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名物は本当に鹿だけ? 「奈良にうまいものなし」が改まるホテルのおいしいものを徹底紹介

東龍グルメジャーナリスト
JWマリオット・ホテル奈良 (C) 東龍

JWマリオット・ホテル奈良

日本では高級ホテルが次から次へとオープンしています。東京は当然のことながら、大阪や京都など世界的に知られた都市、そしてリゾートである沖縄や北海道に世界的なブランドのホテルが開業。

こういった地域に比べて地味に感じられるのが、古都の奈良です。古墳時代、飛鳥時代、奈良時代に中央政府が置かれていましたが、存在感があったとはいえませんでした。

JWマリオット・ホテル奈良 (C) 東龍
JWマリオット・ホテル奈良 (C) 東龍

しかし、この状況を一変させたのが、日本で初めてとなる世界的ラグジュアリーホテルの上陸。JWマリオット・ホテル奈良が2020年7月9日に誕生し、奈良が一躍注目を浴びました。

同ホテルは、ザ・リッツ・カールトンやウェスティンホテルなどを展開するマリオット・インターナショナルの最上級ラグジュアリーブランド。ホテルの造りやゲストルームが素晴らしいのは当然のことながら、食のクオリティも非常に高いです。

3つのレストラン・バー

JWマリオット・ホテル奈良が擁しているのは、3つのレストラン・バー。

・日本料理「校倉」

・オールデイダイニング「シルクロードダイニング(Silk Road Dining)」

・ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」

「校倉」は、鉄板焼、寿司、会席料理がそれぞれエリア別で提供されている、本格的な日本料理店です。「シルクロードダイニング」は、奈良をはじめとして各地から取り寄せた食材を様々な技法で仕上げた、オープンキッチンの迫力も魅力のレストラン。「フライングスタッグ」はスタイリッシュなラウンジバーで、スイーツやアフタヌーンティー、オリジナリティ溢れるカクテルを体験できる空間です。

それぞれを詳しく紹介していきましょう。

日本料理「校倉」

日本料理「校倉」 (C) 東龍
日本料理「校倉」 (C) 東龍

「校倉」は、鉄板焼、寿司、会席料理がそれぞれ独立した日本料理店。鉄板焼と寿司は前日までの予約が必要となっています。正倉院の宝物をイメージしたインテリアで、目を引く鮮やかさです。

料理長を務めるのは吉田信一氏。鳥羽の名門旅館「戸田家別館」で研鑽を積んだ後、大阪の割烹料理店で副料理長として活躍します。外資系ホテルの日本食レストランを経て、1997年6月からザ・リッツ・カールトン大阪の日本料理「花筐」で働き始め、1998年には副料理長、2009年からは料理長に就任。日本の美を料理に表現することを大切にする正統派です。

「校倉」の鉄板焼

「校倉」の鉄板焼 (C) 東龍
「校倉」の鉄板焼 (C) 東龍

「校倉」でまず紹介したいのは、L字型カウンター10席の洗練された空間で楽しめる鉄板焼。焼き手の西浦宗志氏いわく「メインの黒毛和牛はその時々で最もよいものを仕入れるので、様々なお肉を体験することができます」。いくつかコースがありますが、魚介類と和牛が楽しめる「富士」(30,500円)を詳しく紹介していきましょう。

食前のお愉しみ

食前のお愉しみ (C) 東龍
食前のお愉しみ (C) 東龍

旬のハモを湯引きし、梅肉を合わせました。奈良県のシイタケ、大和まな、ホウレンソウ、ミズナ、キュウリ、ピーテンドリルと野菜もたっぷり。さっぱりしているので、後述する酸味の効いたオリジナルシャンパーニュとの相性も抜群です。

彩サラダ すももドレッシング

彩サラダ すももドレッシング (C) 東龍
彩サラダ すももドレッシング (C) 東龍

大阪の農家から取り寄せたベビーリーフ中心の彩り豊かなサラダ。スモモの自家製ドレッシングに塩昆布がアクセントです。レンコンのチップ、インゲンのチップによってサクサクとした食感も。

黒鮑と松茸のソテー 柑橘バターソース

黒鮑と松茸のソテー 柑橘バターソース (C) 東龍
黒鮑と松茸のソテー 柑橘バターソース (C) 東龍

山口県や徳島県のクロアワビをまるごと用いた贅沢な一品。クロアワビらしい弾力のある心地よい食感です。宮崎県高千穂の発酵バター、ユズ、カボス、白ワイン、醤油を合わせたソースで、コクがありながらもさっぱりと仕上げています。軽やかな香りをもつ先駆けのマツタケと合わせ、チャービルをあしらいました。好みでスダチを搾るとよいでしょう。鹿の角をイメージしたプレートも印象的です。

