大荒れの通勤・通学時間のあとは気温が高めに経過 暖かいのになかなか満開にならない今年のさくら
大荒れの通勤・通学時間帯
令和6年(2024年)4月9日は、前線を伴った低気圧が東日本の南岸を通過する見込みです(図1)。
このため、4月9日朝の通勤・通学時間は、東日本太平洋側を中心に、強い風が吹き、雨も強まりそうです(図2)。
しかし、低気圧が通過したあとは、高気圧に覆われて、全国的に晴れて気温が上昇する見込みです(図3)。
先週までの予報では、菜種梅雨がしばらく続くという予報でしたが、ここへきて、晴れの方に予報が変わっています。
沖縄では最高気温が25度以上の夏日の日が続き、西日本や東日本でも20度前後の日が多くなります。
北日本では、今週末は20度まで気温が上昇するという、7月並みの暖かさの見込みです。
さくらの開花と満開
3月末から気温が平年より高めに推移するところが多く、各地で、さくらの開花や満開が相次いでいます。今後、気温がかなり高めで推移することから、東北北部や北海道のさくらの開花は平年より早くなりそうです(図4)。
こんな中、北日本を除いて、さくらの季節がそろそろ終わりそうです。
さくらの開花から満開までの平年の期間は、西日本で8~10日間、東日本の太平洋側で6~9日間に対し、北海道では2~5日間と、北国ほど短くなります(図5)。
沖縄・奄美を除くとトップで開花した高知は開花8日後の3月31日に、東京では開花6日後の4月4日に満開となりました。
その後も、各地で開花や満開が相次いでいますが、今年は、開花から満開までの期間が例年より長くなっている所が目立ちます(表)。
例えば、広島は11日間、名古屋は10日間、3月29日に開花した鹿児島は、まだ満開となっていませんので、開花から満開まで11日以上ということになります。
また、4月2日に開花した仙台も、まだ満開になっていませんので、開花から満開まで7日以上ということになります(タイトル画像)。
開花後に寒さが続いて満開が遅れるというのは珍しくありませんが、気温が高めに経過しているのに遅いということは珍しいと思います。
仙台の例では、標本木の下の方が咲き誇っているのに、上の方はまだつぼみ状態で、満開の条件である「標本木で80パーセント以上のつぼみが開いた状態」に、なかなか達しないためです。
標本木の上の方でさくらが咲くころには、標本木の下の方のさくらが散っているということがおこるかもしれません。
沖縄・奄美地方のヒカンザクラについていえば、観測が長い5地点(奄美大島の名瀬、石垣島、宮古島、那覇、南大東島)でみると、昭和56年(1981年)以降では、開花したのに満開にならなかったのは、のべ11回あります。
しかし、そのうち8回は令和になってからです。今年も、石垣島と南大東島では満開になりませんでした。
なお、気象庁では令和3年(2021年)より、さくらの満開の定義を少し変えています。
【さくらの満開の基準】
(新しい基準)咲き揃ったときの約80%以上が咲いた状態(同時に咲いている状態である必要はない)となった日を満開日として観測する。
(古い基準)咲き揃ったときの約80%以上が咲いた状態となった日を満開日として観測する。
地球温暖化により、北国のさくらも、南国のさくらも、一斉に咲かなくなってきたのかもしれません。これは、パッと咲くという「さくらのイメージ」が変わる予兆かもしれません。
図1、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図5、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。