に注目!

手前の黒い部分には細かい網目模様が描かれています!

会場ではこの細かい部分もぜひご覧ください。

実際に見ると本当に細かい線で描かれているのがわかる
実際に見ると本当に細かい線で描かれているのがわかる

同じ壺の別の部分には銀色の上に青色が散らされています。

こちらもよく見ないとわからない繊細さ。

青色があるのとないのとでは違った印象に見える
青色があるのとないのとでは違った印象に見える

こちらのお皿は一部がそぎ落とされたような状態だったそうですが、そこに漆を乗せて埋めて厚さを均一にしさらに金を入れ、その上に下絵なしで模様を描いたとのこと。

下絵なしで一回で描く技術は、江端さんのお父様が長年の修行により体得したものだそう。

下絵なしで描く技術がすごい。この部分が加わるだけでお皿がよりエレガントな雰囲気に
下絵なしで描く技術がすごい。この部分が加わるだけでお皿がよりエレガントな雰囲気に


日々作品を作り続けないと職人の手の感覚は鈍ってしまいます。

二次避難場所で輪島塗の技術を使い、割れてしまった九谷焼を新たな作品に昇華することで職人の手の感覚を維持する支援プロジェクトはまだ始まったばかりです。

これからもたくさんの作品が生まれることと思います。

期待しています!

この中のいくつかの作品は発起人である鈴木啓太さんがご出演されているNHK WORLDの番組「Disaster Reconstruction: Wajima-nuri DESIGN × STORIES」(外部サイト)でも取り上げられています(2024年5月30日放送分)。

こちらを事前に見てから会場を訪問すると、より深く作品を味わうことができます。

このプロジェクトの今とこれから

今回の復興支援プロジェクトでは、九谷焼の産地である石川県能美市に二次避難中の輪島塗の職人が使える仮設工房が設立されました。

そこで職人であるお父様とともに今回の展示のような新たな作品を作っている江端さんに現在と今後についてお話を伺いました。

仮設工房では特に困ったことはなく、制作に集中できています。
(割れてしまった九谷焼の)素材はたくさんあるので、これからどんなものを作ろうか、どんなものができあがるか、楽しみながら取り組んでいます。
今後の作品もぜひ見ていただきたいです!

今回の作品の説明や制作秘話などもたくさん伺うことができました。

江端さんも大向さんも終始笑顔でお話しくださり、今回の展示の作品や輪島塗に対する誇りと想い、そして未来への明るい展望をお持ちだということが伝わってきました。

震災の被害は甚大で、復興には長い時間がかかります。

しかし、悲観するばかりではなく、現状を踏まえた上で今後どうするべきか、どうあるべきかを多角的に考え試行錯誤しながら進めていくことが大切なのだと、お二人のお話を伺って感じました。

最後に、この展示の発起人でありディレクターでもある鈴木啓太さんからもコメントをいただきました。

「NOTO NEXT -みんなのアイデア-」展の発起人として、ぜひ多くの方に会場にお越しいただきたいです
今回の展示では、大変貴重な輪島塗りのコレクションも楽しめますので、工芸通の方も満足いただける内容となっています。
また、トークイベントでは様々な方と意見交換できる機会があります。
私自身もどんな話が聞けるのか楽しみにしています。
東京でのイベントの詳細は随時ウェブサイトで更新されていますので、ぜひチェックしてください。

トークイベントも文化やデザインなど多岐にわたるテーマで会期中の毎週金土日に開催されるとのこと、とても楽しみです。


展示会が終わっても能登と輪島塗の復興支援プロジェクトはまだまだ続いていきます。

これからも能登と輪島塗を応援しています!

展覧会名:NOTO NEXT -みんなのアイデア-
会期:2024年6月6日(木)~26日(水) 11:00~19:00
会場:GOOD DESIGN Marunouchi (東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1F)
入場料:無料
公式HP:https://www.notonext.jp/
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
共催:株式会社プロダクトデザインセンター
本展発起人・ディレクター:鈴木啓太(株式会社プロダクトデザインセンター)
協力:株式会社博展、高洲堂、株式会社グラグリッド

GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA ポップアップ・ショップ
本展の開催期間中、GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA(KITTE 丸の内 3階)でポップアップ・ショップを同時開催します。輪島塗の作品をはじめ、現在進行中のプロジェクトで制作された漆芸や金継ぎの作品など、多種多様なアイテムを展開します。実際に手にとり、日常生活に取り入れることで工芸の素晴らしさを体験できます。

ショップ名:NOTO NEXT STORE (日本語表記 「ノト・ネクスト ストア」)期 間:2024年6月5日(水)〜26日(水) 11:00〜20:00
場 所:GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA (東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE丸の内 3階) 内
公式HP:https://gds.tokyo