季節の蒸焼野菜 うるわしの花塩 直七を使った自家製ポン酢で

黒毛和牛のフィレとサーロイン、季節の野菜 (C) 東龍
黒毛和牛のフィレとサーロイン、季節の野菜 (C) 東龍

野菜の蒸し焼き。予め5時間蒸したサツマイモ、千葉県のシルクスイート、淡路島の中島農法でつくられたミネラル豊富なタマネギ、島根県のジャンボシイタケ「雲太」、万願寺唐辛子、沖縄のモロッコインゲンと、バラエティに富んでいます。食味と食感、彩りが実に豊かです。

黒毛和牛フィレ 80g又は黒毛和牛サーロイン 100g 紀州熊野灘炭塩 もろみ醤油 静岡産本山葵田子産ニンニク添え

黒毛和牛のフィレとサーロイン、季節の野菜 (C) 東龍
黒毛和牛のフィレとサーロイン、季節の野菜 (C) 東龍

取材時の黒毛和牛は、奈良県の大和牛でした。フィレとサーロインで、肉質等級A4、BMS7と、脂を心地よく堪能できるサシの具合です。表面はカリっと焼き上げながらも、中はしっとりジューシーに仕上げています。コンディメントはいくつも用意されており、奈良県の井上本店のもろみとその醤油、高知県宿毛市特産の柑橘類であるナオシチのポン酢、和歌山県の備長炭の塩、沖縄県の「うるわしの花塩」、イギリスのマルドン塩。

ガーリックチップはつくりおきではなく、着席してからつくられるので、風味が豊かです。青森で生産されるニンニクの中でも最高級品種である「福地ホワイト六片」が用いられており、上質な食味。和牛の旨味を深める貴重な脇役です。

校倉ガーリックライス 赤出汁・香の物

校倉ガーリックライス 赤出汁・香の物 (C) 東龍
校倉ガーリックライス 赤出汁・香の物 (C) 東龍

お米マイスターが選んだ鳥取県日南町のコシヒカリを土鍋で炊いたご飯。大きな和牛の端肉、卵に濃口醤油、もろみ醤油を合わせて、パラパラのガーリックライスに仕上げました。香の物は柴漬け、奈良漬けの浅漬大根。

デザート 本日のデザート

デザート 本日のデザート (C) 東龍
デザート 本日のデザート (C) 東龍

季節のフルーツも豪華で、シャインマスカットにマンゴー、スイカ、パイナップルです。ホテルメイドのチョコレート、白とピンクの金平糖もあしらわれ、可愛らしいプレゼンテーション。

充実のワイン

JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル (C) 東龍
JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル (C) 東龍

ワインも充実しています。シャンパーニュは「シャルリエ・エ・フィス カルト・ノワール ブリュット」のオリジナルラベル版である「JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル」(グラス 2,800円)。黒ブドウ主体で骨格がありながらも、白桃の洗練されたアロマがあります。ドサージュは7~8g/Lと辛口なので、料理の食味を引き立ててくれるでしょう。

他には、ハンガリーの「マンドラス トカイ オレムス」(3,000円)などの白ワイン、アルゼンチンの「バルダ」(3,900円)といった赤ワインと、ニューワールドのワインも取り揃えられています。

是非ともワインペアリングをお願いするとよいでしょう。

「校倉」の会席

「校倉」の会席 (C) 東龍
「校倉」の会席 (C) 東龍

「校倉」のダイニングエリアでは、料理長である吉田氏の会席料理に舌鼓を打てます。テーブル席の他に個室も3部屋設けられているので、様々なシーンで活用できるでしょう。一番人気の「会席 高麗笛」(17,000円)を一品ずつ紹介していきます。

先附

鱚の鱧の子和え、糸瓜、アスパラ、いくら つる紫の花、赤万願寺、美味出汁ゼリー

先附 (C) 東龍
先附 (C) 東龍

コイモの葉に載せられた涼しげな先付です。繊細な佳味のキスにハモの卵がよい取り合わせ。ツルムラサキの花とお浸しに、出汁の旨味を携えたジュレが合わせられています。

冷やし吸物

玉蜀黍摺り流し、雲丹、寄せトマト、青海苔、醤油もろこし

冷やし吸物 (C) 東龍
冷やし吸物 (C) 東龍

立派な蓮の葉に載せられた、冷たいトウモロコシのスープです。豆乳を加えて、まろやかで軽やかに。醤油バターのトウモロコシで香ばしい変化もあります。上にはバフンウニ、愛媛県の絹青海苔と、心地よい磯の香味。

