豪「菓」絢爛!年に一度の和菓子の祭典「THE WAGASHI」!腕利きの名匠が集う甘くて熱い一週間
和菓子ファンの間では熱狂的な人気を誇るイベントのひとつといっても過言ではない催事、「THE WAGASHI」がこのほど東京都は玉川高島屋にて2024年6月12日(水)より始まりました。
本催事は2021年より玉川高島屋にてはじまり、北は山形県・南は広島県からメディアにも出演なさるほどの人気店の若旦那や女将が集い、人気商品から催事限定の商品まで多数取り揃えて訪れる人たちを豪華ラインナップで出迎えるということもあり、近隣の方のみならず都内や他県からもこの一週間のために東京へ赴くという方も大勢いらっしゃるほど。
また、テレビや雑誌、SNSでも高い人気を誇る高島屋の和菓子バイヤー・畑 主税氏&キアラ・ジュンティーニ氏に直接会えるということもあり、彼らのファンにとっても嬉しい一週間!
紡がれてきた伝統は勿論、そこに胡坐をかかず、キラリと輝く今だからこその完成と技術を取り合わせた和菓子たち。
私のモットー「和菓子は楽しい!」のもと、イベントの一部をご案内。これから足を運びますという方も、残念ながら今回は画面の向こう側からだけという方も楽しんでいただけたら幸いです。
【個性豊かな上生菓子たち】
四季折々の色彩をひとつの作品に閉じ込めた練り切りをはじめとする上生菓子には、作り手の個性が如実に反映される和菓子のひとつといえますね。お菓子というより、作品と称するほうが相応しいのではないかと思うこともしばしば。
鋏をはじめとする様々な御道具と共に高い技術力を誇る引網香月堂さんの上生菓子たち。その見た目のみならず、菓銘から連想される歌にも思いを馳せていただくのも醍醐味。
歌といえば、思わず笑みがこぼれてしまいそうな愛らしさと豊かな表現力を湛えたとも栄さんの作品。爽やかな夏の一場面を目で楽しむだけではなく、中餡もはちみつ檸檬のような親しみやすいカジュアルさも世代問わず楽しめるポイント。砂浜の足跡に貝殻、まるで物語のワンシーンのよう。
一方、研ぎ澄まされた感性と日本特有の四季を落とし込んだ本まつばやさんの「風薫る」は、柚子や山椒といった大人の刺激を宿した白餡に、こちらも催事だからこそ実現できるフレッシュな木の芽をあわせた上生菓子。くるりと巻かれた外郎生地を噛みしめると同時に香り立つ青々しい清涼感に思わず目を閉じて深呼吸。
【100年越えの歴史を持つ銘菓も忘れられない】
創業1821年、ネオ和菓子という言葉のきっかけといっても過言ではない、往年の和菓子に遊び心をきかせたお菓子を多数生み出す山形県・乃し梅本舗佐藤屋さん。
甘酸っぱさの奥に漂う濃厚な梅の可憐なかおりとまろやかさも、世代を超えて愛され続ける理由のひとつなのでしょうね。銘菓「乃し梅」は楽しみ方も色々!最近ではクッキーの型で好きな形にくり抜いて楽しむ方も多いのだとか!
ご主人ご本人が服部忍者の末裔でもある三重県・深川屋さんの銘菓「関の戸」も創業年の1642年より今に至るまで多方面から愛され、信頼の厚い銘菓。たっぷり纏った和三盆、滑らかな求肥とこし餡のコンビネーションはまさにひと口の贅沢。
【6月といえば水無月】
京都発祥とうたわれる和菓子、水無月は毎年6月30日にそれまでの邪気や暑気払いの意を込めて口にする伝統的な外郎をベースにした和菓子のひとつ。
その菓銘の美しさと蒸し羊羹、そして抹茶や白ごまをあわせるという新しい水無月は引網香月堂さんの作品。
対して、とろりと柔らできめ細やかな外郎生地が自慢のとも栄さんの水無月は、白小豆を散らした杏仁風味とレモンと桃のジューシーさもまるごと楽しめる水無月。
クラシカルでありながら、新しい水無月の一面をプレゼンされたような気が致します。
【培われた技術が光るニュースタンダード】
そのとも栄さんからは、まるで食べる宝石のようだと雑誌やSNSでも高い人気を誇り、日本の琥珀糖においてトップクラスの人気を博すといっても過言ではない「MIO」の誕生5周年を記念したバージョンが登場!
定番の滋賀県は安曇川産のベリー、アドベリー味をはじめ、メロン・柚子・ロゼワイン・ブルーベリーと全てお店を構える滋賀県産の食材を使用した郷土の魅力満載の和菓子。特に私のお気に入りは、濃厚ながらも優雅なブルーベリーです。
旬月神楽さんのスフレ生地のどら焼き「バターとみかん白小豆」は、この時代だからこそ生まれたといっても過言ではないどら焼き。しかし、白小豆だからこそ映える瑞々しいみかんの酸味と、さらりとしたコクが人気のカルピスバターの仄かな塩気は、しっかり計算されたからこそのモダンライクな和スイーツです。
また、群馬県前橋市に本店をおく創業2019年の「なか又」さん。こちらもふわふわのスフレ生地のどら焼きが大人気!人気過ぎて早々に完売してしまい、残念ながら頂戴することができず…しかし、今回の催事には珍しいもちもち生地とカスタードクリームのほっこりとしたおやつにふさわしい「わもち」は、あんこもいいけれどカスタードクリーム派の方にいちおしです!