取材協力:鈴木啓太様 PRODUCT DESIGN CENTER(外部サイト)、大向正浩様 高州堂(外部サイト)、江端博行様

【追記:6月8日トークイベント参加レポート】

・6月8日(土)17:00~18:00

 【復興をデザインする】

 経済とソーシャルグッドの繋げ方

左からモデレーターのアンドレア・ポンピリオ氏、石川県副知事の西垣淳子氏、公益財団法人日本デザイン振興会の矢島進二氏
左からモデレーターのアンドレア・ポンピリオ氏、石川県副知事の西垣淳子氏、公益財団法人日本デザイン振興会の矢島進二氏

石川県創造的復興プランについて、デジタルを駆使した様々な可能性と展望、人と人とのコミュニケーションの大切さを伺うことができました。

・6月8日(土)18:30~19:30

 【ギャラリートーク】

 江戸から令和まで美学は続く。塗師屋が語る輪島塗クロニクル

今回の展示の発起人・ディレクターの鈴木啓太氏と今回の輪島塗コレクションを1つ1つ紹介する塗師屋「高州堂」の大向正浩氏。手袋は滑るため使わないのだそう。
今回の展示の発起人・ディレクターの鈴木啓太氏と今回の輪島塗コレクションを1つ1つ紹介する塗師屋「高州堂」の大向正浩氏。手袋は滑るため使わないのだそう。

大向さんによる展示の説明はわかりやすくとても興味深いものでワクワクしました。

江戸時代の「金糸目 面中次」の中は「梨地(なしじ)」という荒い金粉を蒔く技法。展示では蓋は閉めてある状態だが、ギャラリートークでは特別に所有者である大向さんが開けて見せてくださいました。
江戸時代の「金糸目 面中次」の中は「梨地(なしじ)」という荒い金粉を蒔く技法。展示では蓋は閉めてある状態だが、ギャラリートークでは特別に所有者である大向さんが開けて見せてくださいました。

室町時代から続く輪島塗の歴史やどのように全国にその名が広がっていったかもご説明くださいました。

【追記:6月16日トークイベント参加レポート】

・6月16日(日)11:30~12:30

 【輪島塗の可能性】

 職人の仮設工房建設の背景とは?未来を見据えた、工芸産地のありかた

今回の展示の発起人・ディレクターの鈴木啓太氏と輪島キリモト7代目の桐本泰一氏
今回の展示の発起人・ディレクターの鈴木啓太氏と輪島キリモト7代目の桐本泰一氏

桐本さんが「蘇生させる輪島塗」というテーマで建築家の坂茂氏の紙管を使った仮設工房の設置など復興への活動についてお話しくださいました。

これからの漆の可能性として、国内外で使用されている輪島塗の技術で作られた天板や家具の紹介も。

元に戻すのではなく、これを機に前を向いて未来を創っていく。必ず輪島塗を蘇らせる」という心からの熱い言葉に胸を打たれました。

後継者不足という課題については「自分の好きなことを仕事にし、人をほっとさせるものを(漆で)生み出していくことで(次の世代で)興味を持つ人が増えるといい」とおっしゃっていました。

「現状は厳しいけれど、応援して欲しい。ぜひ輪島に来て欲しい」とも。

ぜひ輪島へ、能登へ行きましょう!

・6月16日(日)16:30~17:30

 【工芸の継承と発展】

 日本でも有数の伝統工芸の幅広さを誇る石川県。輪島塗、九谷焼を通して見る、工芸の未来

左からモデレーターのアンドレア・ポンピリオ氏、丸橋企画株式会社代表の丸橋裕史氏、輪島塗塗師屋「高洲堂」代表の大向正浩氏
左からモデレーターのアンドレア・ポンピリオ氏、丸橋企画株式会社代表の丸橋裕史氏、輪島塗塗師屋「高洲堂」代表の大向正浩氏
  • 職人にとっては作る喜びがなによりも大切。
  • その作品の背景、作り手や歴史や素材についてのストーリーを伝えることが工芸の継承に繋がっていく。ストーリーを発信していくことが必要。
  • 伝統工芸は生活を豊かにしその産地に思いを馳せるきっかけとなるもの
  • 実際に良い品を手に持って質感などを五感で感じとることが本物を知ることに繋がる。まず手に取ってほしい。
  • 海外に向けた発信も必要ではないか。

など、伝統工芸だけではなく日本茶など第一次産業を含めどの分野でも共通することではないかと感じました。

貴重なお話しをありがとうございました。

トークイベントは編集後アーカイブとして見られるそうです。

パネルや展示も更新されています

会場にはこれまでのトークイベントの内容をグラフィックレコーディングによりまとめられたパネルが展示されていました。

今後もトークイベントの内容がパネルに反映されるそうです。

とてもわかりやすくまとめられているので、会場に行かれたらぜひ一つ一つご覧ください。

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。日本茶の商品開発やカフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導。NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。

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