ランニングってどうして始めたの?どうして続けてるの?
笹川スポーツ財団の2020年の調査では、年1回以上ランニングをする人は人口の10.2%、週1回以上では5.6%と、いずれも過去最高を記録しました。
ですが実際には、走りたいのに始められない人、習慣化したいのにすぐ辞めてしまう人も多くいます。
では走り始めた・走り続けるランナー達は、どんなきっかけでランニングを始め、そしてどんな目的でランニングを続けているのでしょうか。
始めたきっかけ、続ける目的
国内の調査では、2018年にアールビーズスポーツ財団が行ったランナー世論調査があります。
その調査では、ランニングを始めたきっかけは「健康のため」53%、「運動不足解消」49%、「ダイエットのため」36%が上位の3つでした。
また、ランニングを続ける目的は「大会出場のため」62%、「健康維持のため」48%、「記録更新のため」44%が上位の3つとなりました。
要するに、不健康な生活で体重も増えてきたから走り始めたら、いつのまにか大会に出ることや記録更新が目標になりのめり込んでゆく、そんなランナーが一番多いようです。
海外の文献より
走り始めた理由、走り続ける理由
海外では文献での報告もあります。最も多いのはポーランドからです。
同国の報告では、走る目的スコア(Motivation of marathoners score:MOMS)というスケールで目的の強さを測定しています。
同国で2019年に行われたPKOポズナンマラソンで行われたアンケートの文献をみてみます。参加者はランダムに493人に選定されましたが、走る目的は「健康のため」「目標達成のため」「自尊心・プライドのため」が1~3位になりました。
比較として同国の異なる報告ですが、パークラン・シティトレイルに初参加した運動を始めたばかりのランナーの文献から、同ランナーから聴取したMOMSを右側に示します。
「付き合いで」以外のスコアは軒並み上昇しており、初心者からフルマラソンを挑戦するに至り、あらゆる目的意識が強まっていることが分かります(競い合うはなぜかスコアが減少していますが)。
走るモチベーションは、様々な要因で異なる?
ただ、走り続ける理由は年齢や性別、競技、走歴によっても変わるのではないかと検証されています。
2013年にポーランドで開催されたポズナンハーフマラソンでの調査では、調査対象となった男女の大きな違いは、日常生活から離れたいという目的と流行で、それは女性の方が強かったとのことです。
また同じポーランドの文献で、レースの距離と年齢でMOMSを比較したものがあります。フルマラソンやウルトラマラソンを走ったことのない若いランナーは目標達成が目的になり、マラソンランナーとウルトラマラソンランナーを走る若いランナーは、社会的評価や競争を重要視していました。すべての距離で高齢者は目標達成のためではなく、フルマラソン・ウルトラを走ったことのないランナーは自尊心・プライドで、マラソンとウルトラマラソンに出ているランナーは健康のためでした。
また次もポーランドからの報告ですが、長期に及ぶ走歴は「健康志向」や「目標達成」「生きがい」など、ほとんどの目的意識が高まる一方で、子供を持つことはマイナスになるとの結果になりました。
まとめ
一般的にランニングを継続する目的は、若い頃は競技意識で、年を重ねると健康のため・日々の習慣と言われています。歳を重ねると、体を痛めたり記録更新が難しくなるのが要因と思われます。
ですが最近はマラソン大会も充実して、参加することで優越感が得られたり、SNSの発信で自尊心が満たされたり、社会的評価を得られるようになりました。
また、ランニングギア・シューズ・サプリメント・リカバリーなどが充実し、高齢になっても記録に挑戦しているランナーを多く見かけます。
今後は、健康のために軽い気持ちで始めたランナーが、健康の目標を叶えながら記録を達成して社会的評価を高めてゆく。そんなライトユーザーが、どっぷりヘビーユーザーになる。ランニング界隈はそんな世界になると信じています。