天気図は再び冬型の気圧配置に 今週末は西日本の平地でも雪に注意
周期的に増える冬日観測地点数
令和6年(2024年)12月2日は、高気圧に覆われて晴れる所が多く、全国的に気温が平年より高くなりました(図1)。
10月中旬までは全国の半分は最高気温が25度以上という夏日という日がありましたが、それ以降は最低気温が0度未満の冬日が増え始め、11月上旬以降は主役が夏日から冬日に変わっています(図2)。
12月2日に全国で気温が一番高かったのは、沖縄県所野の27.0度で、夏日を観測したのは所野を含めて13地点(全国で気温を観測している914地点の約1パーセント)でした。
気温が平年より高いといっても、平年値そのものが低くなっていますので、なかなか夏日にはなりません。
そして、冬日を観測したのが285地点(約31パーセント)でした。冬日の観測地点数は、11月半ば以降、4日から5日周期で多くなっています。
2日夜から3日にかけて、発達した低気圧が北海道を通過し、大気の状態が不安定になる見込みですので、東北や北海道では、短い時間の強雨や突風、落雷などに注意して下さい。
低気圧や前線の通過直前に暖気が入りますので、12月3日の冬日観測地点数は大きく減りますが、通過後は北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下します。
冬日の観測地点数は増え、日本海側の地方を中心に雨が降り、北海道では雪の所が多くなるでしょう。
冬型の気圧配置
各地の10日間予報をみると、北日本と東日本日本海側では雨や雪の日が続く見込みです(図3)。
また、西日本の日本海側でも黒雲マーク(降水の可能性がある曇り)の日が続き、今週末には雨か雪が降る予報となっています。
西高東低の気圧配置が続いて寒気が南下するためですが、特に、今週末はやや強めの寒気が西日本まで南下し、西日本の平地でも雪が降るという予報です。
これは、平地でも雪が降る目安となる「上空約1500メートルでマイナス6度線」は、北陸から西日本の日本海側に南下してくると予想されているからです(図4)。
鳥取や松江などの山陰地方の平野部でも雪が予想されていますので、今週末には初雪の観測をするかもしれません。
また、今年から雪の観測方法が変わり、雨に雪が一瞬でも混じるとミゾレと観測し、雪の判定となりますので、雪の予報となっていない広島や福岡などでも初雪となるかもしれません。
雪の観測方法
初雪は、その冬に最初に降る雪のことですが、令和2年(2020年)の初雪は、多くの地点で前年と観測方法が違いますので、統計が切断しています。
つまり、前年との比較は意味がありません。
これは、令和2年(2020年)から、ほとんどの地方気象台等で、天気などの目視観測が自動化されたからです(関東甲信は前年2月1日より先行して自動化)。
そして、令和2年(2020年)までの30年間の観測をもとに作られている平年値は、自動化された観測に対応するように計算されました。
自動化での天気は、気温や湿度などの観測を組み合わせた天気計で観測しますが、目視観測に比べて、早く初雪を観測する傾向があります。
というのは、自動化された観測では、雨の中に一瞬でも雪が混じると雪の一種である「ミゾレ」と判断するのですが、目視観測では、ある程度雪が混じらないと「ミゾレ」とは判断しないからです。正確に雪を観測できる反面、人間が感じる雪とは少し違うのではないかという意見もあります。
いずれにしても、令和2年(2020年)以降、従来通りの初雪を観測しているのは、札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の11ヶ所(那覇では過去に雪の観測なし)に減りましたが、令和6年(2024年)からは、さらに減り、目視観測は東京と大阪の2ヶ所に激減しています。
このため、初雪の平年値も、札幌、仙台、新潟、名古屋、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の9ヶ所は、初雪の平年値も自動化された観測に対応するため、大きく変わっています(表)。
令和6年(2024年)10月20日に札幌で初雪を観測し、平年より8日遅いと発表されましたが、昨年までの平年値を使えば、11日早いということになります。
同様に、新潟で11月18日に平年より5日早い、仙台で11月19日に平年より2日遅い初雪と発表されましたが、昨年までの平年値を使えば、新潟で8日早い、仙台で7日早いということになります。
仮に、12月7日に広島で初雪を観測したとすると、平年より1日早いということになりますが、昨年までなら6日早いということになります。
図1、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。