パリパリ食感は出来立ての醍醐味「鈴懸」さんの大葉餅で味わうふっくら大粒糯米とあんこの爽やかな甘味
今年の2月、皆さんは椿餅を召し上がりましたか?椿餅といいますのは、紫式部の源氏物語にも登場する非常に歴史ある和菓子でして、艶やかで肉厚な椿の葉で道明寺(お店によっては茶色い道明寺餅)を挟んだシンプルなお菓子。
しかし、季節は移ろい今は6月。梅雨入り前の爽やかな夏の気配が心地よい時節には、椿の葉ではなく、蓬などの清涼感漂う食材がよく似合いますね。
先だって創業100年を迎え、本店を構える福岡県のみならず、新宿や日比谷、麻布台といった洗練された都心にて人気を誇る和菓子屋「鈴懸」さん。
季節の移り変わりを瑞々しい和菓子と共に提供なさるお店には、椿餅はもちろん並んでいましたが、今の季節はこれまた一風変わった和菓子が並んでいました。
今回は鈴懸さんの「大葉餅」をご紹介。
向こう側の光がほのかに透けて、若草色の明るい緑色に染まる立派な大葉が上品ながらも圧倒的な存在感をショーケースの中で放っていた大葉餅。二枚の大きな葉に包まれているお餅は、ふっくらと大きな粒立ちの佐賀県産ヒヨクモチ。しっかり潰して粘り気をだすのではなく、糯米の特性を活かした仕様となっております。ひとつぶひとつぶがきらきら眩しい…!
中に包まれているのは皮むき餡。小豆の皮を取り除いたあっさりとしたこし餡は、鈴懸さんの代名詞のひとつ。淡く青みを帯びた紫色に出会うたび、思わずうっとりしてしまいます。
米粒ひとつひとつの隙間を縫うように染み込んでくるこし餡はたっぷりの水分を湛え、じめじめしがちな季節に涼をもたらしてくれます。
更に、ぱりぱりっとした大葉の乾いた音と軽やかに弾けるような歯ごたえと、どこかフルーティーな爽快感と自然な甘味が豊かな香りをもたらしてくれ、そのままでも十分美味しいあんこが包まれたお餅を何倍にも華やかな存在に仕上げてくれます。
これは当日の朝作り、その日中に召し上がらなくてはならない朝生菓子ならではですね。
もし大葉がしんなりしてしまった場合は、葉の根本の方と先端にちょんちょんと水滴を垂らしてみてくださいね。ちょっと足りないかな、くらいでとどめておきながら様子を見つつ…そうしていると、自然とお菓子と向き合い、そのわずかな間だけでも現を忘れられるような気がするのです。
さぁ、甘いものでリフレッシュしたら、また課題や家事に取り組みましょうかね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<鈴懸・本店>
公式サイト(外部リンク)
福岡市博多区上川端町12番20号 ふくぎん博多ビル1F
092-291-0050
9時~19時