造り

本日の御造り二種 奈良の醤油と味噌 あしらい一式

造り (C) 東龍
造り (C) 東龍

竹筒で提供されており、風情があります。繊細な味わいのアオダイと、主張がしっかりとしたカツオのタタキ。奈良の井上本店のイゲタ醬油のもろみとネギ味噌が添えられているので、好みで付けるとよいです。

温の物

鱧鍋、奈良県産の野菜 順才、玉葱、椎茸、三つ葉

温の物 (C) 東龍
温の物 (C) 東龍

鱧をふんだんに用いた贅沢な鍋。奈良県のシイタケ、淡路島のタマネギ、三つ葉、大和まな、ミズナ、ホウレンソウ、ジュンサイと野菜もたっぷりです。

盛り皿

本日の魚奈良粕焼、無花果田楽焼、子持ち鮎オイル煮、鰻と万願寺のサンド 百合根ずんだ和え、冷やし小芋振り柚子、茗荷寿司、煮込み合鴨ロース 串(海老の加賀太胡瓜巻、紫芋の蜜煮、チーズの床漬け)

盛り皿 (C) 東龍
盛り皿 (C) 東龍

メインディッシュは、とても豪華な八寸。8時間蒸して骨までやわらかくした子持ちアユのオリーブオイル煮には蓼味噌を載せました。合鴨ロースの蒸し煮は非常にやわらかく、串ではクリエイティビティに溢れた3つのタネが楽しめます。茗荷寿司の中には、アクセントになる木の芽。百合根のずんだ和えは、トッピングされたカリカリベーコンの塩味が全体を引き締めます。

食事

かます、蓮根、生姜の釜炊きご飯 赤出汁、香の物

食事 (C) 東龍
食事 (C) 東龍

鳥取県の日南町のコシヒカリ、カマス、レンコン、ショウガ、炒めた豆苗を土鍋で炊き、目の前で混ぜて取り分けてもらえます。香の物は柴漬け、奈良漬けの浅漬大根。

水菓子

水菓子 (C) 東龍
水菓子 (C) 東龍

最後はさっぱりとした水菓子。メロン、マンゴー、スイカ、白あんのカステラ、フルーツのソースがワンプレートに仕上げられていました。

オリジナルのお酒

左は「JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルクラフトビール ホワイトIPA」、右は「豊祝 JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル 純米冷酒」 (C) 東龍
左は「JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルクラフトビール ホワイトIPA」、右は「豊祝 JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル 純米冷酒」 (C) 東龍

JWマリオット・ホテル奈良のオリジナルアルコールは、先に紹介したシャンパーニュだけではありません。

「JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルクラフトビール ホワイトIPA」(1,950円)は、インディアペールエールならではの心地よい苦味が、フレッシュな和食にぴったり。「豊祝 JWマリオット・ホテル奈良 オリジナルラベル 純米冷酒」(180ml 2,500円)は芳醇な甘味が繊細な料理を包み込みます。

「校倉」の寿司

「校倉」の寿司 (C) 東龍
「校倉」の寿司 (C) 東龍

「校倉」には静謐な寿司カウンター6席も用意されています。寿司職人の橋本和明氏による握りも紹介しましょう。

寿司の盛り合わせ (C) 東龍
寿司の盛り合わせ (C) 東龍

左から順番に、北海道のイクラ、長崎県のケンサキイカ、醤油を塗ったアイルランド産のトロ、大根おろしとポン酢を載せたタチウオ、半分ボイルしてミキュイにした大分県のクルマエビ、自家製の海苔の佃煮をあしらった徳島県のフエフキダイ。別皿で提供されたのは、米粉と塩からつくられた広島県の淡雪塩をふりかけたバフンウニです。

ケンサキイカとトロは細かい切り込みが入れられ、口溶け感が抜群。タチウオはポン酢でさっぱりとさせ、クルマエビは半生なのでとろっとした甘味が感じられます。フエフキダイは佃煮の磯の香りが心地よく、バフンウニは淡雪塩によって旨味がさらに引き出されていました。

