【ランナーの半数以上が高血圧?】ランニング中の血圧に要注意!!
読んで頂いてありがとうございます!
たくや/ランナーです。都内で医師&ランニングコーチをしています。
今回は運動中の血圧の変化についてまとめます。
・短時間で理解・対策ができるようまとめました。
・時間のない方は、黒板だけでもOKです。
・深く知りたい場合は、Noteも読んで下さい(無料)。
では早速いってみましょう!!
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例えばスポーツジムで運動するとき、その前後で血圧を測定すると思います。
多くの場合、運動前よりも運動後の方が血圧が低くなります。
「あ~、運動は血圧に良いんだ!」と考える方が多いと思います。
ですが、これが落とし穴なんです。
実はランニング後は血圧が低下するのですが、ランニング中はびっくりするほど血圧が上昇するんです。そこでランニング中の血圧の上昇~運動誘発性高血圧~、ランニング後の血圧低下~運動後低血圧~について説明します。
ランニングをしている最中の血圧の変化
実は運動中には血圧が上昇します。特に足にたくさんの血液を送り込まないといけないので、血圧も脈拍も大きく上昇します。
血圧の正常値は収縮期血圧で115mmHg以下とされていますが、それを大きく超えて上昇します。一般的に高血圧は135mmHg以上とされていますが、運動誘発性高血圧は男性210mmHg以上、女性190mmHg以上とされています。そこまで上昇する方が多くいるんです。
ランニングを終えたあとの血圧の変化
ですが走り追えると心臓の収縮は急激に弱まります。ですが全身の血管が拡張したままであったり、脱水状態にあったりするので血圧は逆に低下します。特にゆっくりした男性ランナーの方が血圧が下がる傾向にあり、運動後10時間以上も低下していることが多いようです。
また、特に運動直後には激烈に血圧が低下することがあり、倒れてしまう方もいます。これを「運動関連虚脱性虚脱」と言って、これを防ぐため「ゴール後は立ち止まらないで歩く」ことが大事とされています。
参考までに2020の大阪国際女子マラソンの最終完走ランナーが、運動関連虚脱性虚脱をおこしたと思われる動画のリンクを添付します。1分45秒~です(You tube)
ランニング中の血圧上昇(運動誘発性高血圧)について
話は運動誘発性高血圧に戻ります。
韓国で606人のランナーのマラソン中の血圧と心電図を調べてみると、過半数の人が運動誘発性高血圧であったとのことでした。しかもそんなランナーほど不整脈が多かったとのことです。そしてランニング中の心停止は、この運動誘発性高血圧と関連があるのではないかとも言われています。
どうして運動誘発性高血圧がいけないの?
まとめになりますが、ランニング中は多くの方が異常なほど血圧が上昇します。
そんな血圧の上昇が、心房細動といった不整脈や、心停止の原因になるのではないかと言われています。
”高血圧の治療をすれば改善する”という明確なエビデンスはありませんが、リスクが減るのではないかと言われています。未治療の高血圧があるランナーは、しっかり治療をするようにして下さい。
運動誘発性高血圧の治療・心血管疾患の予防
一応高血圧の治療薬のなかで、この運動誘発性高血圧に効果があると言われているのはアンギオテンシン変換酵素阻害薬や交感神経β遮断薬です。ですが、広く用いられているアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬や、カルシウム拮抗薬でもよいと思います。しっかり治療しましょう。
また心血管の保護の目的で、抗酸化サプリもよいと思います。またアメリカではランニング中の心イベントの抑制の目的で低用量アスピリンも用いられます。複数の生活習慣病をお持ちの方で、心臓病のリスクの高いランナーは主治医と相談するとよいかもしれません。
以上、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
もっと詳しく書いているので、興味があれば自分のNOTEも参照下さい:
(生活習慣病のランナーはしっかり治療を~運動誘発性高血圧~)
(ゴールの後の「立ち止まらないで」の本当の意味)
今後も「医師・コーチの立場で」役立つことを、分かりやすく発信します。
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たくや/ランナーについて
中学・高校・大学と陸上競技部で、そして卒業後もランニングを続けています。フルマラソンのベストは2時間50分。
今は都内の病院で勤務をしつつ、ランステでコーチをしています(日比谷ライドのコーチ紹介)。
発信はおもにNOTEでしています(ビアランニングドクターのNOTE)。