【出来立ては格別!そのまま外でおやつに】
普段は本店でもお出しにならないという深川屋さんの「関の戸ドーナツ」は、銘菓関の戸を閉じ込めた揚げドーナツ!毎日ご主人が早朝より仕込む生地のもちもち感、そして心地よい小麦の旨味が噛みしめるたびにじわじわと溢れるオリジナリティあふれる揚げドーナツ。
不思議と胃もたれしないこちらのドーナツの出来立てに出会ったら、ぜひ近隣のベンチでほんのりあったかいうちに召し上がれ♪
【匠による実演は見逃せない!】
もうね、この一言に尽きるんです。普段はなかなかお目にかかることのできない熟練の技を、リアルタイムで目の前でその目に焼き付けていただきたいと思うのです。作り手がいなければ美味しいお菓子は生まれない。人気商品も伝統銘菓といわれる和菓子も、食材に携わる方と作り手がいなければ生まれません。
定番和菓子のひとつ、どら焼き。ふんわり、そしてしっとりとしたバランスに優れた皮。そして瑞々しい粒餡。時間がたつと一体感が生まれる巌邑堂さんのどら焼きも、出来立てならではの互いの個性と魅力がダイレクトに口の中に飛び込んでくる感覚をぜひご堪能あれ。
更に、佐藤屋さんの逞しい右腕から生み出されるわらび餅も人気商品のひとつ!ぺたんぺたん、と会場内に響き渡るリズミカルな音と、滋味深くじんわり染み込んでくるような素材本来の甘味と香りの良さ。シンプルながらも贅沢な和菓子です。
そして、福井県にて夏には行列をなすほどの人気を誇るのが小浜市・伊勢屋さんの「葛まんじゅう」!透明な葛につつまれるこし餡、旨味がつまった葛のもちもちとした食感は現地でしか味わえない銘品ですが、現地から拘りの名水を運んでお作りになるという拘り満載の季節の味。限定品の抹茶味もほろ苦さがこし餡と相性抜群なので、リピートしてしまいそうです。
【お酒にかき氷、コラボメニューも!THE WAGASHIならではのイートインは必食】
お酒と和菓子というペアリングが徐々にひろまりつつある令和の世。お昼から、夕方から、と思い思いの楽しみ方でチルタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。
また、裏技と申しますかオリジナルメニューもあるのです。
本まつばやさんの濃茶かき氷に伊勢屋さんの葛まんじゅうをトッピングすると、なんともいえない夏先取りの味わいに…!日本の魅力がギュッと詰まったかき氷は、和菓子の催事ならではといえるでしょう。
とはいえ、人間ってやっぱり強欲な生き物ですね。五感をフル活用して満喫したというのに、自分の地元のお店もあったらいいな、いつもお取り寄せでみかけるあのお店があったらいいな、もっと広い会場でゆっくり座って食べたいな…とまぁ尽きないものですね。
そうそう、わかるわかる、とひとつでも同意してくださった貴方。いつの間にか、「和菓子離れ」という言葉から遠ざかっていませんか?
ね。和菓子って、楽しいんです。
駆け足での紹介となりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。
そしてお忙しい中ご対応くださった今催事に携わる全ての皆さまへ心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
出店店舗一覧
<巌邑堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
静岡県浜松市東区神立町字袖紫ヶ森136
053-545-3232
9時~18時
定休日 水曜日
<引網香月堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
富山県富山市古沢111-3
076-471-8755
9時~18時
定休日 月・火
<乃し梅本舗佐藤屋・本店>
公式サイト(外部リンク)
山形県山形市十日町3-10-36
023-622-3108
9時~18時
不定休
<深川屋陸奥大掾>
公式サイト(外部リンク)
三重県亀山市関町中町387
0595-96-0008
9時30分~18時(出来上がりから売り切れまで)
定休日 木曜(祝日の場合は営業)
<旬月神楽>
公式Instagram(外部リンク)
広島市中区白島中町4-16
082-512-3288
9時~17時
定休日 火曜日
<伊勢屋・本店>
公式サイト(外部リンク)
福井県小浜市一番町1-6
0770-52-0766
8時30分~17時30分
定休日 水曜日
<とも栄>
公式サイト(外部リンク)
滋賀県高島市安曇川町西万木211-1
0740-32-0842
9時30分~18時30分
定休日 元旦
<本まつばや・本店>
公式サイト(外部リンク)
大阪府大阪市天王寺区真法院町1-14
06-6771-0304
10時~18時
定休日 日曜