オールデイダイニング「シルクロードダイニング(Silk Road Dining)」

オールデイダイニング「シルクロードダイニング(Silk Road Dining)」 (C) 東龍
オールデイダイニング「シルクロードダイニング(Silk Road Dining)」 (C) 東龍

「シルクロードダイニング」はインターナショナルな料理が楽しめるオールデイダイニング。ライブ感溢れるオープンキッチンが設けられており、朝食にはブッフェが、ランチにはアラカルトが、ディナーにはアラカルトとコースが味わえます。

料理長を務めるのは小林正幸氏。1985年から軽井沢の名門ホテルのフランス料理店で料理人としてのキャリアをスタートします。箱根や那須、九州など日本各地のホテルで料理長として経験を積み、水上高原の有名ホテルでは総料理長に就任。自身の畑で野菜を栽培するなど、野菜に精通。「シルクロードダイニング」のオープンから料理長として腕をふるいます。

「シルクロードダイニング」の朝食

多くの宿泊者が利用するのは朝食です。和食と洋食のバランスがよく、パンも充実。オープンキッチンなので躍動感もあります。

手前がオムレツ(プレーン)、奥がポーチドエッグ (C) 東龍
手前がオムレツ(プレーン)、奥がポーチドエッグ (C) 東龍

卵料理はオムレツ(プレーン)、オムレツ(チーズ)、フライドエッグ、スクランブルドエッグ、ボイルドエッグ、ポーチドエッグから選べ、テーブルまでサーブされるのが嬉しいです。一番人気は、卵の佳味を携えてふっくらと焼き上げられるオムレツ。卵料理は他にもあり、ブッフェ台にベイクドエッグや温泉卵も用意されています。これだけの卵料理がラインナップされているホテルは、なかなかないでしょう。

ブッフェ台 (C) 東龍
ブッフェ台 (C) 東龍

江戸時代末期から続く「あしびや本舗」の奈良漬、奈良に伝わる幻の大豆「大和大鉄砲」でつくられた大鉄砲豆富、三輪素麺の豆乳担々麺スープと、奈良にちなんだメニューもイチオシです。風味が出色の奈良県の蜂蜜は、パンケーキやワッフル、パンに合わせるとよいでしょう。

「シルクロードダイニング」のランチ

「シルクロードダイニング」では、気軽に注文できるランチのアラカルトも好評。

塩麹でマリネしたヤマトポークのサーロイングリル (C) 東龍
塩麹でマリネしたヤマトポークのサーロイングリル (C) 東龍

小林氏のオススメは「塩麹でマリネしたヤマトポークのサーロイングリル」(5,100円)です。奈良県のヤマトポークは、厚みがありますが、低温で丁寧に調理されているので、中までやさしく火が入っています。塩麹でマリネされているので、味わいがよりマイルドに。ソースは自家製ローズマリー、赤ワイン、フォンドボーで構成されており、コクがあります。

周りには奈良県の柿のジャム、ナッツとデュカスパイス、できるだけ奈良県産を用いた季節の野菜にマッシュポテト。取材時の野菜は、万願寺唐辛子、パプリカ、ピーテンドリル、カリフラワー、ズッキーニ、シイタケ、サヤインゲンでした。

エデン (C) 東龍
エデン (C) 東龍

ノンアルコールドリンクにも力が入れられています。暑い時期にぴったりなのが「エデン」(1,850円)。エルダーフラワー、レモン、ジンジャーエール、自家製ローズマリーを用いたドリンクで、シュワッとした炭酸と軽やかな香りが暑さを吹き飛ばしてくれるでしょう。

ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」

ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」 (C) 東龍
ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」 (C) 東龍

「フライングスタッグ」にはスタイリッシュなバーとラウンジがあり、スイーツやアフタヌーンティー、オリジナルのカクテルなどが楽しめます。「Stag」=「雄鹿」とあるように、バックバーには雄鹿をモチーフにした画が描かれており、非常に風流。

マネージャーを務めるのは里美保子氏です。大阪のラグジュアリーホテルで研鑽を積み、オープン時からJWマリオット・ホテル奈良に在籍。サービスのプロフェッショナルでありながら、自らカクテルを考案し、ゲストの前で紡ぎあげます。

「フライングスタッグ」のアフタヌーンティー

ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」 (C) 東龍
ラウンジバー「フライングスタッグ(Flying Stag)」 (C) 東龍

