日本より2倍長い期間納品を受け入れるベルギーのスーパー
W杯決勝トーナメント1回戦で、日本はベルギーと戦い、当初2-0でリードしたものの、最終的には2-3という結果だった。2018年6月7日に発表されたFIFAランキングでは、日本は61位。世界ランキング3位(2018年5月17日時点のFIFAランキング)のベルギー相手に、素晴らしい健闘だった。ポーランド戦での日本のボール回しが議論されていたが、長嶋一茂氏は、あの戦略を野球の敬遠にたとえていた。決勝に勝ち進んだおかげで、今回のように、ベルギーと戦うチャンスにも恵まれた。
先ほど、このベルギーに関することで、メディアの方から連絡をいただいた。日本の食品業界の商慣習である「3分の1ルール」と諸外国との違いについてである。
消費者として食品を買うときには、賞味期限や消費期限しか関係ないが、食品業界では、その手前に2種類の期限がある。
それが「納品期限」と「販売期限」だ。
メーカーはスーパーに「納品期限」までに納品しなければならない
製造から賞味期限までの期間を3分の1ずつ均等に分ける。
最初の3分の1が「納品期限」だ。メーカーはスーパーなどの小売に納品しないといけない。
スーパーやコンビニは「販売期限」までに販売しなければならない
次の3分の1が「販売期限」だ。スーパーやコンビニなどの小売は、ここまでに売り切らないといけない。
たとえば、賞味期限6ヶ月の食品であれば、納品期限は製造してから2ヶ月。販売期限は4ヶ月となる。
これらの3分の1ルールにより、食品は返品・廃棄され、年間1200億円以上のロスが発生している。
他の先進国は日本より長い納品期限
ここで、他の先進国の納品期限を見てみる。
日本の3分の1に対し、アメリカは2分の1、ベルギーなどのヨーロッパは3分の2、イギリスに至っては4分の3だ。
長ければ長いほど、納品によるロスは生じにくい。
京都市では賞味期限ギリギリまで販売する実証実験の結果、売上が上がりロスが減った
京都市では、2017年11月から12月にかけて、イズミヤと平和堂の5店舗で、販売期限で商品を棚から撤去せず、賞味期限ギリギリまで販売する実証実験を行った。売上が上がり、食品ロスが10%減るという結果となった。
「食品ロスを減らすと経済が縮む」は本当か スーパーで食品ロス10%削減、売り上げは対前年比5.7%増
もうちょっと寛容な社会に
香川県三豊市(みとよし)でショッピングストア今川に勤める今川宗一郎さんは、『スーパーマーケットで食べ物捨てずに「ゆるく細く長く」自然体で惣菜作りと0円キッチン「寛容な社会に」』の取材でこう語っていた。
ベルギーやイギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国では、売上さえよければいい、ではない、倫理的な経営に企業が向かっている。SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)のセミナーでは、日本が周回遅れであることが指摘された。ヨーロッパに学ぶ点は多いと思う。