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【首都直下型地震 発生確率70%】東京都の新たな被害想定のまとめ

栗栖成之防災士ライター
出典:PhotoAC

8月8日に発生した日向灘を震源とする地震は、マグネチュード7.1となったことで「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が、はじめて発表されました。

このことで、南海トラフ地震がクローズアップされましたが、2022年(令和4年)以降、30年以内に発生する確率が70%である「首都直下型地震」の方が、東京都では警戒すべき地震です。

今回は、2022年(令和4年)に東京都防災会議が公開した「東京都の新たな被害想定」を、分かりやすくまとめてみました。

首都直下型地震の震源は1つでなく6つある

出典:東京都防災会議 首都直下地震等による東京の被害想定報告書より抜粋
出典:東京都防災会議 首都直下地震等による東京の被害想定報告書より抜粋

首都直下型地震は震源が1つでなく、次の6つが想定されています。いずれもマグネチュード7.3、7.4と大きく、発生確率は2022年(令和4年)以降①~⑤の地震が30年間で70%、⑥が0.5~2%と予想されています。

①都心南部直下地震(被害想定あり・発生確率70%)

②多摩東部直下地震(被害想定あり・発生確率70%)

③立川断層帯地震(被害想定あり・発生確率0.5~2%)

④都心東部直下地震(震度分布図のみ・発生確率70%)

⑤都心西部直下地震(震度分布図のみ・発生確率70%)

⑥多摩西部直下地震(震度分布図のみ・発生確率70%)

東京都ではマグネチュード7クラスの首都直下地震に、これら6つの地震を挙げていますが、被害想定の公表は①~③の3つの地震のみです。

①都心南部直下地震が最大規模の被害をもたらす想定であり、首都中枢機能への影響が大きいと考えられる地震です。

②多摩東部直下地震は、多摩地域に大きな影響をおよぼす恐れのある地震なため被害が想定されています。

③立川断層帯地震はマグネチュード7.4の地震であり、30年以内の発生確率は0.5~2%と低いものの、多摩地域に影響をおよぼすおそれのある断層帯地震なため、被害想定が公開されています。

この他、④都心東部直下地震・⑤都心西部直下地震・⑥多摩西部直下地震については、報告書で「どこの場所の直下でも発生する可能性があるため、震度分布のみ参考提示」と記載されていました。

そのため、本記事では「被害想定のある地震」に、限定してまとめています。

①都心南部直下地震の被害想定(都内最大規模)|死者6,148人

出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋
出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋

▼被害想定

・死者:6,148人(9,641人)

・避難者:約299万人(約339万人)

・帰宅困難者:約453万人(約517万人)

・建物被害:19万4,431棟(30万4,300棟)

※()の数字は、前回想定の東京湾北部地震の被害量

都心南部直下地震では新たな被害想定によって、前回に想定された東京湾北部地震の被害量と比較すると、被害想定は少なくなっています。

しかしながら、都内で最大規模の被害が想定される地震で、震度6強以上の揺れがおよぶ範囲は区部の約60%にもなっています。江戸川区や江東区の一部地域では、震度7の揺れが予想されています。

④多摩東部直下地震の被害想定|死者4,986人

出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋
出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋

▼被害想定

・死者:4,986人

・避難者:約276万人

・建物被害:16万1,516棟

多摩東部直下地震は名前のとおり、多摩地域に大きな被害が想定される地震であり、多摩地域の約20%に震度6強の揺れが予想されています。

⑥立川断層帯地震の被害想定|死者1,490人

出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋
出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋

▼被害想定

・死者:1,490人(2,582人)

・避難者:約59万人(約101万人)

・建物被害:5万1,928棟(8万5,735棟)

※()の数字は、前回想定の被害量

立川断層帯地震では、多摩地区の約20%が震度6以上の揺れに見舞われます。特に青梅市や武蔵村山市の一部では、震度7の揺れが予想されているのが分かります。

④都心東部直下地震・⑤都心西部直下地震・⑥多摩西部直下地震の震度分布図を確認したい方は、首都直下地震等による東京の被害想定報告書「ページ2-22、2-23」をご覧ください。

前回の被害想定より軽減している理由は「防災・減災対策による」

出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋
出典:令和4(2022)年5月25日 東京都防災会議 東京都の新たな被害想定より抜粋

今回東京都が公表した新たな被害想定は、前回2012年(平成24年)に公表した被害想定を10年ぶりに見直すこととし、東京都防災会議の地震部会において検討を進めてきた結果です。

都心南部直下地震と立川断層帯地震では、前回の被害想定よりもかなり軽減された想定となっています。これは、10年の間に東京都が防災・減災対策を進めてきた結果によるものです。

▼耐震化の推進

・死者・全壊棟数は前回想定から約3~4割減少

・さらに対策を進めることで、死者・全壊棟数を約6~8割に減少可能と推計

▼家具転倒防止対策

・家具等の転倒・落下による死者数は、前回想定から約1割減少

・さらに対策を進めることで、約4~8割減少できると推計

▼出火防止対策の推進

・死者・焼失棟数は、前回想定から約3~4割減少

・さらに対策を進めることで、約7~9割減少できると推計

防災・減災対策を毎年進めていくことで被害を大幅に軽減できる!

出典:イラストACを加工
出典:イラストACを加工

東京都では首都直下型地震の被害想定を10年ぶりに見直し、2022年(令和4年)に新たな被害想定として公表しました。

この被害想定によると10年前よりは死者数や全壊棟数・焼失棟数など、全般で大幅に被害が軽減された数値になっています。

これは、東京都や都民が防災や減災対策を、しっかり行ってきた結果です!そのため、今後もしっかり防災・減災対策を行っていけば、年々被害は軽減されていき、結果的に首都直下型地震が起きても、被害を大幅に軽減することが可能となります。

一人ひとりの防災意識の高まりによって、被害が軽減される結果は嬉しいばかりです。この東京都の例を全国に普及できれば、全国レベルで地震時の被害軽減に期待できますね。

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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