ラウンジエリアではアフタヌーンティーが好評です。「Yamato tea Afternoon Tea Set」(6,500円)と題されたアフタヌーンティーでは、お茶にちなんだセイボリーやスイーツが多数登場。季節によって内容が新しくなります。

取材時はセイボリー5種、スイーツ5種、スコーン2種に、フリーフローのドリンク16種という豪華な内容でした。

受賞歴もある上久保茶園茶聖の上久保淳一氏とコラボレーションしているのもウリのひとつ。上久保茶園茶聖で1年につくられる茶葉の量は約400グラムというだけに、とても希少です。

Yamato tea Afternoon Tea Set (C) 東龍
Yamato tea Afternoon Tea Set (C) 東龍

「大和茶でマリネしたサーモンとジャガイモのマセドアンサラダ」はレンゲ型の器で麗しく供されており、「エビと夏野菜の抹茶素麺カクテル」は涼し気な喉越し。「京奥丹波鶏と和歌山梅肉のスプリングロール抹茶塩」は春巻風ながらも酸味が効いているのが新鮮で、「奈良野菜と大和茶のトルティーヤ」は緑が映えた目を引く一品です。

「抹茶と県産卵のクレームブリュレ」は馥郁とした味わいのクレームブリュレとサクッとした生地の相性がよく、「大和抹茶テリーヌ」は適度な苦味を携えながらもクリーミー。「ラズベリーとマスカルポーネクリーム 新緑の絨毯」は何層にも重なった断面が美しく、マスカルポーネの優しい風味が抹茶とよいコントラストです。

スコーンは抹茶とほうじ茶ショコラの2種で、奈良蜂蜜と合わせると、味わいもぐっと深まります。

ドリンクは自由にチョイスできますが、里氏が提案する「おすすめの日本茶コース」が案内されるので、その通りにオーダーすれば最適解のマリアージュを体験できることは間違いなし。ここまでドリンクとのマリアージュが考えられたアフタヌーンティーなど他にありません。ドリンクで特にオススメしたいのは、最初に提供されるキリっとしながらも深みのある「ウェルカムドリンク冷製水だし煎茶」、燻香のようなインパクトを携えながらもまろやかな「ほうじ茶オーレ」です。

「フライングスタッグ」のバー

ラウンジに加えて、バーカウンターでも貴重な体験ができます。

季節のカクテル (C) 東龍
季節のカクテル (C) 東龍

「季節のカクテル」(2,800円)は、里氏によるシーズン毎のクリエーションが味わえるカクテル。当日はマルガリータをアレンジしたカクテルとなっており、奈良県のジン、テキーラ、コアントロー、和歌山県のアオミカンといった構成でした。柑橘系の豊かな酸味と爽やかさを堪能でき、グラスの縁にまぶされた塩が、より甘味を引き出しています。

ジェントルスタッグ (C) 東龍
ジェントルスタッグ (C) 東龍

シグネチャーカクテルは「ジェントルスタッグ」(3,200円)。奈良県のほうじ茶に、ウォッカ、フレッシュクリーム、チョコレートリキュールを合わせ、なめらかで香り高く仕上げました。里氏いわく「奈良県のほうじ茶を主役にしようとして、辛口か甘口のどちらがよいかと悩みました。ほうじ茶のふくよかな香りは、甘い方に寄り添うと思い、甘口のカクテルに仕上げています」。ウォッカは無味無臭なので、ほうじ茶の香りと旨味を邪魔していません。ミルクが全ての要素をなめらかにつなげていました。

JWマリオット・ホテル奈良の魅力

木彫りの鹿 (C) 東龍
木彫りの鹿 (C) 東龍

JWマリオット・ホテル奈良は、日本で初めてとなるJWマリオットのブランド。JWマリオットはアメリカのワシントンD.C.で創業したことから、首都にこだわり、日本では古都である奈良に開業しました。ロビーには、開業を祝って、奈良県民から寄贈された木彫りの鹿が飾られているなど、地元の方たちからも歓迎されています。

居心地のよいゲストルーム (C) 東龍
居心地のよいゲストルーム (C) 東龍

奈良にうまいものなしといった風評も聞かれますが、JWマリオット・ホテル奈良の登場によって、この認識も改められるのではないでしょうか。JWマリオット・ホテル奈良は、奈良の中心地にあってアクセスがよいだけに、ここを拠点にして観光し、食はホテルで堪能するのが、オススメしたい新しい奈良での過ごし方です。

※価格はすべて税込・サービス料別

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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